現在、BTOパソコン大手の「マウスコンピューター」が、Webサイト上でのパソコン販売を全面的に一時停止するという異例の事態が発生しています。
「年末年始に新しいPCでゲームをしようと思っていたのに買えない」「一体何が起きているの?」と困惑している方も多いでしょう。
この記事では、元プログラマーでトレンドブログ運営者の私、村上陽介が、今回の販売停止の全貌と、その裏にある「IT業界の深刻な事情」について詳しく解説します。
何が起きたのか(時系列・事実まとめ)
まずは、現在進行系で起きている状況を客観的な事実に基づいて整理します。
- 2025年12月16日:マウスコンピューターが「一部製品の販売停止」と「2026年1月以降の価格改定(値上げ)」を予告。
- 2025年12月23日 15:00:パソコン全製品のWeb販売を一時停止すると発表。
- 対象ブランド:「mouse」「NEXTGEAR」「G-Tune」「DAIV」の全モデル(法人向けMouseProなどを除く)。
- 影響範囲:Webサイトおよびダイレクトショップでの受注停止。さらに、2026年の店舗初売りセールも中止が決定。
- 再開予定:2026年1月5日(月)以降、準備が整い次第順次再開。
通常、パソコンメーカーにとって年末年始は書き入れ時です。その最大の商機に「店を閉める」というのは、よほどの異常事態と言えます。
現在想定を大きく上回るご注文をいただいており、その影響により出荷遅延が発生し、お客様には多大なご迷惑をお掛けしております。お客様への適切な対応と製品品質の維持を目的として、下記対象製品の販売を一時停止させていただきます。出典:マウスコンピューター公式X(旧Twitter)および公式サイトより
なぜそこまで注文が殺到したのか?
公式発表では「想定を大きく上回る受注」とされていますが、なぜこれほど急激に注文が集中したのでしょうか。複数の要因が絡み合っています。
1. 「1月からの値上げ」予告による駆け込み
マウスコンピューターは12月16日の時点で、「パーツ価格高騰のため、2026年1月からPC価格を改定(値上げ)する」とアナウンスしていました。
これを知ったユーザーが「安く買えるのは今しかない!」と殺到したのが直接的な引き金です。
2. ブラックフライデー・冬のボーナス需要
もともと年末はPCの需要が高まる時期です。そこに上記の「駆け込み需要」が重なり、通常の生産キャパシティを完全に超えてしまいました。
3. 世界的な「メモリ不足」とAI需要
ここからは少し専門的な話になりますが、今回の根本的な原因は「部品がない」ことに尽きます。
現在、世界的な生成AIブームにより、データセンター向けの高性能メモリ需要が爆発しています。そのあおりを受け、一般PC向けのメモリやSSDの供給が減り、価格が高騰しているのです。
【村上視点】ITエンジニアが見る「販売停止」の裏側
さて、ここからは元プログラマーの視点で、この事象を深掘りします。
「在庫がないなら『在庫切れ』表示にすればいいだけで、サイト全体で販売停止にする必要はあるのか?」と思われるかもしれません。しかし、システム屋の視点で見ると、今回のマウスコンピューターの判断は「苦渋だが、極めて英断」です。
BTO(受注生産)の脆弱性が露呈
マウスコンピューターのようなBTO(Build To Order)メーカーは、注文を受けてから組み立てる方式を取っています。これにより「在庫リスク」を減らせるのがメリットですが、逆に言えば「パーツが一つでも足りなければ、製品として完成しない」という弱点があります。
特に今回は、PCの心臓部であるメモリ等の供給が不安定になっているため、注文を受け続けても「いつ納品できるか分からない」状態に陥るリスクがありました。
「納期未定」地獄を回避するためのシャットダウン
もし、このまま注文を受け続けたらどうなるでしょうか?
- 注文は成立したが、部品が届かず組み立てられない。
- 納期が「3日」から「3週間」「未定」へと延びていく。
- ユーザーからの「いつ届くんだ!」「キャンセルしたい!」という問い合わせでサポートセンターがパンクする。
- 結果、ブランドへの信頼が地に落ちる。
これを防ぐためには、「一時的に売上を捨ててでも、注文の入り口を物理的に閉じる」しかありません。
Webシステム上で特定のモデルだけを「在庫切れ」にする管理コストすら追いつかないほど、バックエンド(工場・物流)がひっ迫している証拠です。
現在の状況と今後の見通し
販売再開はいつ?
公式発表通りであれば、2026年1月5日(月)以降です。
ただし、「順次再開」とあるため、すべてのモデルが一斉に買えるようになるとは限りません。人気モデルやパーツ供給が厳しいモデルは、引き続き停止が続く可能性があります。
再開後はどうなる?
残念ながら、価格は上がっている可能性が高いです。
1月からの価格改定が予告されているため、販売再開時は「新価格」での提供になるでしょう。
まとめ
今回のマウスコンピューター販売停止騒動をまとめます。
- 原因:値上げ予告による駆け込み需要と、世界的な半導体(メモリ)不足。
- 現状:Web販売は全面停止。初売りも中止。
- 再開:2026年1月5日以降だが、価格は上がっている可能性大。
- 他社への影響:ツクモやサイコムなど、他のBTOメーカーでも同様の受注停止や遅延が発生中。
PC購入を検討していた方には厳しい冬となりそうですが、無理に高値転売されているPCに手を出さず、メーカーの供給が安定するのを待つのも一つの手です。
以上、村上陽介でした。


