北海道奈井江町で親子とみられるヒグマが目撃され、住民に不安が広がっています。
ところが、地元猟友会と町の交渉が決裂し、いざという時に駆除が困難になりました。
地元猟友会と町の交渉が決裂した背景や、現在のクマ対策の現状、そして住民が取るべき安全対策について詳しく解説します。
奈井江町で地元猟友会と町の交渉決裂の背景とは?
北海道奈井江町で熊が目撃されるという報告が相次ぎましたが、地元猟友会との交渉が決裂し、クマ対策が難航しています。
奈井江町は、猟友会に対して日当8500円、発砲した場合は1万300円を提示しましたが、猟友会はこの金額が危険な業務に対して低すぎると主張し、出動を辞退しました。
実は町が地元猟友会に提示した報酬額には、クマの駆除だけでなく、その後の運搬処理や解体、焼却処分まで含まれているため、非常に報酬が低くなっています。
例えば、札幌市では出動に2万5300円、熊を捕獲し運搬するとさらに3万6300円で合計61600円が支払われます。
特に、猟友会員は誤射や事故が起きた場合には法的責任を負う立場にあり、それだけのリスクを背負うには報酬が見合わないと感じています。
クマ駆除の報酬を他地域との比較!周辺ではどのくらい?
北海道奈井江町の周辺の熊駆除の報酬を、比較表としてまとめました。
市町村名 | 巡視の報酬 | 駆除の報酬 | クマ1頭の報酬 |
---|---|---|---|
奈井江町 | 1日8,500円 | +1,800円(発砲) | – |
新十津川町 | 1回5,000円 | – | 60,000円 |
砂川市 | 1日8,500円 | +1,800円(発砲) | – |
浦臼町 | 1回15,000円 | – | – |
芦別市 | 1回11,000円 | – | 30,000円 |
上砂川町 | 1回8,800円 | +1,800円(駆除) | – |
美唄市 | 年間契約500万円 | 日当なし | – |
札幌市 | 1回25,300円 | 36,300円(捕獲・運搬) | – |
他の地域と比較すると、奈井江町と砂川市、上砂川町の報酬額がいかに低いかが明らかです。例えば、札幌市では巡視1回につき25,300円、捕獲と運搬で36,300円が支給されます。
報酬が低すぎると、猟友会が危険を冒してまで出動する意欲を失い、結果的に住民の安全が脅かされることになります。
美唄市のように、年間契約で約500万円を支給し、安定した収入を保証することで、猟友会の協力を得る方法もあります。
地元ハンターは報酬の低さで士気低下
奈井江町では、猟友会との交渉決裂により、警察や町職員、無報酬の地元ハンターにクマ駆除を依頼しています。
しかし、報酬が低すぎるためハンターの士気が低下しています。
他の地域では、札幌市が出動1回につき25,300円、捕獲・運搬で36,300円など高額の報酬を支給しており、これに比べて奈井江町の報酬は非常に低いです。
また、法的責任の問題も重要です。誤射や事故が発生した場合、法的責任を負うのはハンター自身です。
適切な報酬と法的保護が整備されない限り、ハンターの協力を得るのは難しいでしょう。
保険の提供や必要な装備の整備、地域全体での教育・啓発活動を通じて、ハンターが安心して活動できる環境を整えることが求められます
クマから身を守るための具体的な対策方法
以下に、熊から身を守るための具体的な対策をまとめます。
- 生ごみの適切な処理:熊が来ない場所で保管し、専用のごみ箱を使用する
- 柿の木を除去:熊が食べに寄ってきてしまうため、民家周りの柿の木といった食べ物がなる植物を除去する
- 外出時に注意する:熊が出没しやすい時間帯(早朝・夕方)や場所を避ける
- 音を立てる:外出時には熊よけの鈴やラジオを持ち歩き、熊に自分の存在を知らせる
- 目撃情報の共有:熊を目撃した場合は速やかに自治体や近隣住人に報告し、情報を共有する
もし遭遇した場合は、熊を刺激せずにゆっくりと静かに立ち去ってください。攻撃したり騒いだりすると、熊が敵と判断し襲ってくることがあります。
特に子熊がいた場合は、絶対に近寄らずその場から離れましょう。子熊の近くには母熊がいて、子育て中は攻撃的になっているため危険です。
まとめ:交渉決裂で今後の熊対策に課題が山積み
地元猟友会との交渉決裂がもたらす影響は大きく、今後のクマ対策においても課題が山積しています。
近年では熊による被害が増えており、実害が出る前に何とか対策して欲しいところです。
しかし、奈井江町だけでの対処は困難であり、国や道庁の介入が不可欠です。住民の安全を守るためにも、早急な対応が求められます。