経産省でフロッピーディスクが廃止されたというニュースが、2024年になって飛び込んできました。この記事では、このニュースを深堀し、時代遅れと思われがちなこの古い技術が、なぜ現代においても採用されていたのか、その理由と背景を詳しく解説します。
調べていくうちに分かった、実はアメリカ政府でも近年までフロッピーディスクが使用されていた予想外の事実も紹介。
テクノロジーの進化と共に変わる政府のデータ管理方法に迫ります。フロッピーディスクの意外な魅力とその後の変遷を、この記事で詳しくご覧ください。
経産省でフロッピーディスク廃止ニュースまとめ!
経済産業省は2024年1月22日、記録媒体に関する大きな変更を発表しました。それまでの「フロッピーディスク」など特定の媒体を指定していた34の省令が改正され、「電磁的記録媒体」というより抽象的な表現に置き換えられました。この変更は、行政手続きのデジタル化を推進するための一環として行われました。
従来、経済産業省への届け出や提出にはフロッピーディスクを使用。しかし、フロッピーを活用する企業は今ではほとんど存在せず、その使用は時代遅れとなっています。このため、経産省ではフロッピーディスクなどの具体的な媒体名を廃止し、より柔軟な「電磁的記録媒体」という表現を採用することで、クラウドサービスなどの新しい技術を取り入れやすくしました。
この改正は、行政手続きのオンライン化と効率化を後押しするものであり、日本のデジタル化への重要な一歩と言えるでしょう。フロッピーディスクの使用廃止は、現代の技術に即した柔軟な規制への移行を示しています。
なぜ令和でもフロッピーディスク使用?実情はどうなの?
時代遅れであるフロッピーディスクを、日本ではなぜ頑なに使用するのでしょうか?その理由と実際に迫ります。
フロッピーディスクは条例で指定されているため
日本は令和の時代になってもなお、フロッピーディスク(FD)の使用を続けていました。その主な理由は、条例で手続き書類の提出や保管方法につかう電子記録媒体にフロッピーディスクが指定されているためです。調査してみると、条例でフロッピーディスクの使用が指定されているものは約1900条項もありました。
FDは磁気情報を記録するメディアとして、当時(条例ができた昭和時代)としては信頼性が高く、比較的安価であるという特徴があります。また、FDは物理的な媒体であるため、データの安全性やプライバシー保護の観点からも一定の信頼を得ていました。特に機密性の高い情報を扱う政府機関や、特定の産業界では、これらの特徴が重視され、FDの使用が継続されていたのです。
実際にはフロッピーディスクではなく紙を使う例も
FDの使用が続く一方で、その扱いには苦労も伴っていました。例えば、FDの読み取りが可能なデバイスはすでに市場から姿を消しており、FDを使用するためには専用の機器や技術が必要となっていました。また、FDの耐久性やデータの保存期間、容量の少なさからデータの移行やバックアップには相応の手間がかかるという問題もありました。そのため、実際にはフロッピーディスクではなく紙を使用していたほどです。
経済産業省がFDの使用指定を廃止したことは、デジタル化の進展とともに、時代遅れの技術を見直す動きの一環といえます。今後は、より効率的で安全なデジタルメディアへの移行が進むことが予想されます。FDのような従来の技術は、特定の用途やニッチな分野での利用に限定される可能性が高いでしょう。この技術の変遷は、進化するデジタル社会の一面を象徴しています。
そもそもフロッピーディスクって?
そもそもフロッピーディスクとは何なのでしょうか?世代によっては見たこともないため、こちらで詳しく解説します。
フロッピーディスクはアメリカ生まれ!
フロッピーディスク、この伝説的な記録媒体は1971年にアメリカの大企業IBMによって開発されました。四角いプラスチックケースに収まった柔らかい樹脂製の小円盤が特徴で、磁性体を塗布したこの円盤がデータの記録に用いられていました。IBMが初めて世に出したフロッピーディスクは「フレキシブル・ディスケット」または「ディスケット」と名付けられ、後に「フロッピーディスク」という呼称が広まりました。
スペック・昭和の時代の活躍と使用減少の理由
フロッピーディスクにはサイズによって、8インチ、5.25インチ、3.5インチの3種類が存在しました。特に普及した3.5インチタイプでは、約1.2~1.4MBの容量を持っていました。これらは、当時としては革新的な容量で、多くのデータを保存するのに十分なものでした。
昭和時代、フロッピーディスクは小型コンピュータのデータ記録媒体として広く用いられました。その取り外し可能な特性や、十分な記録容量が評価され、多くの企業や教育機関で重宝されていました。
しかし、時代の進歩と共に、より高容量で高速な記録メディアが登場し、フロッピーディスクの使用は徐々に減少していきました。2000年頃には、CDやDVD、USBメモリなどの新しいメディアが普及し始め、フロッピーディスクの役割は縮小していきました。
過去と現代におけるフロッピーディスク生産状況
現在、フロッピーディスクの生産はほとんど行われていません。ソニーは2011年にフロッピーディスクの生産を終了し、その他多くのメーカーも生産から撤退しています。ただし、一部の特定の用途や愛好家向けには限定的に生産や販売が続けられています。
日本では、ソニーを始めとする複数のメーカーがフロッピーディスクの製造販売に携わっていました。特にソニーの製品は、3.5インチフロッピーディスク市場において大きなシェアを占めていた時期もありました。
フロッピーディスクは、かつてコンピュータ技術の進歩を支えた重要な記録媒体でした。今ではその役割を他のメディアに譲り、ほとんど使われなくなりましたが、その歴史と貢献は忘れてはならない重要な部分です。
日本でフロッピーディスクが現役なことを海外の人はどう思っている?
海外の人々が、日本でフロッピーディスクがまだ使われているというニュースを見て、どのような反応があったのかこちらで解説します。
海外の反応は「びっくり」と「疑問」が多く占める
- 米国の反応: 米国のGizmodoは、東京都の自治体がフロッピーディスクの撤廃に取り組んでいるニュースを報じ、日本の技術依存に驚きを示していました。記事によると、東京都の自治体はまだ完全にフロッピーを撤廃していないとのことです。一部の自治体ではフロッピーが現役で使われており、例えば目黒区ではフロッピーで振り込みデータを保存しているとされています。
- 海外メディアの報道: 日本のフロッピーディスクの使用について海外メディアは驚愕して報じており、技術的に先進国である日本でのその使用に疑問を呈しています。河野太郎デジタル相のツイートによると、フロッピーが必須の行政手続きが約1900もあることが明らかにされました。また、警視庁がフロッピーディスクを紛失した事件に関する報道もあり、世界中のネットユーザーがフェイクニュースだと疑うほど驚いたとのことです。
海外の分析では「日本は古いテクノロジーに固執してる?」
- 技術的先進国としての日本の矛盾: 日本が先進国であるにも関わらず、古い技術に固執していることが海外で注目されています。日本の超高齢社会の背景や、政府の高齢者への配慮、政府高官のデジタル化への理解不足がその理由として分析されています。
- 昭和テクノロジーへのこだわり: 日本では、ファックスやハンコとともに、フロッピーディスクが昭和のテクノロジーとして現在でも使われています。これは日本の文化的な背景に由来するとされ、海外からは時代遅れの技術へのこだわりとして見られています。
日本のフロッピーディスク使用についての海外の反応は、驚きとともに技術的矛盾を指摘しています。デジタル化の進展とともに、このような古いテクノロジーへの依存が徐々に見直される可能性が高まっています。
アメリカでも近年までフロッピーディスクが使用されてた!?
アメリカの政府機関が2016年まで核兵器の管理にフロッピーディスクを使用していたことが驚きをもって報じられました。これらの旧式システムは年間約6兆6000億円もの巨額の維持費がかかっていたのです。しかし、2019年にはついにフロッピーディスクは「安全性の高いSSD記憶装置」に置き換えられました。
このようなシステム更新の遅れはアメリカ国防総省に限らず、財務省やホワイトハウスでも見られました。彼らは1950年代の古いコンピュータプログラムを使い続けていたのです。
これら旧システムはインターネットから遮断されており、サイバー攻撃の影響を受けにくいという利点がありました。しかし、新品フロッピーディスクの入手困難や、よりセキュリティが高いオンラインストレージの登場により、徐々に新システムへの移行が進んでいます。
まとめ
フロッピーディスクは、その小さなサイズと安価なコストで昭和から平成にかけて広く使われてきました。IBMによって開発されたこの磁気記録媒体は、その後のデジタルデータ保存の礎を築きました。日本では行政手続きなどで長らく使われ続けていましたが、時代の流れと共にその使用は徐々に減少しています。アメリカでも同様に政府機関での使用が確認されていましたが、近年はデジタル化の進展により、使用が減少しています。
今後、フロッピーディスクは特殊な用途や限られた分野でのみ使われる可能性が高いです。しかし、その歴史的価値とテクノロジーへの貢献は、デジタル時代の発展において重要な一部として記憶されるでしょう。フロッピーディスクの時代が終わりを迎えつつある今、その後を継ぐ新しい技術の出現に期待が高まっています。
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