YouTubeで人気の切り抜き動画が、突然収益化停止の対象となったことが話題を呼んでいます。
収益化が停止された理由や、許諾を得た動画でさえも収益化が認められない背景、そして今後の切り抜き動画の未来について詳しく解説します。
Youtubeで切り抜き動画の収益化停止が発覚した発端は?
最近、YouTubeで切り抜き動画の収益化が突然停止されるという出来事が多発しています。
この現象が広く知れるようなった発端は、主に海外VTuberプロダクション「hololive EN」の邦訳切り抜きを投稿する「がるぜん」さんの報告から始まりました。
がるぜんさんは、ホロライブプロダクションから許諾を得て切り抜き動画を投稿していたにもかかわらず、YouTubeから「再利用コンテンツ」として収益化停止の通知を受けました。
YouTubeは、がるぜんさんの異議申し立てに対して、「他者が制作したコンテンツをアップロードする行為は再利用コンテンツに関するポリシーに違反している」とし、「所有者から書面により許可を得ている場合でも他者のコンテンツのプロモーションは付加価値とはみなされない」との見解を示しました。
この一連の出来事は、切り抜き動画を投稿する多くのユーザーに衝撃を与えました。
許諾を得て切り抜き動画を作っても収益化は駄目なの!?
切り抜き動画を作成する際、多くのクリエイターは元のコンテンツ制作者やその所属事務所から許諾を得ています。
しかし、それにもかかわらず収益化が停止されるケースが増えているのです。
YouTubeのガイドラインによると、他者のコンテンツを再利用する場合、単に許可を得るだけでは不十分であり、独自の付加価値を加える必要があります。
【拡散希望】
— がるぜん / ホロライブEN和訳 (@guranslation) July 6, 2024
この度@TeamYouTubeから「YouTubeに存在する切り抜き動画は全てプロモーションであり、ポリシーに反する」という見解を受取りました。
YouTubeから明確な回答を得るため、みなさんのお力をお借りできないでしょうか。https://t.co/aNZs4CJpop
例えば、先ほどの「がるぜん」さんは、プロダクションからの許可を得た上で活動していました。
しかし、YouTubeからの通知では、たとえ許可があったとしても、他者のコンテンツをプロモーションとして使用することはポリシー違反と見なされるとのことでした。このため、がるぜんさんの異議申し立ても却下されてしまいました。
このように、YouTubeは再利用コンテンツに対して厳しい姿勢を取っており、単なる許可だけでは収益化の条件を満たさないことがあるのです。
したがって、切り抜き動画を収益化するためには、元のコンテンツに対して翻訳や編集だけでなく、さらに独自の解説や教育的価値などを加える必要があります。
なぜYouTubeは急に切り抜き動画の収益化を停止したの?
上記でも解説した再利用コンテンツの禁止が、ここ最近急に厳しくなったことが背景にあります。切り抜き動画は数年前からありましたが、今までは問題なく収益化されていました。
急に厳しくなった理由は、Youtube側が明らかにしていないので不明です。しかし、ユーザーの間では、以下の2点が理由として語られています。
①AIが作る低品質な切り抜き動画が増えるのを防ぐため:動画の作成が可能な高品質なAIが登場したため、Youtubeを始めとしてAI作の切り抜き動画が増えています。しかし、一部ユーザーは収益目的に低品質なAI作の切り抜き動画を大量にアップロードしており、これが全体の質を落としてしまうと問題となりました。
②そもそも切り抜き動画で収益化できるのがおかしい:切り抜き動画は、元となる動画の宣伝という側面があります。そのため、報酬は元動画の作成者が支払うべきで、Youtube側が支払うのはおかしいという意見です。
切り抜き動画とは何?実は元動画の作成者にもメリットがある
切り抜き動画とは、元の長い動画やライブ配信の一部を抜粋し、再編集して短時間にまとめたものを指します。この形式の動画は、①視聴者②元動画の作成者③切り抜き動画の作成者の全てにメリットがあります。
①視聴者のメリット
②元動画の作成者のメリット
③切り抜き動画の作成者のメリット
切り抜き動画は、その手軽さとプロモーション効果から、多くのクリエイターや企業にとって重要なツールとなっています。
しかし、今回の収益化停止により、元動画の作成者や視聴者にも影響が出るでしょう。
切り抜き動画が減ることで出る影響とは?
切り抜き動画が減少すると、特に影響を受けるのはゲーム配信者やVTuberなど、長時間の動画配信を行うコンテンツクリエイターです。
これらのクリエイターは通常、数時間に及ぶライブ配信を行い、その中で収益を得ています。しかし、長時間の動画は視聴者にとって視聴が難しく、切り抜き動画が重要な役割を果たしているのです。
例えば、ゲーム配信者が行うライブ配信は2~3時間、時には5時間以上にも及びます。長時間のコンテンツは視聴者にとって負担が大きいため、面白い部分や重要なポイントを短くまとめた切り抜き動画が好まれます。これにより、視聴者は手軽に配信者の魅力やゲームの面白さを理解することができます。
VTuberも同様に長時間のライブ配信を行うことが多く、切り抜き動画は新規視聴者を獲得するための重要な手段です。切り抜き動画を通じてVTuberの存在を知り、興味を持った視聴者が元の配信を視聴することもよくあります。
切り抜き動画が減少することで、新規視聴者の獲得が今までよりも難しくなるでしょう。新しい視聴者にとって、長時間の配信を最初から最後まで見るのは大変です。
切り抜き動画がないと、視聴者がクリエイターの魅力を手軽に知る機会が減ってしまいます。結果として、チャンネルの登録者数や再生回数の増加が鈍化し、収益にも影響が出ることが予想されます。
今後、切り抜き動画はどうなる?
今後、YouTubeの切り抜き動画に対する方針が明確になったことで、多くのクリエイターは新たな対応策を模索する必要があります。
収益化が難しくなった切り抜き動画は、これまでのような勢いで量産されることは減少するかもしれませんが、完全に消滅するわけではありません。
以下に、今後の切り抜き動画の今後と対策を3つ紹介します。
1. 切り抜き動画の付加価値を高める
YouTubeの収益化ポリシーに適合するため、切り抜き動画はこれまで以上に独自の付加価値を提供する必要があります。
単なる動画の一部を切り取るだけでなく、独自のコメントや解説、編集技術を駆使してオリジナル性を強化することで、収益化が認められる可能性が高まります。
2. 元動画の作成者が人を雇って、同じチャンネルで切り抜き動画を流す
元の動画を制作する配信者やVTuber自身が、信頼できる切り抜き制作者を雇うことで、この問題に対処できます。
元のチャンネルで公式に切り抜き動画を投稿することで、YouTubeの収益化ポリシーに抵触することなく、視聴者に短時間で魅力を伝える動画を提供できます。
これにより、公式の品質保証がされ、収益も元の配信者に戻る形になります。
3. 収益化せずに趣味で切り抜き動画を作る人が出るかも
切り抜き動画の制作者が収益化を目的とせず、趣味やファン活動として切り抜き動画を作成し続けることも一つの方法です。
この場合、YouTubeの収益化ポリシーに影響を受けることなく、自身の好きなコンテンツを自由にシェアできます。ただし、これは時間と労力を要するため、すべての制作者にとって現実的な解決策ではないかもしれません。
このように、切り抜き動画の収益化が厳しくなる中で、クリエイターたちは新たな対応策を模索し、適応していく必要があります。今後の動向を注視しつつ、柔軟に対応することで、クリエイター活動を続ける道を探ることが求められます。