2025年12月26日、林芳正総務相(山口3区)が、過去の衆議院議員選挙における「選挙運動費用収支報告書」を訂正し、謝罪会見を行いました。
報道によると、記載されていた「人件費」の一部が、実際には支払われていなかった(あるいは受け取ったとされる人物が否定している)という不可解な事実が判明しています。なぜこのような訂正が行われたのか、そして法的には「セーフ」なのか「アウト」なのか。現在判明している事実関係を整理して解説します。
何が起きたのか:訂正までの時系列まとめ
今回の騒動は、2024年に行われた衆院選の費用に関するものです。事態が動いたのはまさに直近の数日間でした。
- 2024年10月(昨年):
衆議院議員選挙が実施される。林氏は山口3区から出馬し当選。その後、選挙運動費用の収支報告書を選挙管理委員会に提出。 - 2025年12月25日:
林氏の事務所が、山口県選挙管理委員会に対し、報告書の訂正を届け出る。
内容は、選挙スタッフ(労務者)として記載されていた13人分の支出(計13万円)の削除。 - 訂正の理由:
毎日新聞などの取材に対し、記載されていた人物たちが「ポスター管理などの仕事はしていない」「金銭も受け取っていない」「領収書の署名は自分のものではない」と証言したため。 - 2025年12月26日(本日):
林総務相が閣議後の会見で「事務的なミスだった」として謝罪。閣僚辞任は否定。
詳細:なぜ「架空の人件費」が記載されたのか?
今回の訂正で焦点となっているのは、「実際には働いていない人の名前が、給与支払先として記載されていた」という点です。
事務所側の説明(公式見解)
林氏の事務所は、「事務的なミス」と説明しています。具体的には、ボランティアや手伝いに来ていたリストと、実際に報酬を支払ったリストの混同、あるいは領収書作成時の事務処理上の手違いなどが示唆されています。
疑念が持たれているポイント(グレーゾーン)
一方で、インターネット上や一部報道では、以下の点から「単なるミスで済むのか?」という指摘もなされています。
- 領収書の署名問題:報道によると、当事者が「自分の署名ではない」と証言しているケースがあるようです。もし第三者が勝手に署名を作成していた場合、有印私文書偽造などの疑いも生じかねません。
- 金額の少なさ:13人で計13万円(1人1万円程度)という少額な修正ですが、逆に「少額だからバレないと思ったのではないか」という穿った見方も出ています。
法的には問題ないの?「訂正」と「虚偽記載」の境界線
ユーザーの皆様が最も気になる「これって法律違反じゃないの?」という点について、公職選挙法の一般的な解釈を解説します。
1. 「訂正」自体は認められている
政治資金規正法や公職選挙法において、収支報告書に誤りがあった場合、後から「訂正」すること自体は認められています。人間が作成するものである以上、計算ミスや記載漏れは起こり得るため、間違いに気づいて自主的に直した場合は、通常は罪に問われません。
2. 「虚偽記載罪」になるケース
問題となるのは、「故意(わざと)」に嘘を書いた場合です。
- 虚偽記入罪:事実と異なると知りながら記載した場合、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金。
今回のケースでは、林氏側が「故意ではなくミスだった」と主張し、速やかに訂正に応じているため、警察や検察が「悪質性がある(裏金作りや脱税の意図など)」と判断しない限り、直ちに逮捕や起訴に繋がる可能性は低いと言えます。
世間の反応・今後の見通し
「担当者の確認不足により、誤った記載が生じた。心からおわび申し上げる」
(林芳正総務相 2025年12月26日の会見より)
林大臣は謝罪しつつも、進退問題には発展しないという認識を示しています。しかし、総務大臣は「選挙制度」や「政治資金」を所管する省庁のトップです。そのトップ自身の報告書にズサンな記載があったことに対し、野党からの追及が強まることは避けられません。
まとめ
- 林芳正総務相が、昨年の選挙の収支報告書を訂正し、存在しない労務費(13人分)を削除した。
- 当事者が「働いていないし金も貰っていない」と証言したことが発端。
- 法的には「自主的な訂正」であれば直ちに犯罪にはならないが、記載の経緯(なぜ架空の記載ができたのか)については不透明な部分が残る。
今後、この「消えた13万円」が本来どこにあったお金なのか、あるいは単なる記載ミスだったのか、さらなる説明が求められそうです。

