Ubisoftの最新作『アサシンクリード シャドウズ』が日本の歴史と文化に関する描写で大きな炎上を巻き起こしました。
特に、トーマス・ロックリーによる弥助の描写に関する誤解や、不正確な歴史描写が批判の的となっています。
本記事では、この騒動の背景と具体的な問題点について詳しく解説します。
トーマス・ロックリーとは?その素顔と歴史研究を解説
トーマス・ロックリーは、日本大学法学部准教授であり、言語学習と日本史における専門家として知られています。特に織田信長に仕えた黒人侍・弥助に関する研究で注目を浴びています。本記事では、彼の経歴、研究分野、著作について詳しく紹介します。
トーマス・ロックリーの経歴
トーマス・ロックリー(Thomas Lockley)は、1978年にイギリスで生まれました。
彼は英語教育者であり、現在は日本大学法学部の准教授として活動しています。また、ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)の客員研究員も務めています。
2000年にJETプログラムの参加者として来日し、鳥取県の小学校でALT(外国語指導助手)として働きました。
その後、日本大学で英語および歴史を教える専任講師としてのキャリアを築き、2019年に准教授に昇格しています。
ロックリーの研究分野と著作
ロックリーの研究分野は言語学習、とりわけ内容言語統合型学習(CLIL)を専門としています。
しかし、彼は日本やアジアの歴史に関する研究も行っており、特に注目されるのは彼の弥助に関する研究です。弥助は16世紀に日本にやって来た黒人侍であり、織田信長に仕えた人物です。
2016年にロックリーは弥助に関する論文「The Story of Yasuke: Nobunaga’s African Retainer」を発表し、2017年には『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』という著書を出版しました。
この著書は弥助の生涯と彼が日本で果たした役割についての詳細な研究を基にしています。
2019年には、ジェフリー・ギラードとの共著で『African Samurai: The True Story of Yasuke, a Legendary Black Warrior in Feudal Japan』をアメリカで出版しました。
トーマス・ロックリーの影響力とは
ロックリーの研究は学術界だけでなく、一般読者にも大きな影響を与えました。
彼の著書は、弥助という歴史上の人物を世界に広く知らしめるきっかけとなり、その功績は多くのメディアや文化作品にも取り上げられました。
例えば、Netflixのアニメシリーズ『Yasuke』や、最新の『アサシンクリード シャドウズ』などが挙げられます。
アサシンクリードの炎上騒動!トーマス・ロックリーの関与とは?
トーマス・ロックリーは、彼の著書がアサシンクリードシャドウズの制作に影響を与えたことから、この炎上に巻き込まれることとなりました。
彼の研究と著作がどのようにゲームに反映され、その結果どのような問題が生じたのかについて詳しく見ていきます。
原因になった「アサシンクリード シャドウズ」というゲームは?
アサシンクリード シャドウズは、Ubisoftの人気ゲームシリーズの最新作として発表されました。
このゲームは日本の戦国時代を舞台にしており、その中で弥助という黒人侍が主要なキャラクターとして登場します。
しかし、この弥助の描写や設定に関して、多くの批判と炎上が巻き起こりました。
特に、史実と異なる部分が多いことや、日本の文化や歴史に対するリスペクトの欠如が指摘されています。
トーマス・ロックリーによる弥助研究は正確さに疑問が残る
トーマス・ロックリーは、弥助についての著書『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』を執筆し、その中で弥助を英雄的な黒人侍として描いています。
しかし、ロックリーの研究には歴史的な正確さに欠ける部分が多く、これがゲームにも影響を及ぼしています。例えば、弥助が実際には信長の「荷物持ち」に過ぎなかったとする史実と、ゲーム内での彼の英雄的な描写との間に大きなギャップがあります。
さらに、弥助が織田信長に仕えていた期間は非常に短く、具体的な功績や武士としての活動はほとんど記録に残っていません。それにもかかわらず、ロックリーの著書やアサシンクリード シャドウズでは、弥助が日本の戦国時代において重要な役割を果たしたかのように描かれています。
また、ロックリーの著作には「地元の名士のあいだでは、キリスト教徒だろうとなかろうと、権威の象徴としてアフリカ人奴隷を使うという流行が始まったようだ。弥助は流行の発信者であり、その草分けでもあった。」という記述があります。
これも正確さに欠け、多くの批判を呼んでいます。この記載が原因で、歴史を書き換えているとの声がSNSで多く見られます。
さらにロックリーは、Wikipediaの記事を自身の主張に沿うように編集し、それを基に自身の著作を構築していたことが明らかになりました。
これにより、弥助の歴史が改竄され、ゲームや他のメディアで誤った形で広まってしまったのです。
【追記】著名人がトーマス・ロックリーと弥助問題に言及し炎上している件
近年、トーマス・ロックリーによる弥助問題やアサシンクリード問題に関して、著名人が発言し炎上するケースが相次いでいます。
多くの著名人は「たかがゲームの問題」「ゲームはフィクションだから現実と異なる点があっても問題ない」という主旨の発言をしていますが、この見解には重大な誤解があります。
実際のところ、今回の弥助問題の本質は、アサシンクリードというゲーム自体ではなく、不正確な歴史を事実として紹介したことにあります。
弥助に関する情報が多くの誤りを含んでいるだけでなく、ウィキペディアの情報を改ざんするという行為は、学術的な観点からも非常に問題があります。
さらに深刻なのは、日本の歴史において海外から多くの奴隷を買っていたという誤った認識を広めかねない点です。
つまり、この問題は「たかがゲーム」で済ませられるものではなく、歴史の改ざんという学術的な問題であり、同時に日本に対するヘイトスピーチにもつながりかねない重大な事態なのです。
ゲームというエンターテインメントの枠を超えて、歴史認識や文化的アイデンティティにまで影響を及ぼす可能性がある以上、軽視すべきではありません。
炎上中のアサシンクリード シャドウズの問題点とは
アサシンクリード シャドウズは、その歴史的な設定や文化的な描写に対して多くの批判を受けています。ゲーム内での弥助の描写だけでなく、他の要素についても多くの問題点が指摘されています。
1. 日本と中国の文化的混同 ゲーム内で使用された建築やアートファクトの中には、日本のものではなく中国のものが多く含まれていました。
例えば、ゲーム内で使用された建物が中国のものであったり、イベントで展示された刀が実際には日本のものではなく、中国のものであったことが判明しました。
このような文化的混同は、日本の歴史や文化に対するリスペクトに欠けるとして批判されています。
2. 不正確な歴史描写 アサシンクリード シャドウズは、史実に基づいたフィクションを謳っていますが、その歴史描写には多くの誤りがありました。例えば、以下のような点が問題視されています。
- 弥助の役割:ゲーム内では、弥助が信長の側近として活躍するシーンが描かれていますが、実際には彼の役割は「荷物持ち」に過ぎなかったとされています。
- 時代背景の矛盾:ゲーム内で描かれる出来事やキャラクターの設定が、実際の歴史的背景と一致していないことが多く、特に戦国時代の日本の描写に関しては多くの批判が寄せられています。
3. キャラクターデザインの不一致 ゲーム内のキャラクターデザインにおいても、歴史的な正確さが欠けていると批判されています。
特に、弥助や他の主要キャラクターのデザインが、当時の日本の文化や風習と大きく異なる点が指摘されています。これにより、プレイヤーに対して誤った歴史的イメージを植え付ける恐れがあると問題になっています。
まとめ
今回の騒動は、トーマス・ロックリーの研究とその影響が大きな原因となっています。
彼の著書『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』は、歴史的な正確さに欠ける部分が多く、そのために弥助の実像が歪められました。この歪みが、アサシンクリード シャドウズの設定や描写に大きな影響を与え、ゲームの炎上の一因となっています。
特に、ロックリーが自身の主張を支持するためにWikipediaの記事を編集し、それを基にした著書が広まったことが問題視されています。
このような行為が、歴史の改竄と見なされ、多くの批判を招いています。さらに、弥助以外の不正確な情報も含まれており、これがさらに炎上を拡大させました。
結果として、トーマス・ロックリーの研究とその影響は、アサシンクリード シャドウズの炎上を引き起こし、彼の著書に対する信頼性も大きく損なわれました。この騒動は、歴史研究における正確さと誠実さの重要性を改めて浮き彫りにしています。