突如として世界中のWindowsパソコンが青い画面で動かなくなる大混乱が発生!その原因が皮肉にもセキュリティの守り神「クラウドストライク」だったとは…。
航空会社から病院まで、社会インフラを揺るがす大規模障害の全貌に迫ります。
さらに、専門家が教える”青い画面”からの脱出法も公開。デジタル社会の脆弱性が露呈した今、私たちは何を学ぶべきなのか?セキュリティの未来を考える、必読の一本です!
世界中でWindowsパソコンが使用不能に
2024年7月19日、世界中のWindowsパソコンで突然画面が青くなり、使用不能になるトラブルが発生しました。
いわゆる「ブルースクリーン」と呼ばれる現象です。多くの人にとって、パソコンが突然使えなくなる恐ろしい体験となりました。
この問題は午後1時半頃から始まり、SNS上では青い画面の写真と共に困惑の声が多数投稿されました。突然の出来事に、多くの人が戸惑いを隠せない様子でした。
大手企業から病院まで…想定外の被害拡大の実態
この問題の影響は個人のパソコンだけでなく、様々な分野に広がりました。
- 航空会社:国内外の複数の航空会社で、予約システムや発券システムに障害が発生。多くの便が欠航や遅延する事態に。
- 鉄道:JR西日本では列車の位置情報システムに障害が出ました。
- 遊園地:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では、ほぼ全てのレストランやショップで会計ができなくなりました。
- 飲食チェーン:マクドナルドでは全国約3000店舗の3割にあたる約900店舗で営業停止に。
- 医療機関:海外では病院のシステムがダウンし、診療に支障が出たとの報告も。
想像以上に広範囲な影響に、多くの人が驚きを隠せない様子でした。
犯人はセキュリティの守護神?クラウドストライクの思わぬ落とし穴
この大規模な障害の原因は、意外にもセキュリティソフトにありました。
米国のサイバーセキュリティ会社「クラウドストライク」が提供するセキュリティソフト「Falcon(ファルコン)」に問題があったのです。
クラウドストライクは、コンピューターやスマートフォンなどを守る最新のセキュリティ技術を提供する会社です。世界中の大企業や政府機関で使われており、サイバー攻撃から私たちを守る「守護神」的な存在でした。
しかし今回、このセキュリティソフトの一部に問題が発生し、逆にパソコンを使えなくしてしまったのです。守ってくれるはずのものが、思わぬトラブルの原因になるという皮肉な結果となりました。
ブルースクリーンからの脱出法!専門家が教える対処術
この問題に対し、クラウドストライク社から公式の対処方法が公開されました。以下がその手順です。
- WindowsをセーフモードまたはWindowsリカバリー環境で起動します。
- C:\Windows\System32\drivers\CrowdStrike ディレクトリに移動します。
- 「C-00000291*.sys」に一致するファイルを見つけて削除します。 (*には別の文字列が入る可能性があります)
- パソコンを通常通り再起動します。
ただし、この作業はパソコンの動作に大きく関わる部分を変更するため、一般の利用者が行うには危険を伴う可能性があります。
企業で使用しているパソコンの場合は、情報システム部門など、専門知識を持つ担当者の指示を待つことが推奨されています。
個人で使っているパソコンの場合、むやみに操作せず、メーカーのサポート情報を確認するのが賢明です。
重要な注意点として、個人の判断でWindowsを初期化したり、クラウドストライクのソフトウェアを削除したりすることは、新たなセキュリティリスクを生む可能性があるので避けるべきです。
このような対処法が公開されていますが、問題の完全な解決にはクラウドストライク社からのさらなる対応や、修正プログラムの配布を待つ必要があるかもしれません。
※追記情報(7月20日)
原因となったクラウドストライク社から、修正プログラムの配布が始まりました。今回の問題は単に不具合が起きていただけで、セキュリティー問題やサイバー攻撃によるものではないと声明も出ています。
パニックの先に見える未来…今後のセキュリティ対策はどうなる?
今回の出来事は、私たちの生活がいかにコンピューターシステムに依存しているかを改めて示しました。同時に、セキュリティソフトの重要性と、その責任の重さも浮き彫りになりました。
今後、セキュリティ企業はより慎重にソフトウェアの開発や更新を行う必要があるでしょう。また、企業や組織は、一つのセキュリティソフトに頼りすぎず、複数の対策を組み合わせる「多層防御」の重要性を再認識することになりそうです。
私たち個人としても、定期的なバックアップの重要性や、突然のトラブルに備える心構えの大切さを学んだ出来事と言えるでしょう。