2024年末の「コミックマーケット105(C105)」にて、初出展として大きな話題を呼んでいた「オーストリア政府観光局」が、開催直前になって出展を中止すると発表しました。
「まさかの公式参戦」としてネット上をどよめかせた同局ですが、なぜ直前になって取りやめることになったのでしょうか。
本記事では、公式発表された「中止の理由」と、ネット上で議論されている「どのルールに抵触した可能性があるのか」について、事実と推測を整理してまとめます。
何が起きたのか:出展表明から中止までの経緯
まずは、今回の騒動を時系列で振り返ります。
- 2024年11月頃:オーストリア政府観光局が、冬コミ(C105)への企業ブース初出展を発表。「観光局がコミケに!?」とSNSで大きな話題になる。
- 予定されていた内容:
- ブース番号:西3・4ホール No.2411
- 販売物:アクリルスタンド、トートバッグなどのオリジナルグッズ。
- 目玉企画:「ハズレなしのカプセルトイ(ガチャ)」の設置。
- 2024年12月24日:公式X(旧Twitter)にて、出展の辞退(中止)を発表。
- 理由:「準備していた頒布(販売)方法が、コミックマーケットのルールに抵触する恐れがあることが判明したため」と説明。
詳細:なぜ中止に?「ルール抵触」の2つの可能性
公式発表では「諸般の事情」「ルールへの抵触」という表現に留まっていますが、状況から見て主に2つのハードルがあったと考えられます。
1. 「ガチャ(くじ引き)」と景品表示法の壁
今回の中止理由として最も有力視されているのが、目玉として予定していた「有料のカプセルトイ(ガチャ)」の運用ルールです。
- コミケのルール:企業ブースであっても、現金のやり取りが発生する「くじ引き(富くじ)」的な行為には厳しい規制があります。
- 景品表示法(景表法)のリスク:
- 単に「全種類500円相当のキーホルダーが出る」なら「商品販売」として認められます。
- しかし、もし「特賞:オーストリア往復航空券」のような高額商品を混ぜていた場合、それは「販売」ではなく「懸賞(ギャンブル)」とみなされるリスクがあります。
- 有料でくじを引き、極端に価値の異なる景品を提供することは、法的な調整や許可が必要になるケースがあります。
観光局としてはファンを楽しませるための企画でしたが、「販売」なのか「懸賞」なのかの線引きにおいて、コンプライアンス上の安全策を取った可能性が高いと言えます。
2. 「大使館・観光局」という公的機関の制約
もう一つ噂されているのが、「外交関係に関するウィーン条約」などの国際的なルールです。
- 商業活動の禁止:通常、外交官や公的機関が駐在国で「個人的な利益のための商業活動」を行うことは制限されています。
- 今回のケース:観光局は大使館とは別組織であることが多いですが、公的な性質を持つため、コミケという場で「現金を直接受け取って物品を販売する」という行為が、本国の規定やビザのステータス、あるいは免税特権などの関係でグレーゾーン判定された可能性があります。
世間の反応・公式声明
この決定に対し、オーストリア政府観光局公式Xの中の人(担当者)は、非常に悔しさをにじませるコメントを出しています。
「ギリギリまで調整を続けましたが、コンプライアンスを遵守するため、今回は断念せざるを得ませんでした」
これに対し、ネット上では同情と称賛の声が集まっています。
- 「公的機関だからこそ、ルール遵守の姿勢はさすが。」
- 「クリムトのグッズ欲しかった…通販してほしい!」
- 「ウィーン条約説まで飛び交ってて面白い。またリベンジしてほしい。」
なお、用意されていたグッズについては、後日通信販売(ECサイト)などで入手できるよう調整中とのことです。
まとめ
- オーストリア政府観光局のC105出展中止は、「頒布方法(ガチャ等)がルールに抵触する恐れ」があったため。
- 具体的には、「くじ引き要素」による景品表示法やイベント規約との兼ね合い、または公的機関としての商業活動の制約がネックになったと推測される。
- トラブルを起こして強行するのではなく、潔く撤退したことで逆に「信頼できる」と好感度が上がっている。
- グッズは通販などで販売される見込み。
「コミケの壁」は意外なほど高く、公的機関であっても例外ではありませんでした。しかし、その真面目な対応こそが、オーストリアという国の品格をPRする結果になったと言えるかもしれません。


