東京都知事選挙で、故三浦春馬さんのポスターが無断で掲示される事件が発生しました。
この記事では、なぜこのような事態が起きたのか、その背景と詳細な経緯を解説します。
また、今回の選挙で多発した不適切なポスター問題の原因についても考察します。選挙の本来の意義を取り戻すためには何が必要か、一緒に考えてみましょう。
都知事選で故三浦晴馬さんのポスターが貼られた経緯は?
東京都知事選挙において、立花孝志氏の選挙ポスター掲示が問題となりました。
立花氏は、寄付者が独自に作成したポスターを掲示する「ポスター掲示場をジャックせよ」という企画を展開しており、これに参加した寄付者が三浦春馬さんの似顔絵を無断で使用したポスターを掲示しました。
《アミューズが「強い憤り」緊急声明》
— NEWSポストセブン (@news_postseven) June 28, 2024
都知事選で「三浦春馬さんの選挙ポスター」をYouTuberが大量掲示https://t.co/yhFqvL5Wev
三浦さんのファンからは悲しみと怒りの声が上がっている。
ネット上には〈こんな事やめて下さい〉〈故人はさすがに不謹慎すぎるでしょう〉といった意見が出ている。 pic.twitter.com/SIrRIID2jY
このポスターには、三浦春馬さんの似顔絵と「世界は三浦春馬であふれてる」というメッセージ、そしてQRコードが掲載されており、このQRコードをスキャンすると寄付者のYouTubeチャンネルに誘導される仕組みになっていました。
三浦春馬さんの所属事務所であるアミューズは、この無許諾利用に対して強い抗議を行い、遺族も心を痛めていることを報告しました。アミューズは東京都選挙管理委員会に対し正式に抗議し、ポスターの撤去を求めました。立花孝志氏はこの抗議を受けて、ポスターを掲示した寄付者に連絡を取り、直ちに撤去することを決定しました。
この騒動に対し、立花氏は謝罪し、アミューズや三浦春馬さんの遺族、ファンに対して謝意を表明しました。
一方で、ポスター掲示の背景には、都知事選のポスター掲示場が寄付者のビジネス広告として利用されるという問題も含まれており、選挙ポスターの本来の役割から逸脱した利用が批判されています。
ポスターが貼られた3つの理由
今回の東京都知事選挙で、なぜ三浦春馬さんのポスターが貼られたのか、その背後には3つの理由が考えられます。
理由①:寄付した人が注目を集めたかった
まず、寄付者が注目を集めるために目立とうとしたことが挙げられます。三浦春馬さんは2020年に突然の死去を迎え、その死因も悲劇的であったため、今でも多くのファンに愛されています。
このような人気のある人物のポスターを掲示することで、多くの人々の注目を引き、話題になることを意図していたと考えられます。実際、このポスターは多くの人々に衝撃を与え、ニュースでも大きく取り上げられました。
理由②:寄付者のYouTubeチャンネルのプロモーション
次に、このポスターにはQRコードが掲載されており、このQRコードをスキャンすると寄付者のYouTubeチャンネルに誘導される仕組みになっていました。
このことから、寄付者は自身のYouTubeチャンネルのプロモーションを目的としていたことがわかります。選挙ポスターを利用して、自分のチャンネルへのアクセスを増やし、結果的に収益を上げることを狙っていたと考えられます。
理由③:「ポスター掲示場をジャックせよ」という企画
さらに、NHKから国民を守る党(N国党)が展開する「ポスター掲示場をジャックせよ」という企画も一因です。この企画では、寄付を行うことで選挙ポスター掲示板に自身のポスターを貼る権利が得られます。
このようなビジネスモデルは、寄付者にとって非常に魅力的であり、自己プロモーションやビジネスの広告として利用されることが多くなります。選挙の本来の目的から外れた利用が増えることは問題ですが、こうした背景があるために、三浦春馬さんのポスターも掲示されることとなりました。
このように、注目を集めるため、商業目的のプロモーションとして、そしてビジネスモデルの一環として、三浦春馬さんのポスターが掲示されたのです。
しかし、この行為は多くの人々に不快感を与え、遺族やファンに対しても大きな心の傷を残す結果となりました。
他にもある都知事選の選挙ポスター騒動!
東京都知事選挙では、三浦春馬さんのポスター騒動だけでなく、他にも多くのポスター問題が発生しました。
選挙と関係のないサービス宣伝のポスター
選挙とは関係のない商業広告や風営法に違反する可能性のあるポスターが掲示されました。
例えば、渋谷区の掲示板に「女性専用のサービス提供」を宣伝する広告ポスターが掲示されており、これには若い男性の写真が掲載され、QRコードを読み込むとSNSのアカウントに誘導されるというものでした。
このポスターに対して、警視庁は風営法違反の可能性があるとして警告を発しました。
立候補者ではない人物のポスター
立候補者とは全く関係のない人物のポスターも問題となりました。
例えば、キックボクサーのぱんちゃん璃奈氏のポスターが掲示され、彼女のYouTubeチャンネルへのリンクが含まれていました。
このようなポスターは、有権者に混乱を招き、選挙の本来の目的から逸脱しています。
ほぼ全裸の女性モデルのポスター
ほぼ全裸の女性モデルを採用したポスターも掲示され、大きな批判を受けました。
このポスターは、東京都青少年の健全な育成に関する条例に違反するとして警視庁から警告を受け、最終的には撤去されました。
このようなポスターが通学路上に掲示されることは、公共の場としての選挙ポスター掲示板の役割を大きく損なうものでした。
選挙ポスター問題が起きる背景と対策方法を考察
今回の都知事選の選挙ポスター問題が発生する背景には、選挙のエンタメ化やコンテンツ化が進行していることがあります。
選挙は本来、政策論争や候補者の資質を問う場であるべきですが、今回のような目立つことを目的とした手法が増えることで、選挙そのものが「おもちゃ」として扱われるようになっています。
選挙のエンタメ化は、選挙の本質を損なうものであり対策が必要です。
具体的な対策として、以下の点が挙げられます。
- 選挙ポスターの事前審査強化
- 東京都青少年の健全な育成に関する条例を適用し、不適切なポスターが事前に掲示されないようにする。
- 政見放送に適用される品位保持事項をポスターやビラにも適用し、内容の規制を強化する。
- 供託金制度の見直し
- 現行の供託金制度では、選挙公営のベネフィットが上回っているため、供託金を引き上げることや、供託金に代わる署名制度の導入などを検討する。
- 選挙のエンタメ化への対策
- 選挙が政策論争の場として機能するように、選挙運動の内容や手法に対するガイドラインを策定する。
- メディアの報道においても、候補者の政策や資質を重視した内容に重点を置く。
まとめ:選挙ポスター騒動で選挙制度の問題点が浮き彫りに
東京都知事選挙における選挙ポスター騒動は、選挙制度の問題点を浮き彫りにしました。三浦春馬さんのポスターが無断で掲示された事件は、遺族やファンに対する大きな心の傷を残し、選挙ポスターの本来の役割を問うきっかけとなりました。
また、他の不適切なポスターの掲示も、選挙のエンタメ化やコンテンツ化が進む中で、選挙の意義を歪めるものとして問題視されました。
選挙ポスターは、候補者が自身の顔や名前、公約を有権者に伝えるための重要なツールです。
しかし、今回の都知事選挙では、ポスターが商業広告や自己プロモーションの場として利用される事態が多発し、選挙の本来の目的から逸脱しました。このような状況は、選挙制度の見直しや規制強化が必要であることを示しています。