2025年12月現在、FacebookやInstagramを開くと、著名人の写真を無断使用した「投資広告」が依然として大量に表示される異常事態が続いています。
前澤友作氏や堀江貴文氏らがメタ社(Meta)を提訴してから1年以上が経過しましたが、状況は改善するどころか、AI技術(ディープフェイク)の悪用により「本物と見分けがつかない」レベルにまで凶悪化しています。
なぜ、世界トップクラスのIT企業であるメタ社は、これら明白な詐欺広告を排除できないのでしょうか?
この記事では、元プログラマーの視点から、「なぜ審査をすり抜けるのか(技術的カラクリ)」と「2025年末時点の最新状況」を解説します。
何が起きたのか(時系列・現状まとめ)
問題の経緯と最新の動きを時系列で整理します。
- 2023年〜2024年
Facebook・Instagram上で、前澤友作氏、堀江貴文氏、森永卓郎氏らの写真を無断使用した投資詐欺広告が急増。被害総額が数百億円規模に達する。 - 2024年4月〜5月
前澤友作氏らが自民党の会合で被害を訴え、メタ社(日本法人および米国本社)を相手取り、損害賠償と広告差し止めを求める訴訟を提起。「1円訴訟」として話題に。 - 2025年中盤
生成AI技術の一般化に伴い、「本人の声と動画で投資を勧めるディープフェイク広告」が出現。静止画だけの時代より騙されるユーザーが激増する。 - 2025年12月18日
メタ社が「2025年に1億3400万件以上の詐欺広告を削除した」と発表。対策の成果を強調する一方で、ユーザーからは「まだ大量に表示されている」「通報しても『規定違反ではない』と返される」との怒りの声が止まない。
【技術解説】なぜメタ社の審査は「ザル」なのか?
ここからは、私(村上)のエンジニアとしての知見を交えて、「なぜ詐欺広告は消えないのか」を解説します。単なる怠慢ではなく、システム的ないたちごっこが起きているのです。
1. クローキング(Cloaking)という「裏口入学」技術
詐欺グループは、メタ社のAI審査をごまかすために「クローキング」という手法を常套手段としています。
- 審査AIが見る画面: 「健全な投資セミナー」や「一般的なニュース記事」を表示。→ 審査合格
- 人間(ユーザー)が見る画面: 「絶対に儲かる」「LINEグループへ招待」という詐欺ページを表示。
アクセスしてきた相手が「メタ社のボット(審査プログラム)」か「一般の人間」かを瞬時に判別し、表示内容を切り替えているのです。これにより、入り口の自動審査をすり抜けてしまいます。
2. 生成AIによる「大量生産」と「検知回避」
以前は「同じ画像・同じ文章」を使い回していたため、一度ブラックリストに入れば弾けました。しかし現在は、生成AIがその都度微妙に異なる画像や文章を無限に生成します。
メタ社のAIが「このパターンは詐欺だ」と学習した瞬間には、もう別のパターンの広告が投入されているのです。特に、本人の過去の動画素材にAI音声を乗せたディープフェイク動画は、従来の「不適切な画像検知」では弾きにくく、審査の難易度を劇的に上げています。
世間の反応・公式声明
ユーザーの反応
SNS上では、メタ社の対応の遅さと、広告収益モデルに対する不信感が爆発しています。
「通報しても『広告規定に違反していません』という通知が来る。明らかに詐欺なのに、メタ社は中身を見ていないのか?」
「AIで削除したと自慢しているが、自分のタイムラインは詐欺広告だらけだ」
メタ社の主張
メタ社は2025年12月の発表などで、以下のように主張しています。
「我々は詐欺対策に巨額の投資を行い、年間1億件以上の詐欺広告を削除している。しかし、詐欺の手口は常に進化しており、全世界の膨大な広告を完璧に審査することには課題も伴う。」
つまり、「やってはいるが、相手の進化が早すぎて追いつかない(そして誤検知も怖い)」というのが本音でしょう。
まとめ:自衛のためにできること
現状、プラットフォーム側の対策が追いつくのを待っていては被害を防げません。以下の結論を心に留めてください。
- SNS上の著名人投資広告は100%詐欺と疑う: 本人がSNS広告で個別のLINEグループに誘導し、特定の銘柄を推奨することは絶対にありません。
- 動画も信じない: AIを使えば、本人の声や口の動きを再現することは容易です。「動画だから本物」という常識は捨ててください。
- 「メタ社公認」マークもあてにしない: 認証バッジ付きのアカウントが乗っ取られ、詐欺広告の発信源になっているケースも多発しています。
技術的な「いたちごっこ」は今後も続きます。私たちユーザー自身の「目」をアップデートし、怪しい導線(特にLINEへの誘導)はすべて無視することが最強のセキュリティ対策です。


