「闇バイト」って軽すぎ?報道の言葉選び、なぜ違和感?

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ニュースでよく聞く「トクリュウ」「闇バイト」という言葉。なんだか引っかかる、もっと重い言葉で伝えるべきじゃないの?そう感じている人も少なくないかもしれませんね。たしかに、凶悪な事件が「バイト」という軽い言葉で語られることに、モヤッとする気持ち、よく分かります。

この記事では、なぜ「トクリュウ」や「闇バイト」という言葉が使われるのか、その背景にある報道側の事情や、言葉が持つ影響について掘り下げていきます。この記事を読めば、ニュースの裏側にある言葉の選び方について、あなたなりの視点が見つかるかもしれませんよ。

そもそも「トクリュウ」「闇バイト」ってどういう意味?

最近よく耳にするこれらの言葉、まずはその意味から押さえておきましょうか。知っているようで、意外と正確な意味は知らない、なんてこともあるかもしれません。

警察庁が定義する「トクリュウ」とは

まず「トクリュウ」ですが、これは警察庁が2023年7月に定義した比較的新しい言葉なんです。正式には「匿名・流動型犯罪グループ」と言って、その略称が「匿流(トクリュウ)」なんですね。

具体的には、SNSなんかを通じてメンバーを集めて、事件ごとに人が入れ替わるような、捕まえにくい犯罪グループのことを指しています。特定のボスがいるというより、もっと緩やかなつながりで犯罪を行う、そんなイメージでしょうか。

「闇バイト」はいつから使われ始めた言葉?

一方で「闇バイト」は、もっと前から使われている俗語ですね。文字通り、法に触れるような危ないアルバイト全般を指す言葉です。

特に最近は、SNSで「簡単にお金が稼げる」みたいに誘って、特殊詐欺の受け子・出し子や、強盗の実行役などをやらせるケースが増えています。この「闇バイト」という言葉の「バイト」という響きが、なんだか問題を軽く見せているんじゃないか?というのが、今回のお話のポイントになってくるわけです。

ニュース見てモヤッ…言葉選びに「違和感」の声、なぜ?

さて、本題です。なぜ多くの人が、これらの言葉に「違和感」や「モヤモヤ」を感じるのでしょうか?その理由を探ってみましょう。

「強盗殺人グループでしょ?」コメント欄に見る怒りや疑問

ニュースサイトのコメント欄なんかを見ると、「闇バイトじゃなくて、強盗殺人予備軍だろ!」「もっと危機感を持つべき言葉を使え!」といった厳しい意見、結構見かけますよね。

実際に起きている事件は、人の人生をめちゃくちゃにするような凶悪なものが多い。それなのに「バイト」という言葉を使うのは、あまりにも実態とかけ離れている、と感じる人が多いようです。たしかに、その怒りや疑問も、もっともな部分があります。

軽い言葉が犯罪のハードルを下げてる?という不安

言葉の持つ力って、意外と大きいんですよね。「闇バイト」という言葉の軽さが、かえって犯罪に対する心理的なハードルを下げてしまうんじゃないか、という心配の声も上がっています。

元埼玉県警の捜査一課にいらっしゃった佐々木成三さんという方も、「闇バイトという言葉の軽い響きが、犯罪組織にとって若者の警戒心を和らげる手段になっている」と指摘しています。これは、なかなか鋭い視点かもしれません。

若者(特に学生)が「バイト感覚」で手を染めてしまう懸念

特に心配なのが、若者、中でも学生さんたちへの影響です。SNS上では「即日現金払い」「1日5万円」「誰でもできる」なんて甘い言葉で闇バイトが募集されています。

お金に困っていたり、社会経験が少なかったりすると、つい「バイト感覚」で応募してしまう…。「荷物を運ぶだけ」「受け取るだけ」みたいな、実際の犯罪内容を隠すような言い方も多いですから、自分が重大な犯罪に加担しているという意識がないまま、取り返しのつかないことになってしまうケースも後を絶ちません。言葉の軽さが、そうした悲劇を招く一因になっているとしたら、これは大きな問題ですよね。

報道する側にも事情が?メディアが使う理由を探る

ただ、一方的にメディアを責めるのも少し違うかもしれません。報道する側が「トクリュウ」や「闇バイト」という言葉を使うのには、それなりの理由や事情もあるようなんです。

警察発表に合わせた方が分かりやすい?

まず考えられるのは、警察庁が公式に使っている言葉に合わせている、という点です。警察が「トクリュウ」と定義している以上、報道もそれに倣った方が、情報の正確性や統一性が保たれる、という判断があるのかもしれません。

確かに、情報源が公式発表と同じ言葉を使っている方が、受け手としては混乱が少ない、という側面はありそうです。

キャッチーな言葉で注意喚起したい狙いも?

もう一つは、あえてキャッチーな言葉を使うことで、広く世間の注意を引きつけたい、という狙いです。「匿名・流動型犯罪グループによる特殊詐欺および強盗事件」と毎回言うよりは、「トクリュウによる闇バイトが横行!」と言った方が、インパクトがありますよね。

言葉の是非はともかくとして、まずは多くの人に「こういう危ないことがあるぞ」と知ってもらうための、報道なりの工夫、という見方もできるかもしれません。

他の犯罪(例:オレオレ詐欺)の呼び方との比較

犯罪の呼び方が変わってきた例として、有名なのは「オレオレ詐欺」ですよね。最初はそう呼ばれていましたが、手口がどんどん多様化して、「振り込め詐欺」になり、今では「特殊詐欺」という総称が使われています。

このように、犯罪の実態に合わせて呼び方を変えていく、という動きは過去にもありました。「トクリュウ」や「闇バイト」も、もしかしたら今後、社会の認識の変化とともに、呼び方が見直されていく可能性はあるのかもしれませんね。

言葉の「重み」って大事?過去の似たようなケースは?

言葉一つで、受け取る側の印象は大きく変わります。犯罪報道における言葉の「重み」について、もう少し考えてみましょう。

犯罪の呼び方が社会に与える影響とは

専門家の方々も、報道で使われる言葉が社会に与える影響について、警鐘を鳴らしています。たとえば、特定の言葉を使うことで、知らず知らずのうちに偏見や差別を助長してしまう可能性もある、という指摘です(日本精神保健福祉士協会)。

また、BPO(放送倫理・番組向上機構)にも、「闇バイトという言葉は犯罪の実態を軽視している」といった視聴者からの意見が寄せられているそうです。私たちが普段何気なく使っている言葉が、社会に対してどんな影響を与えているのか、改めて考える必要がありそうですね。

過去にもあった?犯罪のネーミング論争

先ほどの「オレオレ詐欺」の例もそうですが、犯罪のネーミングについては、これまでも度々議論が起きてきました。時代とともに新しいタイプの犯罪が出てくると、「それをどう呼ぶか」が社会的な関心事になるわけです。

呼び方一つで、その犯罪に対する社会の警戒度や、対策の方向性が変わってくる可能性だってあります。「トクリュウ」や「闇バイト」という言葉も、まさに今、私たちがその「重み」をどう受け止めるか、問われているのかもしれません。

まとめ:ニュースの言葉に”?”と思ったら考えたいこと

今回は、「トクリュウ」や「闇バイト」といった言葉の選び方について、様々な角度から見てきました。

軽い響きに違和感を覚える声がある一方で、注意喚起や分かりやすさを意図して使われている側面もあるようです。

大切なのは、ニュースで使われる言葉を鵜呑みにするだけでなく、「なぜこの言葉が使われているんだろう?」「この言葉は、実態を正確に表しているかな?」と、一度立ち止まって考えてみることかもしれませんね。言葉の裏側にある意図や影響に目を向けることで、ニュースの受け止め方も、少し変わってくるのではないでしょうか。あなたはどう思いますか?


📌 近藤 健太郎|元新聞記者 / フリーライター 新聞社勤務を経てフリーライターに転身。社会・経済・事件などを中心に、鋭い視点と分かりやすい解説で情報を届けることをモットーとしています。

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