2025年の大阪・関西万博、公式グッズを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。しかし、その人気に便乗して、商品を騙し取ろうとする偽の通販サイトが急増しているのが現状です。
この記事を読めば、そうした偽サイトの危険性を数字で理解し、誰でも3分でできる安全なサイトの見分け方を身につけることができます。
大切なグッズ購入で失敗しないために、そして個人情報を守るために、具体的な自衛策を学んでいきましょう。
万博グッズ偽通販の現状(数字で把握)
まず、今どれだけ危険な状況なのかを、客観的なデータから見ていきましょう。「自分は大丈夫」と思わず、現状を正確に把握することが対策の第一歩です。
直近の発生状況と「344件」のインパクト

「最近、万博グッズの偽サイトが増えているらしい」という話、皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。これはどのくらいの規模なのでしょうか。
セキュリティ企業の調査によると、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」を悪用した偽ショッピングサイトが、直近わずか2週間で344件も確認されたとのことです。これは、私たちが検索エンジンやSNSを使っていると、偶然偽サイトに遭遇してしまう可能性が非常に高いことを意味しています。
これらのサイトは、限定グッズをセール価格で販売するなどお得感を演出し、私たちの購入意欲を巧みに煽ってきます。しかしその実態は、商品が届かない詐欺や、入力した個人情報・クレジットカード情報が盗まれるという二重のリスクをはらんでいるのです。
公式の注意喚起と“類似ドメイン”のリスク
事態を重く見た万博の公式サイトも、繰り返し注意喚起を行っています。では、具体的に何に注意すれば良いのでしょうか。
ポイントは「ドメイン名」です。ドメインとは、インターネット上の住所のようなもので、「expo2025.or.jp」といった文字列のことです。偽サイトは、この公式ドメインに非常によく似た、紛らわしいドメインを使っていることが多いのです。
例えば、「2025expo」や「expo-2025」のように単語の順番を入れ替えたり、ハイフンを入れたりする手口が確認されています。公式が正規ドメインは「expo2025.or.jp」であると明示している以上、それ以外のドメインからの購入は避けるのが賢明な判断と言えるでしょう。
本物の公式窓口・店舗情報の押さえ方
では、どこで買えば絶対に安全なのでしょうか。答えはシンプルで、「公式が案内している場所で買う」ことです。
本物の購入窓口は、公式サイト「expo2025.or.jp」の中で明確に案内されています。具体的には、以下の2つを覚えておけば間違いありません。
- 会場や街中にある物理的なオフィシャルストア:公式サイトに所在地や連絡先が明記されています。
- 公式ECサイト(オンラインストア):ドメインは「expo2025shop.jp」です。
特にオンラインで購入する際は、検索結果や広告から直接アクセスするのではなく、まず公式サイト「expo2025.or.jp」にアクセスし、そこにあるリンクから公式ECサイトへ移動する、という手順を徹底することが最も安全な方法です。
3分でできるドメイン判定(保存版)
ここからは、怪しいサイトを見つけた際に、誰でも3分でできる具体的な万博グッズの偽通販ドメインの見分け方を解説します。この3ステップを習慣づけるだけで、被害に遭うリスクを劇的に減らすことができます。
ステップ1:公式から辿る(expo2025.or.jp→公式案内)
最も重要で、最も簡単なのがこのステップです。怪しいと感じたら、まずはそのサイトを閉じてください。
そして、ブラウザのアドレスバーに直接「expo2025.or.jp」と入力して公式サイトにアクセスし、そこからグッズ販売のページを探しましょう。もし公式ECサイトに移動したら、アドレスバーが「expo2025shop.jp」になっていることを指差し確認します。
この「検索や広告を信じず、必ず公式の入り口から入る」という一手間が、フィッシング詐欺から身を守るための最強の盾になります。
ステップ2:WHOISで作成日・登録者・国を確認
「それでも、このサイトが本物か気になる…」という場合は、ドメインの身元調査をしてみましょう。少し専門的に聞こえますが、やり方は簡単です。
「JPRS WHOIS」というWebサイトを使います。これは、ドメインの登録情報(いつ、誰が登録したかなど)を誰でも無料で確認できるサービスです。ここに怪しいサイトのドメインを入力してみてください。
チェックするポイントは「作成日」です。もしドメインが万博の開幕直前や会期中など、ごく最近作られたものであれば、偽サイトの可能性が非常に高いと言えます。公式のドメインはずっと以前から存在しているはずだからです。
ステップ3:特商法表示で住所・電話・運営実体を確認
最後の砦が、「特定商取引法に基づく表記」の確認です。日本の法律では、通販サイトは事業者の名前、住所、電話番号などを必ずサイト内に表示する義務があります。
偽サイトの多くは、この表記がなかったり、あっても住所が架空だったり、電話番号がデタラメだったりします。記載されている住所をGoogleマップで検索してみる、電話番号にかけてみる(非通知設定推奨)といった一手間で、運営実体が本当にあるのかを確認できます。
もしこの表記が曖昧だったり、連絡が取れなかったりした場合は、そのサイトでの購入は絶対に見送るべきです。
偽装パターン実例と“危険シグナル”
偽サイトには、ドメイン名以外にも共通する「危険シグナル」があります。これらのパターンを知っておくことで、より早く危険を察知できるようになります。
価格・言語・決済の不自然さチェックリスト
偽サイトがよく使う手口や、サイトの作りの甘さを見抜くためのチェックリストです。複数当てはまる場合は、危険度がかなり高いと判断できます。
- 極端な値引き:定価からあり得ないほど割引されている、「会場限定品がセール」などと謳っている。
- 不自然な日本語:機械翻訳を使ったような、おかしな言い回しや誤字脱字が多い。
- 決済方法の偏り:支払い方法が銀行振込のみ(特に個人名義の口座)や、クレジットカード決済しかない。
- 情報不足:「特定商取引法に基づく表記」がない、または内容が不十分。
類似文字列・ハイフン・並び替えドメインの手口
これはドメインの見分け方の応用編です。犯人は、私たちの「思い込み」や「見間違い」を巧みに利用してきます。
公式ドメイン「expo2025.or.jp」や「expo2025shop.jp」に対し、以下のような手口が使われます。
- 並び替え:「2025expo」のように、単語の順番を入れ替える。
- ハイフン挿入:「expo-2025」のように、記号を付け加える。
- 文字置換:アルファベットの「l(エル)」と数字の「1(いち)」、アルファベットの「o(オー)」と数字の「0(ゼロ)」など、見た目が似た文字を入れ替える。
少しでも違和感があれば、それは偽サイトの可能性が高いサインです。公式ドメインをブラウザにブックマークしておき、それと比較するのが最も確実な方法です。
検索広告・SNS誘導の見抜き方
偽サイトへの入り口は、検索エンジンやSNSに巧妙に仕掛けられています。どうすれば、そうした罠を見抜けるのでしょうか。
まず、検索結果の上位に表示される「広告」や「プロモーション」という表記のあるリンクは、必ずしも公式サイトであるとは限りません。広告枠は購入できるため、偽サイトが表示されることもあります。広告はクリックせず、公式サイトを直接探してアクセスする習慣をつけましょう。
また、SNSで公式アカウントを装った偽アカウントからの投稿やDMにも注意が必要です。そのアカウントが本物かどうかは、投稿内容だけでなく、公式サイト内に「公式アカウント一覧」などのページがないかを確認し、そこからリンクを辿ることで確実に見分けることができます。
被害時の最短リカバリー動線
万が一、偽サイトでクレジットカード情報などを入力してしまった場合に、被害を最小限に食い止めるための行動手順を解説します。パニックにならず、迅速に行動することが重要です。
なお、もし被害に遭われた場合のより細かい対応手順は、こちらの記事に詳しく書いてありますのでそちらをご覧ください。
まず止める・通報する・記録する(優先手順)
被害に気づいたら、すぐに行動を開始します。優先順位が大切です。
どういうことかというと、まずは被害の拡大を防ぐ「止める」行動が最優先です。その後、関係各所に「通報」し、最後に証拠を「記録」します。具体的な手順は以下の通りです。
- 止める:すぐにクレジットカード会社に電話し、カードの利用停止手続きを行います。不正利用されていないか、利用明細も確認しましょう。
- 通報する:後述する相談窓口や警察に連絡します。
- 記録する:偽サイトのURL、やり取りしたメール、注文確認画面などをスクリーンショットで保存しておきます。これは後の相談や手続きで重要な証拠になります。
相談・救済ルート(188・警察・協議会)
一人で抱え込まず、専門の窓口に相談することが解決への近道です。どこに連絡すれば良いか、具体的にご紹介します。
まずは「消費者ホットライン188(いやや!)」に電話しましょう。最寄りの消費生活センターにつながり、今後の対応について具体的なアドバイスをもらえます。また、警察の相談専用電話「#9110」に連絡することも有効です。
さらに、偽サイトの情報を「フィッシング対策協議会」の報告フォームから通報することで、サイトの閉鎖などの対策につながり、他の人の被害を防ぐことにも貢献できます。
今後の再発防止(設定・習慣・サービス活用)
一度被害に遭うと、不安な気持ちが続いてしまいますよね。同じ過ちを繰り返さないために、具体的な再発防止策を実践しましょう。
提案したいのは、今後のネットショッピング全般に役立つ3つの習慣です。
- 習慣① ブックマークの活用:公式サイトは必ずブックマークし、次回からはそこからアクセスする。「公式から入る」を徹底します。
- 習慣② パスワード管理の徹底:サイトごとに異なる、複雑なパスワードを設定する。使い回しは絶対にやめましょう。
- 習慣③ セキュリティ意識の向上:クレジットカードの利用明細をこまめに確認する、セキュリティソフトを導入するなど、基本的な対策を怠らないことが重要です。
よくある質問と回答
Q. 万博グッズの公式サイトはどれですか?
A. 万博全体の公式サイトは「expo2025.or.jp」、公式オンラインストアは「expo2025shop.jp」です。この2つをブックマークしておくことを強く推奨します。
Q. セール価格で販売しているサイトは全て偽物ですか?
A. 全てが偽物とは断定できませんが、公式グッズが大幅なセールになることは考えにくいため、極端な値引きを謳うサイトは偽通販である可能性が非常に高いです。まずは疑ってかかるのが安全です。
Q. WHOISで何を確認すれば良いですか?
A. 最も重要なのは「Domain Information: [Created on]」の項目です。ドメインの作成日がごく最近(数ヶ月以内など)の場合は、イベントに便乗して急造された偽サイトの可能性が高いと判断できます。
Q. 被害に遭ってしまった場合、お金は戻ってきますか?
A. クレジットカードの不正利用の場合は、カード会社の補償制度(チャージバック)によって返金される可能性があります。まずは一刻も早くカード会社に連絡し、被害を申告することが重要です。
まとめ:明日からどう変わる?今後の展望と使い方
今回は、急増する万博グッズの偽通販サイトと、そのドメインの見分け方について詳しく解説しました。最後に、重要なポイントを再確認しましょう。
- 公式ドメインは「expo2025.or.jp」と「expo2025shop.jp」の2つだけ。これに似たドメインはまず疑いましょう。
- 見分け方は「公式から辿る」「WHOISで作成日を確認」「特商法表示を確認」の3ステップ。これを習慣づけるだけで安全性は格段に上がります。
- 万が一被害に遭ったら「決済停止→通報→記録」の順で行動。消費者ホットライン「188」を覚えておきましょう。
ネット詐欺の手口は巧妙化していますが、正しい知識を持つことで自衛は可能です。この記事で紹介した方法を実践し、安全に万博グッズのショッピングを楽しんでください。
参考文献
- サイト名: トレンドマイクロ セキュリティブログ:記事名: 偽ショッピングサイト:大阪・関西万博グッズの検索結果からの不正誘導に注意 (出典)
- サイト名: FNNプライムオンライン:記事名: 「ミャクミャク」グッズ販売を装う偽サイトに要注意 会場限定商品を“セール価格”で?個人情報を抜き取られる可能性も (出典)
- サイト名: 読売新聞オンライン:記事名: 大阪万博公式サイトの偽サイトを複数確認、紛らわしいドメイン… (出典)
- サイト名: EXPO 2025 大阪・関西万博 公式:記事名: 類似サイトにご注意ください (出典)
- サイト名: EXPO 2025 大阪・関西万博 公式:記事名: 万博を装う偽サイトにご注意ください (出典)
- サイト名: 2025大阪・関西万博 公式:記事名: 2025大阪・関西万博オフィシャルストア(ATC店舗案内) (出典)
- サイト名: 2025大阪・関西万博 公式EC:記事名: 2025大阪・関西万博公式ライセンス商品オフィシャルオンラインストア(会員登録ページ) (出典)
- サイト名: JPRS:記事名: JPRS WHOISの使い方/JPRS Whois (出典)
- サイト名: 警察庁:記事名: フィッシング対策 (出典)
- サイト名: 消費者庁 特定商取引法ガイド:記事名: 通信販売広告Q&A/通信販売/インターネットで通信販売を行う場合のルール (出典)
- サイト名: 国民生活センター:記事名: そのURLのクリック、ちょっと待って!—フィッシング詐欺の相談が依然高水準— (出典)
- サイト名: 全国の消費生活センター等(国民生活センター):記事名: 消費者ホットライン(188)窓口案内 (出典)
- サイト名: NTTPCコミュニケーションズ:記事名: フィッシングサイトとは?見分け方や事例、対策について解説 (出典)
- サイト名: セコム 安心豆知識:記事名: 偽サイトに注意!ネットショッピングで気をつけるポイント (出典)
- サイト名: かっこ 不正検知メディア:記事名: 偽サイトは簡単に作れる!本物との見分け方や偽サイトの特徴(8つのポイント) (出典)
- サイト名: フィッシング対策協議会:記事名: フィッシングの報告(受付フォーム)/団体紹介・FAQ (出典)


