「年利7%」という高い利回りが魅力の「みんなで大家さん」。老後の資産形成を考える上で、非常に気になるサービスですよね。しかしその一方で、「本当に安全なの?」「元本割れのリスクはないの?」といった不安の声もよく耳にします。
この記事を読めば、みんなで大家さんで元本割れが起こる可能性や、その具体的なリスク要因、そして投資家自身が今すぐできる対策まで、専門的な視点から分かりやすくご理解いただけます。
大切な資産を守るために、まずは仕組みとリスクを正しく知ることから始めましょう。
「実は安全じゃない?」みんなで大家さんの元本割れリスクの真実
公式サイトなどでは「過去17年間、元本評価割れなし」という実績が強調されていますが、これをもって「絶対に安全」と考えるのは少し早いかもしれません。この実績が何を意味するのか、そしてその裏にある仕組みについて、まずは正確に理解していきましょう。
元本保証がない不動産投資の仕組み

まず大前提として知っておくべきは、「みんなで大家さん」は元本が保証された商品ではない、ということです。どういうことかというと、日本の法律(出資法)では、事業者が投資家に対して元本の保証を約束することは禁止されているんですよね。
不動産投資は、経済状況や地価の変動、賃貸需要の変化によって収益が左右されるため、銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。あくまで過去の実績は未来を約束するものではない、という冷静な視点が不可欠です。
過去17年間「元本評価割れなし」の実績の意味
では、「元本評価割れなし」とはどういう意味なのでしょうか。これは、投資対象の不動産の「評価額」が、投資家が出資した元本の総額を下回ったことがない、という実績を示しています。
しかし、これはあくまで「評価額」の話です。実際に不動産を売却する際には、その時の市況によって評価額よりも低い価格でしか売れない可能性も十分にあります。この実績が、将来にわたってあなたの元本が守られることを保証するものではない、という点は強く認識しておく必要があります。
優先劣後システムでも100%安全ではない理由
「みんなで大家さん」では、投資家の元本を守る仕組みとして「優先劣後システム」を採用しています。これは、不動産価格が下落した際に、まず運営会社(劣後出資者)の出資分から損失を負担し、それでもカバーしきれない場合に初めて投資家(優先出資者)の元本に影響が出る、という仕組みです。
一見すると安全に思えますが、注意点があります。運営会社の劣後出資割合は、一般的に全体の20%程度なんです。つまり、不動産の価値が20%を超えて下落した場合は、投資家の元本も毀損し、元本割れが発生するリスクがある、ということです。
あなたの100万円は本当に安全?知らないと危険な3つのリスク要因
では、具体的にどのような場合に20%を超えるような価値の下落、つまり元本割れのリスクが発生するのでしょうか。ここでは、特に注意すべき3つのリスク要因を解説します。
リスク1:地価下落による売却損の可能性
最も分かりやすいリスクが、不動産市況の悪化による地価下落です。例えば、リーマンショック時には、日本の商業地の地価が2年間で約20%以上も下落したという記録があります。このような経済危機が再び起これば、優先劣後システムだけでは元本を守りきれない可能性があります。
また、「成田シリーズ」のような郊外の大型開発案件では、都心部と比べて地価の上昇が限定的であったり、当初の想定通りに資産価値が伸びなかったりする懸念も指摘されています。購入時の価格以上で売却できなければ、元本割れに直結してしまいます。
リスク2:開発計画の遅延・中止による収益悪化
みんなで大家さんが投資対象とする不動産の中には、大規模な開発プロジェクトも含まれます。こうしたプロジェクトは、許認可取得の遅れや建設コストの上昇など、様々な要因で計画が変更・遅延するリスクを常に抱えています。
事実、「成田空港周辺開発プロジェクト」では、土木工事の工期が3度も延期されています。開発が予定通り進まなければ、期待していた賃料収入が得られず、分配金の支払いが滞ったり、最終的な売却価格が想定を下回ったりする危険性があります。
リスク3:運営会社の財務悪化・倒産リスク
これは最も深刻なリスクと言えるかもしれません。匿名組合契約という仕組み上、私たち投資家は不動産の所有権を持つわけではなく、あくまで「分配金を受け取る権利」を持つに過ぎません。そのため、万が一運営会社が倒産してしまった場合、投資した資金が一切戻ってこない可能性があります。
実際に、2025年には類似の不動産小口化商品「DAIMLAR FUND」の運営会社が破産し、初の元本割れ事例が発生しています。運営会社の財務状況は、投資家の資産に直結する極めて重要なチェックポイントなのです。
【2025年最新】行政処分で明らかになった運営上の問題点
最近、「みんなで大家さん」の運営会社が行政処分を受けたというニュースを目にした方も多いのではないでしょうか。これは、投資を検討する上で見過ごすことのできない重要な情報です。具体的に何が起きたのか、事実を整理してお伝えします。
東京都・大阪府による業務停止処分の内容
2024年6月17日、東京都は販売会社である「みんなで大家さん販売株式会社」に対し、30日間の業務一部停止処分を下しました。また、大阪府も営業者である「都市綜研インベストファンド株式会社」に同様の処分を行っています。
処分の理由としては、契約前に投資家に渡すべき書面に不備があったことや、投資対象の不動産が変更された際に十分な説明がなされていなかったことなどが挙げられています。これは、投資家保護の観点から運営体制に問題があったことを示唆しています。
分配金遅延が27商品で発生中の実態
さらに深刻なのは、分配金の遅延です。2025年7月以降、成田シリーズ18商品で分配金の支払いが3ヶ月連続で遅延し、同年9月には他の商品も含めて合計27商品で遅配が発生していると報じられています。
この問題は、約3万8,000人の投資家から集めた約2,000億円という非常に大規模な案件で発生しており、多くの投資家が不安を抱えている状況です。
1,000人超の投資家が訴訟準備中の深刻さ
一連の問題を受け、投資家の間では解約や返金を求める動きが広がっています。2024年6月の行政処分発表からわずか24時間で470人以上が解約を申請し、弁護士に相談している出資者は1,000人以上にのぼると言われています。
さらに、2025年9月には一部の出資者が約1億円の返還を求めて運営会社を提訴する事態にまで発展しており、問題の根深さを示しています。
今すぐできる!元本割れを回避する5つの具体的対策
ここまで様々なリスクを解説してきましたが、ただ不安になるだけでは意味がありません。ここからは、私たち投資家が自分の資産を守るために、今すぐできる具体的な対策を5つご紹介します。
対策1:投資前の運営会社財務状況の確認方法
投資の安全は、運営会社の健全性にかかっています。公式サイトで公開されている決算公告を定期的にチェックし、財務状況に問題がないかを確認する習慣をつけましょう。また、過去の行政処分歴やメディアでの報じられ方を調べることも重要です。
対策2:複数の不動産投資商品への分散投資
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資の格言通り、一つのサービスに資産を集中させるのは非常に危険です。「みんなで大家さん」に投資する場合でも、他の不動産クラウドファンディングなど、複数のサービスや異なる地域の物件に資金を分けて投資することで、リスクを分散させることができます。
対策3:投資額を余剰資金に限定する重要性
これは最も基本的なことですが、絶対に生活に必要な資金を投資に回してはいけません。最低投資額が100万円と高額ですが、万が一そのお金を失っても生活に支障が出ない範囲の、あくまで「余剰資金」で投資を行うことを徹底してください。
対策4:定期的な投資先モニタリングの方法
投資した後は、放置してはいけません。運営会社から送られてくる定期報告書や重要なお知らせには必ず目を通し、分配金の支払いスケジュールに遅れがないかを確認しましょう。業界ニュースや行政の発表を定期的にチェックすることも、異変を早期に察知するために有効です。
対策5:早期解約・換金条件の事前確認
万が一の際に、投資資金を現金化できるかどうかも重要なポイントです。契約前に、解約(地位譲渡)の条件や手続きの流れ、必要な期間を必ず確認しておきましょう。また、解約申請が殺到した場合には手続きが一時停止されるリスクがあることも理解しておく必要があります。
専門家が教える!みんなで大家さん以外の安全な代替投資法3選
「みんなで大家さん」のリスクを理解した上で、他の選択肢も検討したい、と考える方もいらっしゃるでしょう。ここでは、より少額から始められたり、安全性が高かったりする代替投資法を3つご紹介します。
代替案1:1万円から始められる不動産クラウドファンディング
「CREAL」や「COZUCHI」など、上場企業が運営するサービスが多く、信頼性が高いのが特徴です。最低投資額1万円からと少額で始められるため、分散投資がしやすいという大きなメリットがあります。多くが優先劣後方式を採用しており、2025年6月時点で元本割れの事例はゼロと報告されています。
代替案2:流動性の高いREIT(不動産投資信託)
REITは、証券取引所に上場している投資信託の一種です。株式と同じように市場でいつでも売買できるため、現金化しやすい「流動性の高さ」が最大の魅力です。5万円程度から投資可能で、複数の不動産に分散投資されているためリスク分散効果も期待できます。ただし、市場価格は日々変動するリスクがあります。
代替案3:上場企業運営の不動産小口化商品
「みんなで大家さん」と同じ不動産特定共同事業法に基づく商品ですが、上場企業が運営しているサービス(例:「トモタク」)を選ぶことで、運営会社の信頼性を高めることができます。1口100万円程度からのものが多く、任意組合型であれば不動産の所有権の一部を持つことができ、相続税対策としても活用できる場合があります。
よくある質問と回答
Q. 本当に元本割れしたことは一度もないの?
A. はい、運営会社の発表によると、サービス開始から17年間で投資家の元本が評価額を下回る「元本評価割れ」は一度も発生していません。ただし、これはあくまで過去の実績であり、将来の元本を保証するものではない点に注意が必要です。
Q. 分配金が遅れているって本当?今後どうなるの?
A. はい、2025年9月時点で成田シリーズを含む合計27の商品で分配金の遅延が発生していると報じられています。今後の支払いについては運営会社からのお知らせを確認する必要がありますが、計画の遅延などにより収益が悪化している可能性が懸念されます。
Q. もし今から解約したい場合はどうすればいい?
A. 原則として中途解約はできませんが、「地位譲渡」という形で他の人に権利を買い取ってもらうことで現金化できる場合があります。ただし、買い手が見つかる保証はなく、また解約希望者が殺到している場合は手続きに時間がかかったり、一時的に停止されたりするリスクもあります。詳細は運営会社に直接確認する必要があります。
まとめ:明日からどう変わる?今後の展望と使い方
今回は、「みんなで大家さん」の元本割れリスクについて、仕組みから最新の動向、そして具体的な対策までを解説しました。重要なポイントを改めて整理します。
- 「元本保証」ではなく、法律で禁止されている。過去の実績は未来を約束しない。
- 地価下落、開発遅延、運営会社倒産という3つの具体的なリスクが存在する。
- 2024年の行政処分や分配金遅延は、投資判断において無視できない重要な事実。
- 対策として、分散投資や余剰資金での投資を徹底し、運営会社の動向を常に監視することが不可欠。
「みんなで大家さん」は高い利回りが魅力的な商品ですが、その裏には相応のリスクが存在することを正しく理解することが何よりも重要です。この記事を参考に、ご自身の資産を守るための冷静な判断を下していただければ幸いです。
参考文献
- みんなで大家さん公式サイト:みんなで大家さんは元本保証されていますか? (出典)
- BLUEBOX:みんなで大家さんは危ない?評判と過去の行政処分から見える… (出典)
- SUMAVE:みんなで大家さんの口コミ徹底分析|投資家が知るべき評判と… (出典)
- 牛島総合法律事務所:「みんなで大家さん」系に対する直近の行政処分について (出典)
- Yahoo!ニュース:不動産投資「みんなで大家さん」、計27商品で配当遅れ… (出典)
- クラウドファンディングチャンネル:不動産クラウドファンディングにおける元本割れとは?原因・… (出典)
- CREAL:100万円の元手で始めるおすすめの資産運用の種類4選比較… (出典)


