小林製薬の紅麹サプリ健康被害事件とは?現在わかっていることを分かりやすくまとめ

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2024年3月、小林製薬の紅麹サプリメントに関連する健康被害事件が発覚し、社会に大きな衝撃を与えました。

この記事では、この事件の経緯、被害状況、発生した原因について詳細に解説します。また、事件が示すサプリメントの安全性についての問題点も考察します。

小林製薬による紅麹サプリで健康被害が発生

小林製薬株式会社(Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd.)は、大阪市中央区道修町に本社を置く、日本の大手製薬会社です。

一般用医薬品や衛生雑貨の企画・製造・販売を行い、数多くのヒット商品を世に送り出しています。「あったらいいな」をカタチにするという企業スローガンのもと、消費者に寄り添った製品を提供しています。

紅麴サプリとは?

紅麴サプリは、紅麴(べにこうじ)を原料とするサプリメントで、主にコレステロールを下げる効果が期待されています。

紅麴は、アスペルギルス属の菌を使って発酵させたもので、中国や台湾で伝統的に使われてきました。

紅麴に含まれるモナコリンKは、悪玉コレステロールを下げる効果があり、健康食品として人気があります。

紅麹サプリ事件の概要

2024年3月、小林製薬の紅麹サプリメント(紅麹コレステヘルプ)に関する健康被害が明らかになりました。

紅麹成分を含む健康食品を摂取した消費者が腎臓の病気などを発症し、少なくとも5人が死亡、入院者は240人以上に上り、相談件数は94,000件以上に達しました。

厚生労働省は食品衛生法に基づき、問題のある製品の回収を命じました。

事件の詳細な経緯を解説

  1. 初期発覚と回収命令: 2024年3月22日に事件が発覚。小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」などの製品を摂取した消費者に健康被害が確認されました。厚生労働省は同社製品の回収を命じ、広範な調査が始まりました。
  2. 健康被害の拡大: 紅麹原料は他社製品にも使用されていたため、問題は小林製薬の製品にとどまらず、菓子やパン、酒、味噌などの製品にも広がりました。被害は台湾にも波及し、衛生福利部食品薬物管理署からの報告で6件の急性腎不全が確認されました。
  3. 関連が疑われる死者が増えて厚生労働省が対応: 2024年6月28日、厚生労働省はサプリメント摂取と関連が疑われる死者が新たに76人確認されたと公表しました。これにより、事件に関連する死者数は80人以上に上る可能性があります。

調査して現在分かっている原因と思われること

プベルル酸: プベルル酸は青カビ由来の天然化合物であり、動物実験において腎障害を引き起こすことが確認されています。今回の調査で、小林製薬の紅麹サプリメントにこの物質が含まれていたことが判明し、これが健康被害の一因とされています。

ロバスタチン(モナコリンK): ロバスタチンは、コレステロールを下げる薬の一種で、紅麹に含まれるモナコリンKと同じ成分です。モナコリンKはコレステロールを下げる効果が期待されている一方で、腎機能障害などの副作用が報告されています。今回の事件でも、紅麹サプリメントに含まれるモナコリンKが腎障害を引き起こした可能性があります。

未知の化合物: 紅麹サプリの製造ロットからは、プベルル酸以外にも2種類の未知の化合物(化学式C28H42O8およびC28H34O7)が検出されています。これらの物質も健康被害に関与している可能性がありますが、詳細な影響についてはまだ調査中です。

製造過程の問題: 小林製薬は、紅麹の成分濃度を高めるために、通常の3倍の50日間の培養期間を採用していました。この特別な製造方法が、紅麹サプリメントに有害物質が混入する原因となった可能性があります。製造過程での衛生管理や品質管理の不備が、今回の健康被害の一因と考えられています。

以上のように、現在の調査で明らかになっている原因は、プベルル酸の混入、モナコリンKの副作用、未知の化合物の存在、そして製造過程での問題にあります。これらが複合的に作用して、紅麹サプリメントを摂取した消費者に健康被害を引き起こしたとされています。

なぜ安全なはずの紅麴で健康被害が出たのか?

紅麴自体は伝統的に安全とされてきた食品です。

しかし、今回の事件では製造過程での管理不備が原因となり、紅麴にプベルル酸などの有害物質が混入した可能性があります。

これにより、紅麴サプリを摂取した消費者に腎障害やその他の健康被害が発生しました。

原因と思われる物質がまだはっきりしない理由

紅麴サプリから検出されたプベルル酸や未知の化合物は、研究が進んでおらず、その影響や毒性についてのデータが不足しています。

さらに、製造過程での混入経路や具体的な原因についても解明が進んでおらず、これが原因物質の特定を難しくしています。

現在、厚生労働省と小林製薬が共同で原因究明のための調査を進めていますが、完全な解明には時間がかかる見通です。

小林製薬による報告の遅れと厚生労働省の対応

小林製薬は、死亡に関する相談が170件寄せられていたことを厚生労働省に報告していませんでした。これにより、厚労省からの問い合わせがきっかけで事態が発覚しました。

厚労省は、被害情報の報告が遅れたことに対し強く批判しています。

厚労省は今後、小林製薬の調査を詳細に指示し、進捗管理を積極的に行う方針を示しました。また、消費者庁は機能性表示食品制度の見直しを進め、健康被害情報の報告を義務化する方針です。

サプリメントの安全性と今後の課題

紅麹サプリ事件は、サプリメント市場の安全性に重大な疑問を投げかけました。

現行の機能性表示食品制度では企業が自主的に安全性を確認し、届け出る仕組みであるため、第三者の厳格な審査が欠如しています。これに対し、消費者庁は健康被害情報の報告義務化を進めていますが、さらなる対策が必要です。

今後の課題としては、第三者機関による厳格な審査の導入、製造過程の管理強化、迅速な情報公開と対応、消費者教育の強化が挙げられます。

これらの取り組みを通じて、消費者が安心してサプリメントを利用できる環境を整えることが求められます。紅麹サプリ事件を教訓に、安全なサプリメント市場を築くための制度改革が急務です。

まとめ

小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害事件は、多くの消費者に深刻な影響を与えました。この事件を機に、サプリメントの安全性に関する制度の見直しや、企業の責任が問われています。今後、同様の事件を防ぐためには、製品の安全性を確保するための厳格な規制と監視が必要です。

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