風光明媚な坂の街リスボン。その象徴として多くの観光客に愛されてきた黄色のケーブルカーが、一瞬にして惨劇の舞台と化しました。2025年9月3日、多くの命が失われ、楽しいはずの旅行が悲劇に変わってしまったのです。このニュースに、海外旅行を計画している多くの人々が心を痛め、自らの安全について不安を感じているのではないでしょうか。
報道では死傷者の数や事故の概要が伝えられていますが、その裏には何があったのでしょうか。しかし、一度立ち止まって考えてみましょう。この事故は本当に「不運な偶然」だったのでしょうか。元新聞記者として、今回はこのリスボンで起きたケーブルカー事故で21人負傷という事態に至った背景、被害に遭った外国人の国籍、そして私たちがこの悲劇から何を学ぶべきかを深く掘り下げていきます。
【速報】リスボン・グロリア線ケーブルカー事故で16人死亡・21人負傷 – 10カ国の外国人観光客が巻き込まれる
【坂道で“制御不能”】急勾配を猛スピードで脱線か…16人死亡
— 報道ステーション+サタステ (@hst_tvasahi) September 4, 2025
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ポルトガルの首都・リスボンで、多くの観光客を乗せたケーブルカーが脱線し建物に衝突。16人が死亡
リスボン モエダス市長
「リスボン市民全員が悲しみに暮れています。私たちの街で経験のない悲劇です」… pic.twitter.com/r5J4l5DcVl
まず、事故の概要を冷静に確認します。現地時間9月3日午後6時15分頃、リスボン中心部を走る人気の観光路線「グロリア線」で、坂道を下っていた車両が脱線。制御を失ったまま猛スピードで坂を下り、カーブを曲がりきれずに建物へ激突しました。
この事故により、最終的に16人が死亡、21人が負傷(うち5人が重体)するという大惨事となりました。事故発生時、車両は定員いっぱいの40人以上の乗客で満員状態だったと報告されています。ポルトガル政府はこの事態を重く受け止め、翌4日を国家哀悼日とすることを宣言しました。
あなたが知らない事故の全貌 – なぜ140年の歴史あるケーブルカーが制御不能に?
1885年の開業以来、140年近くにわたってリスボンの街を走り続けてきたケーブルカー。なぜ、これほど長く市民や観光客の足として機能してきた乗り物が、突然牙をむいたのでしょうか。目撃者の証言や専門家の指摘から、事故の輪郭が浮かび上がってきます。
目撃者が語る「猛スピードで建物に激突」の瞬間
事故現場に居合わせた人々は、一様にその異常なスピードを証言しています。「紙の箱が潰れるように一瞬で崩れた」「ものすごい速さで斜面を下り、ビルにぶつかって大破した」。これらの言葉から、乗客がなすすべもないまま、恐怖の瞬間に巻き込まれていった様子がうかがえます。まさに悪夢のような光景だったことでしょう。
ケーブル切断とブレーキ故障の可能性
なぜ車両は制御を失ったのか。初期調査では、車両を牽引するケーブルの切断、あるいは緩みが原因ではないかと見られています。ケーブルの張力に問題が生じた結果、本来作動するはずのブレーキシステムが機能しなくなり、車両が自重のまま坂道を暴走した可能性が指摘されています。当局は合同調査チームを立ち上げ、原因の徹底究明を進めています。
帰宅ラッシュ時の満員状態が被害拡大
事故が発生したのは、観光客に加え、地元の住民の帰宅ラッシュと重なる午後6時過ぎでした。年間300万人が利用する人気路線は、当時も多くの人々でごった返していました。この満員状態が、残念ながら被害を拡大させる一因となってしまったことは否定できません。
海外旅行者必見!被害者の国籍内訳と日本人の安全確認状況
この事故は、観光地の人気アトラクションで起きたため、多くの外国人観光客が巻き込まれました。判明している被害者の国籍は、この悲劇が国際的なものであったことを物語っています。
ポルトガル人4名を含む10カ国の国籍が判明
死傷者には、少なくとも10カ国の国籍の人々が含まれていることが確認されています。入院患者の内訳だけでも、以下の通りです。
- ポルトガル人:4名
- ドイツ人:2名
- スペイン人:2名
- カナダ人:1名
- イタリア人:1名
- フランス人:1名
- スイス人:1名
- モロッコ人:1名
- 韓国人:1名
- カーボベルデ人:1名
このリストを見るだけでも、いかに多くの国の旅行者がこのケーブルカーを利用していたかが分かります。
ドイツ人一家の悲劇:3歳児軽傷、父親死亡、母親重体
この事故は、多くの家族の幸せを無残に打ち砕きました。特に心を痛めるのが、被害に遭ったドイツ人一家の悲劇です。この事故で父親が命を落とし、母親が重体。幸いにも3歳の男の子は軽傷で済み、警察官によって瓦礫の中から救出されたとのことですが、彼の心に刻まれた傷は計り知れません。
在ポルトガル日本大使館「日本人被害者なし」を確認
海外での大事故のニュースに接した際、多くの人がまず気にするのが日本人の安否です。在ポルトガル日本国大使館は迅速に情報収集にあたり、9月3日夜の時点で「日本人が死傷したという情報は入っていない」と発表しました。ひとまず安堵できる情報ですが、大使館は引き続き確認作業を進めています。
プロが教える海外旅行時の交通事故対策と保険活用法
この事故は、海外旅行中のリスクを改めて私たちに突きつけました。「自分は大丈夫」という根拠のない自信は禁物です。万が一の事態に備え、正しい知識を身につけておくことが、自分や家族を守る最大の武器になります。
クレジットカード付帯保険で公共交通機関事故は補償される?
多くの人が利用するクレジットカード付帯の海外旅行保険。今回のケーブルカーのような公共交通機関での事故は、多くの場合「傷害による治療費用」として補償の対象となります。例えばJCBゴールドカードの場合、治療費用は300万円を限度に、死亡・後遺障害の場合は最高1億円が補償されます。出発前に、ご自身のカードの補償内容を必ず確認しておきましょう。
旅行保険の「携行品損害」と「治療費用」の適用範囲
事故に遭うと、身体だけでなくパスポートや手荷物もダメージを受ける可能性があります。旅行保険の「携行品損害」は、こうした物品の損害を補償してくれます。パスポートの再発給費用なども対象となる場合があります。また、「治療費用」はケガの治療だけでなく、緊急移送費用などもカバーすることが多いので、適用範囲を細かくチェックしておくことが重要です。
緊急時の領事館連絡と家族への報告手順3ステップ
万が一事故に巻き込まれたら、パニックにならず冷静に行動することが求められます。
- ステップ1:救急要請 – まずは現地の緊急通報番号(ポルトガルでは112番)に連絡し、救助を求めます。
- ステップ2:日本への連絡 – 可能であれば、日本の外務省や家族に連絡を入れます。
- ステップ3:大使館・領事館への報告 – 現地の日本大使館や領事館に連絡し、状況を報告して必要な支援を要請します。彼らは、通訳の手配や家族への連絡など、様々な面で力になってくれます。
リスボン観光を予定しているあなたへ – 今知っておくべき安全情報
この事故を受け、リスボン市の安全対策は強化されています。これから旅行を計画している方は、現地の最新情報を必ず確認してください。
他の2路線(ビッカ線・ラヴラ線)も運休中、安全点検実施
事故後、グロリア線だけでなく、同様の構造を持つ他の2つのケーブルカー路線(ビッカ線、ラヴラ線)も、緊急の安全点検のため運行を停止しています。運行再開の目処は立っておらず、当面の間は利用できないと考えるべきです。元新聞記者として私が懸念するのは、この事故が示す構造的な問題です。観光客の急増が、インフラの維持管理に追いついていない可能性はないでしょうか。
グロリア線の過去の事故歴:2018年にも脱線事故発生
実はグロリア線では、2018年にもケーブル関連の技術的な問題で脱線事故が起きていました。幸いこの時は負傷者が出ませんでしたが、今回の悲劇の「予兆」であった可能性は否定できません。過去10年で利用者が3倍に増加したというデータもあります。人気の影で、安全管理へのプレッシャーが増大していたのかもしれません。
代替交通手段とリスボン観光の注意点
ケーブルカーが運休中の間、リスボンの坂の街を移動するには代替手段を考える必要があります。観光客に人気の路面電車(トラム)は便利ですが、スリが多発することで知られており、外務省も注意を喚起しています。比較的安全なのは地下鉄ですが、タクシーやUber、Boltといった配車アプリを利用するのが最も確実な選択肢の一つと言えるでしょう。
よくある質問と回答
Q. このケーブルカーはもう安全ではないのでしょうか?
A. 事故原因が徹底的に究明され、再発防止策が講じられるまで、安全とは断言できません。当局による厳格な安全点検とメンテナンス体制の再構築が不可欠です。運行が再開される際には、当局からの安全宣言を必ず確認してください。
Q. クレジットカードの保険だけで海外旅行は十分ですか?
A. カード付帯保険は補償額や適用条件に制限がある場合が多いです。特に治療費が高額になりがちな国へ行く場合や、持病がある方は、別途有料の海外旅行保険に加入することを強くお勧めします。補償内容を比較検討し、ご自身の旅行スタイルに合ったものを選びましょう。
Q. 日本人が海外の事故に巻き込まれた場合、大使館はどこまで助けてくれますか?
A. 大使館や領事館は、現地警察への届け出案内、日本の家族への連絡支援、弁護士や通訳のリスト提供など、様々な支援を行ってくれます。ただし、医療費や弁護士費用を支払ってくれるわけではありません。あくまで自国民を保護するための「支援機関」であると理解しておくことが大切です。
まとめと今後の展望
今回のリスボンのケーブルカー事故は、楽しいはずの観光が、いかに簡単に悲劇に変わりうるかを私たちに突きつけました。21人負傷という数字の裏には、被害に遭った多くの外国人旅行者とその家族の深い悲しみがあります。それぞれの国籍に、それぞれの物語があったはずです。
この悲劇は、観光地の「光」の部分、つまり経済的な恩恵や文化的な魅力の裏に潜む、「影」の部分、すなわちインフラの老朽化や安全管理の課題を浮き彫りにしました。旅行を楽しむ私たち自身も、こうしたリスクが存在することを常に意識し、万が一の事態に備える「知識武装」をしておく必要があります。この痛ましい事故から得られる教訓を、今後の安全な旅に活かしていくことこそが、犠牲になった方々への最大の追悼となるのではないでしょうか。
参考文献
- BBC News:歴史的なケーブルカーが脱線、少なくとも17人死亡 ポルトガル首都 (出典)
- CNN:Historic Lisbon train derails in deadly crash at tourist hotspot (出典)
- Reuters:Portugal investigates causes of cable car crash that killed 17 (出典)
- NHK:ポルトガル ケーブルカー脱線事故16人死亡 日本人被害情報なし (出典)
- 中央日報日本語版:リスボンのケーブルカー脱線事故で15人死亡…「韓国人女性1人負傷」 (出典)
- JCBプレミアムサイト:海外旅行傷害保険 (出典)
- Time Magazine:What to Know About the Lisbon Funicular Crash (出典)

