「2025年7月に大災害が…」そんな衝撃的な予言が、漫画家たつき諒さんの作品『私が見た未来 完全版』をきっかけに広がり、香港では日本旅行のキャンセルまで相次いでいると報じられています。
あなたは、「本当にそんなことが起こるの?」「なぜこんなにも多くの人が信じているんだろう…」と、不安や疑問を感じているかもしれません。
この記事では、なぜ私たちは“当たるかもしれない予言”に心を揺さぶられるのか、その深層心理を掘り下げるとともに、情報が錯綜する現代で私たちがどう向き合っていくべきかのヒントを探ります。この記事を読めば、いたずらに不安を煽られることなく、予言や情報と賢く付き合うための視点が得られるはずです。
『私が見た未来』とは?今、なぜこれほど注目されているのか
ここでは、まず話題の中心となっている漫画『私が見た未来 完全版』がどのような作品で、なぜこれほどまでに人々の関心を集めているのか、その背景を一緒に見ていきたいと思います。作品の概要や作者のこと、そして社会に与えている影響について、少し詳しく触れていきましょう。
話題の漫画「私が見た未来 完全版」と“2025年7月”の予言内容
『私が見た未来 完全版』は、漫画家のたつき諒さんが過去に見た予知夢などを基に描かれた作品です。1999年に一度世に出た後、2021年に新たな予知夢や「夢日記」の内容を加えて再刊行されました。たつき諒さんは1954年生まれ、1975年にデビューし、1999年に漫画家を引退された方だそうです。
「東日本大震災を予言した」は本当?絶版本からの経緯と拡散の背景
この作品が注目される大きな理由の一つに、1999年刊行の初版『私が見た未来』の表紙に「大災害は2011年3月」と書かれていた、という点があります。実際に2011年3月に東日本大震災が発生したことから、「予言が的中した」と一部で話題になりました。
この「的中」とされる過去が、今回の「2025年7月」の予言にも大きな影響を与え、多くの人の関心を集める要因となっているのかもしれません。
香港で旅行キャンセル相次ぐ…国内外への影響と現状
そして、この予言の影響は日本国内に留まらず、特に香港で大きな反響を呼んでいます。香港の航空会社「グレーターベイエアラインズ」が、2025年5月から10月にかけて一部の日本路線を減便すると発表しました。その理由として、7月に日本で大災害が発生するとの情報が広まり、需要が急減していることを挙げています。
なぜ私たちは予言を信じてしまうのか?その深層心理と向き合い方
科学的な根拠がないと頭では分かっていても、どこか気になったり、心の片隅で「もしかしたら…」と感じてしまったり。ここでは、そんな予言と私たちの心の不思議な関係について、少し深く掘り下げてみたいと思います。どうして私たちは、時に予言に強く惹きつけられるのでしょうか。
「もしかしたら…」が「きっとそうだ!」に変わる心のカラクリとは?
私たちの心には、無意識のうちに特定の情報を信じやすくさせる働きがあると言われています。例えば、「確証バイアス」というものがあります。これは、自分が「こうだ」と思っていることや信じたいことを肯定する情報ばかりを集めてしまい、反対の情報は無視したり、あまり重要ではないと感じたりする心の傾向のことです。血液型占いで「A型は几帳面」と信じていると、A型の人が几帳面に行動している場面ばかりが目につき、「やっぱりそうだ」と確信を深めてしまう、といった経験はありませんか?
また、「バーナム効果」もよく知られていますね。これは、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な記述を、「まさに自分のことだ!」と特別に感じてしまう心理です。占いで「あなたは時々、将来について不安を感じることがありますね」と言われると、多くの人が「どうしてわかるんだろう?」と感じてしまうのは、この効果が働いているのかもしれません。
さらに、「アポフェニア」という、無関係な事柄同士に意味や関連性を見出してしまう心の働きも、予言を信じる心理と関係がありそうです。偶然起きた出来事を「これは何かの前触れだ」とか「運命的な繋がりがある」と感じてしまう、といった具合です。
ノストラダムスから続く「終末予言」の歴史と私たちの変わらぬ不安
「未来がどうなるか知りたい」という気持ちや、「いつか終わりが来るのかもしれない」という漠然とした不安は、昔から人々が抱いてきた感情なのかもしれません。
16世紀の占星術師ノストラダムスが「1999年7月に恐怖の大王が降ってくる」と予言したとされる話は、特に日本では1970年代に五島勉さんの本をきっかけに大ブームになりましたね。テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられ、社会現象とまで言われました。結果として1999年7月に特別なことは起こりませんでしたが、多くの人が固唾を飲んでその時を待っていた記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、比較的記憶に新しいところでは、「マヤ暦が2012年12月21日で終わるため、人類が滅亡する」という説も世界中で話題になりました。関連する本や映画も作られましたが、こちらも専門家からは「単なる暦の周期の終わり」と説明され、特別なことは起こりませんでした。
こうした過去の騒動を振り返ると、社会が不安定な時期や、人々が将来に漠然とした不安を感じている時に、予言や終末論が広まりやすい傾向があるのかもしれません。
作者たつき諒さんの「前向き」発言の真意は?予言との“賢い”付き合い方
今回の『私が見た未来 完全版』について、作者のたつき諒さんや出版社の飛鳥新社は、「防災意識の向上にもつながる」「いたずらに不安をあおることを意図しているものではない」とコメントしています。
<h2>情報に惑わされないために私たちが今できること</h2>
日々、たくさんの情報が私たちの周りを飛び交っています。中には、心を揺さぶるような予言や、真偽の確かではない噂も含まれていることでしょう。ここでは、そんな情報過多の時代に、私たちがどうすれば惑わされずに、自分の心を守りながら賢く情報と付き合っていけるのか、具体的なヒントを一緒に考えてみたいと思います。
その情報、本当に正しい?ファクトチェックの重要性と具体的な方法
何か気になる情報に触れた時、すぐにそれを信じてしまう前に、一度立ち止まって「これは本当に正しいのかな?」と考えてみることが大切です。これが「ファクトチェック」の第一歩です。
具体的には、まず情報の出所を確認してみましょう。誰が、いつ、どこで発信した情報なのか。もし可能であれば、元の情報(一次情報)まで遡ってみることが理想的です。また、一つの情報源だけでなく、複数の異なる情報源で同じ内容が報じられているかを確認することも有効です。公的な機関や、その分野の専門家が発信している情報かどうかも、信頼性を見極める上での手がかりになります。
SNS時代のデマ拡散…私たちはどう情報と接すれば良いのか?
SNSは情報を素早く手軽に共有できる便利なツールですが、一方で、誤った情報やデマもあっという間に広がってしまう危険性をはらんでいます。
特に注意したいのが、「エコーチェンバー現象」や「フィルターバブル」と呼ばれる状態です。これらは、自分と似た考えの人とばかり繋がっていたり、アルゴリズムによって自分の好む情報ばかりが優先的に表示されたりすることで、まるで自分の意見が増幅されて聞こえるような、あるいは自分だけの泡の中にいるような感覚に陥り、視野が狭くなってしまう現象を指します。
このような状態では、誤った情報でも正しいと信じ込みやすくなったり、特定の考えに偏ってしまったりすることがあります。SNSで情報に接する際は、少し距離を置いて客観的に眺めてみる、多様な意見に触れることを意識するといった心構えが大切かもしれません。
不安を煽る情報から心を守るために知っておきたいこと
予言や災害に関する情報など、不安を掻き立てるような情報に触れ続けると、心が疲れてしまうことがあります。そんな時は、意識的に心を守るためのケアをすることも考えてみましょう。
例えば、「マインドフルネス」という方法があります。これは、「今、この瞬間」の自分の状態に意識を集中することで、過去の後悔や未来への不安といった雑念から心を解放し、ストレスを和らげる効果が期待できるものです。椅子に座って目を閉じ、ただ自分の呼吸に意識を向ける、といった簡単なことから始められます。
また、定期的にSNSやニュースから離れる「情報デトックス」の時間を作るのも良いでしょう。不安な気持ちを信頼できる人に話してみたり、時には専門家の助けを借りたりすることも、決して特別なことではありません。
【まとめ】
『私が見た未来』を巡る一連の騒動は、私たち自身が情報や「見えない未来」とどう向き合うかを映し出す鏡のようです。
予言が当たるか外れるかの一点に心を奪われるのではなく、それが私たちに何を気づかせ、どんな行動を促すきっかけになるのかを考えること。そして、溢れる情報の中から真実を見抜く目を養い、いたずらに心を揺さぶられることなく、日々の生活と防災への備えを大切にすること。それが、この予言騒動から私たちが得られる最も重要な教訓ではないでしょうか。
大切なのは、未来を恐れることではなく、今をどう生きるか、そしてどんな未来を自ら作っていくか、その視点を持つことなのかもしれません。すぐに答えは出せないけれど、私たちも考え続ける必要があるのかもしれませんね。