「えっ、ゲームの改造って昔は普通じゃなかった?」 人気VTuber・兎田ぺこらさんの配信をきっかけに、そんな声が聞こえてきました。
確かに、昔のゲーム雑誌には「裏技」として改造コードが載っていたり、友達の間で話題になったりしていましたよね。でも、今は「コンプライアンス違反だ!」と厳しく指摘される…。一体、何が変わったのでしょうか?
この記事を読めば、なぜ昔はOK(に見えた)ゲーム改造が今はNGなのか、その背景にある時代の変化やルールの違いがスッキリ分かります。ゲーム好きも、そうでない人も、ちょっと一緒に考えてみませんか?
【衝撃】人気VTuber騒動の背景にある「改造ROM」って何?
今回の騒動、そもそも何が問題だったのか気になりますよね。発端となった「改造ROM」について、まずは基本から見ていきましょう。
そもそも「改造ROM」ってどんなもの?
まず、「ROM(ロム)」というのは、ゲームカセットやディスクに入っている、ゲームのプログラム本体のことだと思ってください。そして「改造ROM」とは、そのゲーム本体のデータを、本来とは違う動きをするように書き換えちゃったものなんです。
たとえば、RPGで最初から最強の武器を持っていたり、普通は仲間にならないキャラを使えたり…そんな風に、ゲームの内容を本来とは違う形に変えてしまうんですね。
これは、セーブデータだけをいじるのとはちょっと違って、ゲームの根本的なプログラム自体に手を入れているケースが多いようです。
なぜ兎田ぺこらさんの配信で問題になったの?(騒動の簡単な経緯)
人気VTuberの兎田ぺこらさんが、昔のゲーム『ポケットモンスター エメラルド』の中古ソフトを使って、超レアなアイテム「ふるびたかいず」を探す、という配信企画を行ったんです。ワクワクする企画ですよね!
ところが、見つかったソフトのデータが「これ、改造されたものじゃない?」と視聴者から指摘が入りました。具体的には、ゲーム内の表示が正規品と少し違っていた、といった点などが根拠になったようです。
ゲーム会社、特に任天堂は、改造されたソフトを使うことを配信ガイドラインで禁止しています。そのため、「ガイドライン違反になるのでは?」と心配する声が広がり、ぺこらさん自身も企画の中止を発表する事態になった、というわけなんです。
「昔は普通だったのに…」戸惑うレトロゲーム世代の声
このニュースを見て、「いやいや、昔は改造なんて普通にやってたけど…」と感じた方もいるのではないでしょうか?当時の状況を少し振り返ってみましょう。
コメント欄でも見られた「昔は緩かった」という意見
今回の騒動に関するネットのコメントを見ると、「昔はゲーム雑誌に普通に裏技コード載ってたよね」「友達と改造コードで盛り上がったなぁ」といった、当時を懐かしむ声が結構見られました。
確かに、今とはかなり雰囲気が違ったのかもしれません。
アクションリプレイ?昔流行った「改造ツール」の実態
覚えている方もいるのでは?当時は「プロアクションリプレイ」のような、ゲーム機に接続して使う「改造ツール」が普通にお店で売られていました。特定のコードを入力すると、ゲーム内のお金を増やしたり、キャラクターを無敵にしたり…色々なことができたんですよね。
ゲーム雑誌でも、これらのツールの使い方が「裏技」として紹介されることも珍しくありませんでした。今考えると、ちょっと信じられない状況かもしれません。
当時のゲーマーにとって「改造」はどういう存在だった?(裏技感覚?)
もちろん、全員がやっていたわけではありませんが、当時のゲーマーにとって「改造」や「裏技」は、ゲームをもっと深く楽しむための一つのテクニック、くらいの感覚だった側面もあるようです。
1980年代には、ゲーム雑誌が「裏技」を大々的に特集し、ブームになったこともありました。ゲームセンターでは、連射機能を付けた自作コントローラーを使う人もいたりして、ある意味、プレイヤーが創意工夫でゲームの可能性を広げようとしていた時代、とも言えるかもしれませんね。
今はなぜNG?ゲーム改造を取り巻く“現代の常識”
では、なぜ昔は比較的おおらかに見られていた(かもしれない)ゲーム改造が、今は厳しく「NG」とされるのでしょうか?そこには、いくつかの大きな変化があるんです。
著作権はどうなってる?法律やガイドラインの現状
まず大きいのが、著作権に対する考え方の変化です。ゲームソフトは、作った人の「著作物」。それを勝手に改造することは、著作権を侵害する行為にあたる、という認識が今は一般的です。
特に任天堂さんは、配信ガイドラインで「不正にコピーされたり改造されたりしたゲームソフトの使用」をはっきりと禁止しています。
これは、ゲーム制作者の権利を守るため、そしてゲームの世界観やバランスを保つため、と考えられます。
オンライン化で変わった?ゲーム環境の変化
昔のゲームは、基本的には一人か、友達と顔を合わせて遊ぶのがメインでした。でも今は、インターネットに繋いで、世界中の人と一緒に遊ぶオンラインゲームが主流ですよね。
オンラインゲームで誰かがチート(改造による不正行為)を使うと、他の真面目にプレイしている人が不利になったり、ゲーム自体がつまらなくなったりしてしまいます。だから、メーカー側も技術的な対策を強化して、不正行為を取り締まるようになっているんです。
これも、改造に対する目が厳しくなった大きな理由の一つでしょう。
個人で楽しむのと「配信」するのでは大違い!
ここが、今回の騒動で特に重要なポイントかもしれません。昔、自分の部屋でこっそり改造コードを使って楽しんでいたのと、大勢の人が見る「配信」で改造されたゲームを使うのとでは、意味合いが全く違います。
配信は、ゲーム会社の著作物を使って行う、いわば公の場での活動です。そこでルール違反をしてしまうと、ゲーム会社に迷惑をかけるだけでなく、他の配信者やコンテンツ全体のイメージにも影響を与えかねません。個人の楽しみの範囲を超えて、社会的な責任が伴ってくる、ということですね。
人気配信者だからこその責任も?視聴者はどう見てる?
影響力の大きい人気配信者だからこそ、今回の件は大きな注目を集めました。視聴者やファンは、この状況をどう受け止めているのでしょうか。
「知らなかった」では済まされない?企業所属の影響
特に、兎田ぺこらさんのように大手事務所(ホロライブ)に所属しているVTuberの場合、「個人的に知らなかった」だけでは済まされない、という厳しい見方もあります。
企業として活動する以上、著作権や各種ガイドラインをしっかり守る「コンプライアンス」が求められます。企画段階でリスクをチェックしたり、タレント自身への教育をしたりといった、運営側の体制も問われる部分かもしれません。
ファン心理は複雑…擁護と批判のコメントから見えること
SNSなどを見ると、ファンの方々の反応も様々です。「ぺこらちゃんは悪くない!」「昔のゲームだし仕方ない」といった擁護の声がある一方で、「影響力を考えたら慎重になるべきだった」「しっかり調べてから企画してほしかった」といった批判的な意見も見られます。
今回の件は、単なるルールの問題だけでなく、ファンが配信者に何を期待しているのか、という点も浮き彫りにしたと言えそうです。
私たち視聴者が気をつけることは?
配信を楽しく見る私たち視聴者にも、できることがあるかもしれません。それは、健全な配信環境を応援することです。
たとえば、配信者や他の視聴者への誹謗中傷は絶対にしないこと。そして、もし配信内容に問題があると感じたとしても、感情的に攻撃するのではなく、冷静に、建設的な方法で指摘すること(あるいは、しかるべき窓口に報告すること)が大切です。配信者が設定しているルールを守ることも、もちろん重要ですね。
まとめ:ゲームの楽しみ方は変わった?昔と今の価値観を考える
今回の兎田ぺこらさんの騒動は、単に一人のVTuberの問題というだけでなく、ゲームとの向き合い方や、時代の変化を映し出しているように感じます。
昔は「裏技」として楽しまれていたかもしれないゲームの改造。でも、著作権意識の高まりやオンライン化、そして「配信」という新しい文化の登場によって、その扱われ方は大きく変わりました。
「昔は良かった」と懐かしむ気持ちも分かりますが、今のルールやマナーを理解し、尊重することも大切です。ゲームを作る人、遊ぶ人、そして配信を見る人、みんなが気持ちよく楽しめる環境を、これからも考えていきたいですね。あなたはどう思いますか?
📌 近藤 健太郎|元新聞記者 / フリーライター 新聞社で社会部・文化部記者を経験後、フリーランスに。社会問題からエンタメ、アニメ・VTuberまで、鋭い視点と分かりやすい解説で情報を届けます。