『続・続・最後から二番目の恋』第4話、ご覧になりましたか? 真平先生(坂口憲二さん)の主治医・門脇先生との突然の別れのシーン、思わず胸が締め付けられましたよね…。
私も、あの温かくて優しい門脇先生がもう登場しないのかと思うと、寂しい気持ちでいっぱいになりました。
でも、あの感動的なエピソードの裏には、門脇先生を演じた俳優・高橋克明さんが、昨年(2024年)8月に実際に亡くなられていたという、もう一つの悲しい事実があったんです。
「えっ、そうなの…?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。そして同時に、「どうして制作陣は、代役を立てたり、何も触れずにいるのではなく、あえてドラマの中で『死』を描くという、少し珍しい選択をしたんだろう?」そんな疑問も浮かんできませんか?
この記事では、単なる偶然や話題作りではない、故・高橋克明さんへの深い愛とリスペクト、そして『最後から二番目の恋』という作品が持つ特別な覚悟について、他のメディアではあまり語られていない背景まで、心を込めて掘り下げていきます。
読み終える頃には、あの涙の本当の意味、そして制作陣の温かい想いが、きっとあなたの心にも深く響くはずです。
あの感動は偶然じゃなかった…門脇先生の”不在”と高橋克明さんの現実

ドラマの中での突然の別れ。それは、現実の世界で起こった悲しい出来事と繋がっていました。
第4話で、和平(中井貴一さん)の妹・典子(飯島直子さん)が真平に「門脇先生、亡くなったんだって?」と問い詰めるシーン。そして、真平がその事実から目を背けていたことを知った兄姉が、彼を諭す場面がありましたね。
「劇中の設定なのかな…」と思っていた方もいたかもしれませんが、実は、門脇先生役を演じていた俳優の高橋克明(たかはし かつあき)さんは、2024年8月19日に心筋梗塞のため、59歳という若さで実際にこの世を去られていたのです。
この事実は、ドラマ放送後にニュースやSNSで広まり、「知らなかった…」「だからあのシーンはあんなに…」と、多くの視聴者に衝撃と、そして新たな感動を与えました。ドラマの中の出来事が、現実の俳優さんの人生と重なり合う…。それは、私たち視聴者にとっても、予期せぬ、そしてとても切ない体験となりましたよね。
そもそも…門脇先生役・高橋克明さんってどんな俳優さんだった?
「門脇先生の俳優さん、亡くなっていたんだ…」「高橋克明さんって、他にどんな役をされていたんだろう?」そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。ここで少し、高橋克明さんという素敵な俳優さんについて触れてみたいと思います。
温かい人柄が画面からも…『最後から二番目の恋』での”ハマり役”
『最後から二番目の恋』シリーズ(2012年、2014年)で高橋さんが演じた門脇先生は、鎌倉の町の頼れるお医者さん。主人公たちが健康診断を受けたり、ちょっとした相談事をしたりする場面で登場し、その穏やかで優しい雰囲気が印象的でしたよね。
当時のSNSなどを見ても、「門脇先生が出てくるとホッとする」「あの笑顔に癒される」といった声が多く、ドラマに欠かせない温かい存在として愛されていたことが分かります。いつも少し騒がしい(笑)長倉家や千明たちの日常の中で、門脇先生の存在は、まるで陽だまりのような安心感を私たちに与えてくれていました。
高橋さんご自身も、共演者の方々から「温かい人柄で、現場を和ませてくれた」と語られるような方だったそうです。その人柄が、門脇先生という役を通して、画面越しにも伝わってきていたのかもしれませんね。
実はあのドラマにも!名バイプレイヤーとしての忘れられない顔
高橋克明さんは、いわゆる「名バイプレイヤー」として、数多くのドラマや映画で活躍されてきました。もしかしたら、「あ!あのドラマにも出てた!」と思い当たる作品があるかもしれません。
たとえば、少し前の作品になりますが、ドラマ『火垂るの墓』(2005年)などにも出演されています。
主役ではないけれど、その確かな演技で物語に深みを与え、記憶に残る…。そんな素晴らしい俳優さんでした。今回のニュースで初めてお名前を知ったという方も、ぜひ高橋克明さんという俳優さんがいたことを、心に留めていただけたら嬉しいなと思います。
なぜ代役じゃない?制作陣が”あえて死を描いた”3つの理由【独自考察】
さて、ここからが本題です。なぜ制作陣は、代役を立てたり、他の理由で役をフェードアウトさせたりするのではなく、門脇先生が「亡くなった」という設定を選んだのでしょうか?とてもデリケートな問題ですし、簡単な決断ではなかったはずですよね。
そこには、きっと制作陣の深い想いと、このドラマならではの理由があったのではないか…と私は考えています。ここでは、その理由を3つの視点から、少し深掘りしてみたいと思います。
理由①:「人生のリアル」から目を背けない。ドラマが貫く覚悟【シリーズのテーマ性】
『最後から二番目の恋』シリーズは、キラキラした恋愛ドラマというよりは、40代、50代の男女の日常や、ままならない人生、そしてその中で見つける小さな幸せや人との繋がりを、コミカルに、そして時にシリアスに描いてきた作品ですよね。
年齢を重ねること、体の変化、そして「死」という、誰もがいつかは向き合わなければならない現実…。このドラマは、そういった人生のリアルから目を背けずに、登場人物たちがそれらとどう向き合い、生きていくかを描いてきたように思います。
脚本家の岡田惠和さんも、インタビューなどで「人は誰しも死と隣り合わせで生きている。だからこそ、日常の何気ない瞬間を大切に描きたい」といった趣旨の発言をされています。
そう考えると、高橋克明さんの訃報を受けて、その事実を物語の中で「なかったこと」にするのではなく、登場人物たちがそれを受け止め、乗り越えていく姿を描くことこそが、このドラマが貫いてきた「人生のリアルを描く」というテーマに対する誠実な向き合い方だったのかもしれません。それは、作り手としてのひとつの「覚悟」の表れとも言えるのではないでしょうか。
理由②:故人への最大限のリスペクトと、天国への”はなむけ”【制作陣の愛】
コメント欄などでも「役者さんへの愛を感じる」「制作陣の優しさに涙」といった声が多く見られましたよね。私も、今回の脚本には、故・高橋克明さんへの深いリスペクトと愛情が込められているように感じました。
代役を立てれば、物語は何事もなかったかのように続けられたかもしれません。でも、それでは高橋さんが演じた「門脇先生」という存在が、少し曖昧になってしまう可能性もありますよね。
あえてドラマの中で「亡くなった」という事実を描き、登場人物たちがそれを受け止め、悼む姿を見せること。それは、高橋さんがこの作品に確かに存在し、愛されていたことの証となり、俳優として生きた彼への最大限の敬意と、天国への「はなむけ」になったのではないでしょうか。
あるコメントには「役者冥利に尽きると思う」という言葉もありましたが、自分が演じた役が、作品の中で大切にされ、多くの人に偲ばれる…それは、俳優さんにとって、とても光栄なことなのかもしれません。
【独自考察】脚本家・岡田惠和さんが込めた「時間」と「繋がり」のメッセージとは?
脚本家の岡田惠和さんの作品は、人と人との繋がりや、流れていく時間の中で変化していくもの、それでも変わらないものを、とても温かい視点で描いている印象があります。
今回の脚本でも、門脇先生の死という出来事を通して、真平が自身の病気や人生と向き合い、兄姉との絆を再確認する姿が描かれていましたよね。それは、単に悲しい出来事として描くだけでなく、「死」が遺された人々に与える影響や、そこから生まれる新たな「繋がり」や「気づき」をも描こうとしていたのではないでしょうか。
門脇先生という存在は、いなくなってしまったけれど、彼が遺した温かい記憶や言葉は、登場人物たちの心の中に生き続けていく…。そんな、目に見えない「時間」や「繋がり」の大切さを、岡田さん流の優しいメッセージとして伝えたかったのかもしれない…そんな風にも感じられます。
他のドラマとは違う?『最後から二番目の恋』流「別れ」の描き方の”特別さ”
テレビドラマの世界では、残念ながら、出演者の方が亡くなられたり、何らかの事情で降板されたりすることは、時折起こります。その際の対応は、ドラマによって様々です。
たとえば、人気シリーズ『相棒』では、大杉漣さんが演じられていた役を、杉本哲太さんが引き継がれました。また、NHK大河ドラマなどでは、役の重要性から代役が立てられることもあります。一方で、役柄の設定を変更したり、物語から自然にフェードアウトさせたりするケースも少なくありません。
どれが正解というわけではありませんが、それぞれの判断には、物語の都合や制作上の様々な「大人の事情」も絡んでくるのでしょう。
一条さん(織本順吉さん)の時も…受け継がれる”優しい眼差し”【ファンなら知ってる話】
『最後から二番目の恋』シリーズのファンの方なら、覚えている方も多いかもしれません。シリーズ初期から登場していた、ちょっと頑固だけど味のある一条さんを演じていた俳優の織本順吉さんも、2019年に亡くなられています。
その後のシーズン(今回の『続・続~』の前作にあたるスペシャルドラマなど)では、一条さんの不在が寂しさとともに描かれ、登場人物たちの会話の中で、彼の存在が大切に語られていました。当時も、「制作側の配慮が温かい」と多くのファンが感動したのを覚えています。
今回の高橋克明さんのケースも、この織本さんの時と同様に、故人への敬意と、作品の世界観を大切にする『最後から二番目の恋』ならではの「優しい眼差し」が一貫して流れているように感じられますよね。
もし他の人気ドラマだったら?考えられる「大人の事情」と今回の違い
もし、これが他のタイプのドラマだったら、もっと違う対応になっていた可能性も考えられます。たとえば、物語の展開上、どうしてもその役が必要不可欠な場合は、やはり代役を立てることが優先されたかもしれません。あるいは、スポンサーへの配慮など、様々な「大人の事情」で、俳優さんの死には直接触れないという判断もあったかもしれません。
でも、『最後から二番目の恋』は、そうした制作上の都合よりも、作品が持つテーマ性や、長年作品を支えてくれた俳優さんへの敬意、そして視聴者の気持ちに寄り添うことを、より大切にしたのではないでしょうか。その選択が、結果的に多くの視聴者の心を打ち、「このドラマだからこそできたこと」という特別な感動を生んだのだと思います。
【まとめ】脚本に涙…私たちが受け取った”温かいバトン”と故人への想い
今回は、『続・続・最後から二番目の恋』で描かれた門脇先生の死の裏にあった、俳優・高橋克明さんの訃報と、制作陣が「あえて死を描いた」理由について、掘り下げてみました。
そこに見えてきたのは、
- 人生のリアルから目を背けないという、ドラマが持つ覚悟
- 故・高橋克明さんへの深いリスペクトと、制作陣の温かい愛情
- 「時間」や「繋がり」を描こうとする、脚本家・岡田惠和さんのメッセージ
- シリーズを通して受け継がれる、故人への「優しい眼差し」
といった、このドラマならではの特別な想いでした。
もちろん、これは私の個人的な考察も含まれますし、本当の理由は制作に携わった方々にしか分かりません。でも、あの脚本が、単なるストーリー展開のためだけでなく、高橋克明さんという一人の俳優さんへの「はなむけ」であり、私たち視聴者への「温かいバトン」であったと信じたい気持ちです。
高橋克明さんのご冥福を心よりお祈りするとともに、彼が遺してくれた温かい門脇先生の記憶を、大切にしていきたいですね。
そして、『最後から二番目の恋』というドラマが、これからも私たちに、人生の様々な局面と向き合うヒントや、心がふっと温かくなるような瞬間を届けてくれることを期待したいと思います。
📌 水野 恵理|心理学専攻フリーライター 大学で心理学を学び、人の心や感情の動きに関心を持つ。エンタメ作品(特にドラマや映画)を心理学的な視点から読み解き、その魅力を伝える記事を執筆中。読者の心に寄り添う、温かみのある文章を心がけています。