2025年12月26日、高級腕時計シェアリングサービス「トケマッチ」を巡る巨額詐欺事件で、警視庁は元運営会社代表・福原敬済(ふくはら たかずみ)容疑者(44)を逮捕しました。
ドバイへの逃亡から約2年。一時は「逃げ得か」とも囁かれた事件ですが、事態は急転し、日本への移送・逮捕という結末を迎えました。この記事では、今回の逮捕劇のタイムライン、福原容疑者の人物像、そして多くの被害者が最も気にしている「時計やお金は戻ってくるのか」という点について、現在判明している事実を整理します。
何が起きたのか:逮捕までの時系列まとめ
まずは、事件の発覚から本日の逮捕に至るまでの流れを時系列で振り返ります。
- 2023年8月〜12月:
「トケマッチ」運営会社(ネオリバース)が、預託使用料のアップなどを謳い、高級腕時計の預け入れを攻撃的に募集するキャンペーンを実施。 - 2024年1月31日:
同社が突如として解散を発表。
同日、福原容疑者と元社員の男が成田空港からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイへ出国し、逃亡生活に入る。 - 2024年3月〜4月:
警視庁が業務上横領容疑などで逮捕状を取得し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配。外務省がパスポートの返納命令を出すも応じず失効。 - 2025年12月上旬:
UAE当局が現地で福原容疑者の身柄を確保。 - 2025年12月26日(本日):
日本への移送手続きが完了し、成田空港に到着。機内または空港内で詐欺容疑にて逮捕される。
福原敬済(小湊敬済)とは何者か?
逮捕された福原容疑者ですが、報道では別の名前も浮上しています。彼の経歴と人物像について、公表されている情報をまとめます。
「小湊敬済」という別名
今回の逮捕報道において、一部メディアでは「小湊敬済(こみなと たかずみ)」という名前も報じられています。本名なのか、あるいはビジネス上の偽名として使い分けていたのかについては、今後の捜査での解明が待たれますが、複数の名義を使用していた可能性があります。
元「ネオリバース」代表としての顔
大阪市に拠点を置く合同会社「ネオリバース」の代表として、シェアリングエコノミーの波に乗る形で「トケマッチ」を展開しました。
- ビジネスモデル:オーナーから高級時計を預かり、借りたいユーザーに貸し出す。オーナーには預託料(月額報酬)を支払う仕組み。
- 実態:捜査関係者の見立てでは、自転車操業的な状態(ポンジ・スキームに近い構造)に陥っていたか、あるいは当初から計画倒産を狙っていた「取り込み詐欺」の可能性が疑われています。
なぜドバイへ逃亡し、なぜ今逮捕されたのか
ドバイが選ばれた理由
一般的に、日本と犯罪人引渡し条約を結んでいない国への逃亡は、強制送還のハードルが高いとされています。ドバイ(UAE)もその一つであり、過去にも多くの経済事犯の容疑者が逃亡先として選択してきました。
逮捕の決め手
条約がないからといって、絶対に引き渡されないわけではありません。今回は以下の要因が重なったと考えられます。
- 外交ルートでの働きかけ:被害額が数十億円規模(市場価格で約28億円とも言われる)と甚大であり、日本警察当局が粘り強くUAE側に協力を要請していたこと。
- パスポートの失効:2024年4月の時点で旅券返納命令が出ており、不法滞在の状態になっていた可能性が高いこと。
今後の焦点:時計や被害金は戻るのか?
逮捕によって刑事責任の追及は始まりますが、被害者にとって最も重要な「被害回復」については、厳しい見方がなされています。
1. 時計の行方
多くの時計はすでに二次流通市場(中古買取店など)に流れており、善意の第三者が購入してしまっているケースもあります。この場合、現物の回収は民法上の「即時取得」の壁があり、極めて困難です。
2. 資金の流れ
福原容疑者がドバイでの逃亡生活で資金を消費していた場合、あるいは隠し口座などに分散させていた場合、回収は困難を極めます。警察の捜査では、金の流れ(マネーロンダリング)の解明が最優先事項となります。
まとめ
約2年にわたる逃亡劇は、福原容疑者の帰国と逮捕によって一つの区切りを迎えました。
現状のポイント
- 2025年12月26日、成田空港にて逮捕。
- 容疑は「業務上横領」から、より刑罰の重い「詐欺」などの適用も視野に捜査が進む見込み。
- 別名「小湊敬済」の使用も判明。
今後は、なぜこれほど大規模な詐欺が可能だったのか、共犯者の存在、そして消えた数十億円分の時計と資金の行方について、取り調べでどこまで明らかになるかが注目されます。

