パリオリンピックが熱戦の真っ只中ですが、競技の結果以外でも大きな話題となっているのが「誤審」問題です。
日本選手の試合だけでなく、海外選手の試合でも疑問の声が上がっており、SNSでは「誤審ピック」という言葉まで生まれました。
選手たちの努力が正当に評価されているのか、審判の判定の是非について世界中で議論が巻き起こっています。今回は、パリオリンピックで起きた主な「誤審」疑惑について、詳しく見ていきましょう。
「誤審ピック」とは?
「誤審ピック」とは、オリンピックと誤審をかけた造語です。今回のパリオリンピックで、疑問の残る判定が相次いでいることから、SNS上で広まった言葉です。
選手たちの熱戦の陰で、判定を巡る議論が絶えません。これはスポーツの公平性や integrity(高潔さ)に関わる重要な問題です。「誤審ピック」という言葉は、こうした問題に対する人々の関心の高さを表しているとも言えるでしょう。
日本選手を巡る誤審疑惑
日本選手の試合でも、いくつかの判定が大きな話題を呼びました。特に注目されたのが、柔道とバスケットボールの試合です。
柔道男子60kg級 永山竜樹選手の試合
柔道男子60kg級の永山竜樹選手の準々決勝戦で、大きな議論を呼ぶ出来事がありました。
永山選手がスペインのフランシスコ・ガルリゴス選手と対戦した際、ガルリゴス選手が永山選手を絞め技で攻めました。主審が「待て」を宣告したにもかかわらず、ガルリゴス選手は6秒間絞め続けたのです。
結果、永山選手は失識し、技ありとみなされて一本負けとなりました。この判定に対し、全日本柔道連盟も抗議しましたが、判定は覆りませんでした。
柔道の試合では、主審の「待て」の合図で即座に技を止めるのがルールです。今回の判定は、このルールに反しているのではないかという疑問の声が多く上がりました。
【追記】柔道男子90kg級 村尾三四郎選手の試合
パリオリンピック柔道男子90kg級決勝で、村尾三四郎選手が負けて銀メダルを獲得しましたが、この試合の判定をめぐって「誤審ではないか」という声が上がっています。
問題となったのは、試合残り30秒頃に村尾選手が仕掛けた内股の技が技ありと認められなかった点です。五輪2大会金メダリストの大野将平氏は「ほぼ技ありであったと思います」とコメントしており、専門家の見解からも疑問が投げかけられています。
さらに、直後にベカウリ選手の技に対してはビデオ判定が行われ技ありと認定されたのに対し、村尾選手の技にはビデオ判定が適用されなかったという不均衡も指摘されています。
日本のコーチ陣がビデオ判定を要求したにもかかわらず、審判団に無視されたという報告もあり、判定プロセスの透明性にも疑念が生じています。
バスケットボール男子 日本vsフランス戦
バスケットボール男子の日本対フランス戦でも、物議を醸す判定がありました。
まず、八村塁選手が2度目の「アンスポーツマンライクファウル」を取られて退場となりました。しかし、1度目のファウル判定自体に疑問の声が上がっていました。
さらに、試合終盤の判定が大きな波紋を呼びました。日本が4点リードで迎えた試合終了10秒前、フランスの3ポイントシュートに対し、河村勇輝選手がチェックに入りました。シュートは成功し、さらに河村選手のファウルが取られたのです。
しかし、映像を見る限り、河村選手がフランス選手に接触したかどうかは微妙に見えました。それにもかかわらず、バスケットカウントとフリースローが与えられ、フランスが同点に追いつく結果となりました。
この判定が日本チームの勢いを削ぎ、最終的に延長戦で敗れる一因となったとの見方も多く、大きな議論を呼んでいます。
海外の試合でも誤審は起きている
誤審問題は日本選手の試合だけでなく、海外選手の試合でも起きています。特に注目を集めたのが、フェンシングとサッカーの試合です。
フェンシングでジョージア選手の怒り
フェンシングでは、ジョージアのサンドロ・バザゼ選手が審判の判定に激しく抗議する場面がありました。
エジプトのモハメド・アメル選手との接戦を15-14で落としたバザゼ選手。試合終了時、両選手とも勝利を確信して歓喜の声を上げました。しかし、ビデオ判定の結果、スペイン人審判のバネサ・チチョン氏はアメル選手の勝利を宣言したのです。
バザゼ選手は判定に納得がいかず、チチョン審判に向かって激しく抗議。しかし、チチョン審判は無視してアリーナを後にしました。
試合後、バザゼ選手は「東京に続いて2度目だ。東京では審判に人生を台無しにされ、キャリアもほぼ終わりかけた。しかし、復活して世界ランク1位になり、オリンピックに備えてきたのに、また審判に殺された」と激しい言葉で怒りを表しました。
この件の参考サイト:https://www.gbnews.com/sport/olympics/olympics-star-rages-referee-paris-controversy
サッカー アルゼンチンvsモロッコ戦の混乱
サッカーの試合でも大きな混乱が起きました。アルゼンチンとモロッコの試合で、驚くべき16分もの追加時間が設けられたのです。
モロッコが2-0でリードする中、アルゼンチンが1点を返し、そして問題の追加時間中に同点ゴールを決めました。これにモロッコファンが激怒し、フィールドに乱入。フレアなどの物が投げ込まれ、試合は一時中断となりました。
さらに驚くべきことに、試合終了から数時間後、VARによる再検討の結果、アルゼンチンの同点ゴールがオフサイドで取り消されたのです。最終的に2-1でモロッコの勝利が確定しました。
この一連の出来事に、アルゼンチンのハビエル・マスチェラーノ監督は「サーカスだ」と激しい不満を表明しました。
この件の参考サイト:https://khelnow.com/olympics/paris-olympics-2024-argentina-vs-morocco-controversy-202407
まとめ:誤審問題はなぜ起きる?
これほど多くの誤審が話題になっている背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、テクノロジーの進歩により、様々な角度からスローモーションで映像を確認できるようになりました。これにより、審判の判定の是非をより詳細に検証できるようになった一方で、瞬時の判断を求められる審判の仕事の難しさも浮き彫りになっています。
また、SNSの普及により、選手や観客が即座に意見を発信できるようになったことも、誤審問題が大きく取り上げられる一因となっています。
今後のオリンピックでは、こうした誤審問題にどう対処していくかが大きな課題となるでしょう。テクノロジーの更なる活用や、審判の育成・サポート体制の強化など、様々な角度からの検討が必要になりそうです。
選手たちの努力が正当に評価され、公平な競技が行われることは、オリンピックの根幹に関わる重要な問題です。今回の「誤審ピック」騒動を機に、よりよいスポーツ環境づくりについて、私たちも考えていく必要がありそうですね。
さて、まだオリンピックは続きます。これからどんなドラマが待っているのか、誤審問題にも注目しつつ、選手たちの熱戦を楽しみましょう!