「えっ、コロナ感染で7000万円の賠償?」──そんな驚きのニュースが話題になっています。舞台は東京・歌舞伎町の中華料理店。従業員が感染し死亡したことを受け、裁判所は店側に賠償を命じました。
この記事では、この判決の背景にある「安全配慮義務」や「コロナの労災認定」について、わかりやすく解説します。法律用語が難しくて敬遠しがちなテーマも、やさしい言葉と身近な視点でスッと理解できる内容にまとめました。
「もし自分が職場で感染したら?」「どこまで会社に責任があるの?」そんな疑問を持つあなたに、知っておいて損はない話です。
今回のニュースで話題の「安全配慮義務」って何?
「安全配慮義務」という言葉がニュースで注目されています。でも、初めて聞いた方も多いかもしれません。ざっくり言うと、「会社は従業員の命と健康を守る責任がある」というルールのこと。今回の判決は、この義務をおろそかにしたことが問題視されました。
7000万円の賠償命令、どうしてお店が責任を問われたの?
この話、ちょっと衝撃的ですよね。でも、どうしてそこまでの賠償が命じられたのでしょうか?
裁判所によると、問題となった中華料理店では、感染対策が不十分でした。たとえば、客席の間にアクリル板を設置していなかったり、大人数での宴会を制限していなかったりと、基本的な感染防止策が取られていなかったんです。
また、感染した男性は店舗に住み込みで働いており、外部との接触も少なかったことから「職場で感染した可能性が高い」と判断されました。実際、同じ時期に他の従業員も感染していたとのこと。
つまり、「このお店で働いていたから感染して亡くなった」と裁判所が認定し、店側の責任を認めたわけです。
「安全配慮義務」ってよく聞くけど具体的にはどういうこと?
「安全配慮義務」とは、企業が従業員に対して「安全に働ける環境を整える義務」のこと。
たとえば、
- 十分な換気をする
- マスクの着用を促す
- 密にならないよう人数制限を設ける
- 感染者が出たらすぐに報告・隔離対応する
こうした取り組みがきちんと行われていないと、企業側に責任が発生します。
もちろん、完璧な感染防止は難しいですが、「やるべきことをやっていたか?」が大きなポイントになります。今回のお店は、そういった配慮を怠っていたと判断されたわけですね。
コロナ感染は労災になる?実際に認められた事例とは
「職場でコロナに感染したら労災になるの?」と気になる人も多いはず。実は、条件を満たせば、ちゃんと労災として認定されるケースがあります。ここでは、実際の例や認定の条件について紹介します。
職場でのコロナ感染、労災認定された人ってどんな人?
実際に労災認定されたケースとして多いのが、以下のような職業です。
- 医療従事者(医師、看護師など)
- 介護施設の職員
- 顧客対応が多い接客業の従業員
たとえば、同じ職場内で複数人が感染したり、明らかに感染者との接触があった場合は、「業務中に感染した可能性が高い」と判断され、労災と認められることがあります。
ただし、「家族から感染した」「休日に友人と会っていた」など、業務以外の感染の可能性が高い場合は、認定されにくくなります。
労災認定されるために必要な条件とは
労災認定の基準は、厚生労働省が明確に示しています。ポイントは以下の通りです。
特に医療・介護関係者は、原則として労災の対象になります。その他の職業でも、業務中に感染した根拠があれば認定される可能性はあります。
認定されると、
などのサポートが受けられます。
とはいえ、申請には診断書や勤務記録など、ある程度の証拠が必要です。「もしかして仕事中に感染したかも?」と思ったら、早めの準備がカギになります。
働く人が知っておきたい「職場のコロナ対策」と責任の境界線
コロナが「5類感染症」となった今でも、職場での感染リスクはゼロではありません。でも実際、「会社はどこまで責任を負うの?」「自分で気をつける範囲ってどこまで?」と疑問に思う人も多いはずです。ここでは、働く人が知っておくべき責任の“線引き”を整理してみましょう。
「どこまでが会社の責任?」「どこからが自己管理?」
まず前提として、会社には従業員の健康を守る「安全配慮義務」があります。
でも、それは「感染ゼロを保証しろ」ということではありません。重要なのは、合理的な対策をしていたかどうか。たとえば以下のような取り組みです。
- 社内の定期的な換気
- 密を避けるレイアウトの工夫
- 発熱時の出勤停止ルール
- 感染者が出た場合の迅速な対応
これらを怠っていた場合、会社の責任が問われる可能性があります。
一方で、通勤中にマスクを外していた、プライベートで会食を繰り返していたなど、明らかに自己管理不足の場合は、会社側が責任を問われることはほとんどありません。
つまり、「会社がやるべきことをやっていたか」「自分も予防努力をしていたか」が、責任の分かれ目になるんです。
「もし職場で感染したかも…」そのときどうすればいい?
「もしかして職場で感染したかも…」と不安になったとき、すぐに行動できるように、対処の流れをまとめておきます。
- 病院で診察を受け、診断書をもらう
コロナの診断を受けたら、その記録は重要な証拠になります。 - 職場での状況をメモする
発症前に誰と接触していたか、感染者がいたかなどを記録しましょう。 - 労災申請の準備を始める
労災保険の申請書を入手し、必要事項を記入。会社にも相談し、状況を伝えます。 - 労働基準監督署に提出
書類と証拠をまとめ、管轄の労基署に提出します。状況によっては追加資料を求められることもあります。
労災申請は少し面倒に感じるかもしれませんが、もし認定されれば金銭面でも精神面でも大きな支えになります。
不安なときは、会社の労務担当や、地域の労働基準監督署に早めに相談するのがおすすめです。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思っても、まずは聞いてみることが大切です。
まとめ|誰にでも起こりうる話だからこそ、知っておきたい基礎知識
今回の「コロナ感染による7000万円の賠償命令」は、多くの人にとって他人事ではありません。なぜなら、私たちは日々、仕事を通じてさまざまなリスクにさらされているからです。
「安全配慮義務」という言葉は、どこか堅苦しく聞こえるかもしれません。でも本質はとてもシンプルです。「会社は従業員の命を守るために、できる限りのことをしよう」という当たり前の話なんです。
そして、もしあなたが「職場で感染したかも?」と感じたときに、どんな行動を取ればいいのかを知っておくだけで、心の備えがまったく違ってきます。
ここで改めて、この記事のポイントを簡単に振り返っておきましょう。
今後も、どんな感染症が流行するか分かりません。そして、どんな職場でも「まさか」の出来事は起こり得ます。
だからこそ、働く一人ひとりが「自分の身を守る知識」を持っておくことが大切です。情報は、最大の防御手段になります。ぜひあなたのまわりの人にも、この記事の内容をシェアしてみてください。
📌 近藤 健太郎|フリーライター
元新聞記者。社会問題・時事ニュースをわかりやすく伝えるスタイルに定評あり。堅すぎず、でも確実な情報提供を心がけています。