2025年4月から、全国の多くの自治体で水道料金の値上げが決定しました。
特に関東では37の自治体が対象となり、最大40%の値上げが行われる地域もあります。
「なぜこれほど大幅な値上げが必要なのか?」
「今後も水道料金は上がり続けるのか?」
「家計への影響を抑えるにはどうすればいいのか?」
この記事では、水道料金値上げの背景や原因、今後の見通し、そして節水対策まで詳しく解説します。
2025年の水道料金値上げが話題になっている理由
2025年4月、多くの自治体で水道料金が値上げされることが決定しました。
特に関東では37の自治体が値上げを予定しており、中には最大40%増となる地域もあります。
水道料金の値上げは過去にも行われてきましたが、今回これほどの規模で一斉に実施されるのは異例です。
なぜ今、多くの自治体が水道料金の引き上げに踏み切るのか?その理由を詳しく解説します。
関東37自治体が値上げ、最大40%増の影響
2025年4月以降、関東を中心に37の自治体が水道料金を値上げする予定です。
特に埼玉県本庄市では、約40%の値上げが発表され、市民の負担増が懸念されています。
主な水道料金値上げ自治体(2025年4月~)
自治体名 | 値上げ率 |
---|---|
埼玉県本庄市 | 約40% |
島根県津和野町 | 40% |
愛媛県松前町 | 35.2% |
埼玉県戸田市 | 33.7% |
東京都羽村市 | 平均9.27% |
長野県上田市 | 水道料金18.5%、下水道使用料11.7% |
特に本庄市では、水道料金が約40%増となることで、市民の家計に大きな負担がかかると予想されています。
また、他の自治体でも、10%以上の値上げが相次いでおり、関東全体で水道料金の高騰が進んでいる状況です。
では、なぜここまで水道料金が上がる必要があるのでしょうか?
次の項目で、その背景について詳しく解説します。
なぜ水道料金がこんなに上がるのか?その背景を解説
今回の水道料金値上げの背景には、主に以下の3つの要因があります。
① 水道インフラの老朽化
日本の水道管の多くは高度経済成長期(1960~70年代)に整備されました。
しかし、それから50年以上が経過し、耐用年数を超えた水道管が増加しています。
その結果、水道管の破損や漏水事故が多発しており、各自治体では大規模な修繕・更新工事が必要となっています。
このインフラ整備の費用を補うために、水道料金の引き上げが行われています。
② 人口減少による収入減
水道事業は、利用者が支払う水道料金によって運営されています。
しかし、少子高齢化の影響で人口が減少し、水道の使用量も減少しています。
利用者が減る一方で維持管理費用は変わらないため、残った利用者の負担が増えているのが現状です。
③ 災害対策・防災強化
日本は地震や台風などの自然災害が多く、水道インフラの耐震化が求められています。
特に、大規模地震が発生した際の水道管の破損を防ぐため、多くの自治体で耐震工事や補強工事が進められています。
しかし、これらの工事には莫大なコストがかかるため、その財源を確保するために水道料金が値上げされています。
水道インフラの老朽化と値上げの関係
全国的に進行する水道インフラの老朽化は、水道料金の値上げに直結する大きな要因のひとつです。
特に、高度経済成長期(1960〜70年代)に整備された水道管の老朽化が深刻化しており、修繕や更新に莫大なコストがかかっています。
老朽化した水道管は漏水や破損のリスクが高まり、その対応には多額の費用が必要です。
また、地震や異常気象などの影響でさらに劣化が進むため、多くの自治体が大規模な補修工事に踏み切らざるを得ない状況です。
水道管の老朽化とは?どのような問題が起きる?
老朽化した水道管の問題は、単に古いというだけではありません。
以下のようなリスクがあり、放置すると大規模なインフラトラブルにつながる可能性があります。
老朽化した水道管の主な問題点
- 漏水の増加:古い管は腐食が進み、水が無駄に失われる
- 道路陥没のリスク:水道管が破損すると地盤が緩み、道路の崩落事故につながる
- 水質悪化の懸念:内部のサビや汚れが水道水に混じる可能性
千葉市の補修工事現場では、設置から50年以上が経過した下水道管のひび割れが確認されました。
実際に、工事関係者は「このままでは地震が発生した際に破裂し、道路陥没の原因になりかねない」と警鐘を鳴らしています。
こうした現場の修繕には高額な費用がかかるため、自治体は水道料金の引き上げで対応するしかないのが現状です。
本庄市の水道料金40%増の理由は?自治体の決断とは
埼玉県本庄市では、2025年4月から水道料金が約40%値上げされます。
これは全国的に見てもかなり大きな値上げ幅ですが、なぜ本庄市はこれほどの値上げを決定したのでしょうか?
本庄市の水道料金値上げの主な理由
- 建設から51年が経過した浄水場の老朽化
- 配水管の破損リスクが高まり、交換が必要
- 水道事業の維持管理費用が急増
本庄市の担当者は「事故が起きてからでは遅いため、早急な対応が必要」と説明しています。
しかし、市民からは「40%もの値上げは負担が大きすぎる」といった反発の声も上がっています。
水道インフラの老朽化は全国的な問題であり、今後も値上げが続く可能性があることを考えると、本庄市だけの問題では済まないでしょう。
市民・企業への影響と節約対策
水道料金の値上げは、一般家庭だけでなく企業や飲食店にも大きな負担をもたらします。
特に今回のような20〜40%という大幅な値上げは、家計や経営に深刻な影響を与える可能性があります。
ここでは、水道料金値上げが具体的にどのような影響を及ぼすのか、そして少しでも負担を軽減するための節約対策を紹介します。
家計にどのくらい影響があるのか?実際の負担額をシミュレーション
水道料金の値上げが家計にどれほどの影響を与えるのか、4人家族の一般家庭と飲食店の場合でシミュレーションしてみます。
一般家庭(4人家族)の場合
状況 | 値上げ前 | 値上げ後(40%増) |
---|---|---|
月額水道料金 | 約4,000円 | 約5,600円 |
年間支出 | 約48,000円 | 約67,200円 |
年間で約19,200円の負担増となり、光熱費の負担が増加することが予想されます。
飲食店(ラーメン店など)の場合
状況 | 値上げ前 | 値上げ後(40%増) |
---|---|---|
2か月の水道料金 | 約26,000円 | 約36,400円 |
年間支出 | 約156,000円 | 約218,400円 |
飲食店では年間6万円以上のコスト増が発生する可能性があり、メニュー価格の見直しや経費削減が必要になるケースも考えられます。
水道料金を抑えるための節約術!簡単にできる対策は?
水道料金の値上げが避けられない以上、できる限り節水して負担を減らすことが重要です。
以下の節約術を実践することで、月数百円〜数千円の節約が期待できます。
家庭向けの節約対策
- 節水シャワーヘッドを導入(水の使用量を30〜50%削減)
- 洗濯の回数を減らし、まとめ洗いを徹底
- お風呂の残り湯を洗濯や掃除に活用
- トイレの流す回数を工夫し、大洗浄を避ける
- 水を流しっぱなしにしない(歯磨き・食器洗い時など)
企業・飲食店向けの節約対策
- 業務用食器洗浄機の節水モードを活用
- 厨房の水の使用量を見直し、無駄を削減
- 定期的な水道設備のメンテナンスで漏水を防ぐ
- 補助金制度を活用し、省エネ型の設備に切り替える
これらの対策を組み合わせることで、年間で1〜3万円の節約も可能です。
特に自治体によっては節水設備導入の補助金制度があるため、最新情報をチェックすることをおすすめします。

今後も値上げは続くのか?専門家の見解
2025年の水道料金値上げは一時的なものではなく、今後も続く可能性が高いとされています。
その背景には、全国的な水道インフラの老朽化や人口減少による財政悪化が関係しています。
ここでは、今後の水道料金の動向と、日本の水道インフラの将来について専門家の見解を紹介します。
今後の値上げ予定と他自治体の動向
水道料金の値上げは2025年以降も続く可能性があり、すでに複数の自治体でさらなる値上げの検討が進められています。
2025年以降に追加で値上げが予定されている自治体(例)
自治体名 | 値上げ率(予定) | 実施時期 |
---|---|---|
福岡県北九州市 | 15% | 2026年4月 |
兵庫県神戸市 | 約10% | 2026年4月 |
北海道札幌市 | 20% | 2027年4月 |
特に、人口が減少している地方都市ほど水道料金の値上げ幅が大きくなる傾向にあります。
水道事業は基本的に自治体ごとに独立して運営されているため、利用者が減ると、その分コストを分担する人数が少なくなり、一人あたりの負担が増える仕組みになっています。
日本の水道インフラは大丈夫なのか?将来的なリスクとは
日本の水道インフラは、今後さらに深刻な問題に直面すると考えられています。
主に以下のようなリスクが指摘されています。
① 水道管のさらなる老朽化
- 2040年までに全国の約6割の水道管が耐用年数を超えると予測
- 更新が遅れれば、水道事故や漏水被害が増加
- 修繕費が増え、水道料金のさらなる引き上げが避けられない
② 人口減少による事業縮小のリスク
- 水道利用者の減少で自治体の収入が減る
- 運営費を賄えず、統廃合や事業の民営化が進む可能性
- 水道事業が破綻する自治体が出るリスクも
③ 民営化の影響
- 一部自治体では水道事業の民間委託が進行中
- 民営化によって水道料金がさらに上がる懸念
- 海外では水道民営化による料金高騰の例も
専門家は、「今のままでは水道料金のさらなる値上げは避けられないが、適切な財政支援や水道事業の再編が進めば、負担を抑えられる可能性がある」と指摘しています。
まとめ
2025年4月から、全国の多くの自治体で水道料金の大幅な値上げが予定されており、特に関東では37の自治体が対象となっています。
最大40%の値上げが行われる地域もあり、一般家庭や企業にとって大きな負担増となることが懸念されています。
✅ 2025年4月から、関東37自治体で水道料金の値上げが実施
✅ 埼玉県本庄市では最大40%の値上げが決定
✅ 老朽化した水道インフラの維持・修繕費が値上げの主な要因
✅ 人口減少による水道事業の収益減少が背景にある
✅ 今後も全国的に値上げが続く可能性が高い
✅ 節水対策を実施し、少しでも負担を軽減することが重要
今後も、全国各地で水道料金の値上げが続く可能性が高いため、自治体の発表を確認し、節水対策をしっかりと行うことが求められます。
また、政府や自治体の補助制度や節水設備の導入支援などの情報を活用することも有効な対策となります。
水道料金の値上げは避けられない問題ですが、私たち一人ひとりが意識を高め、適切な対策を講じることで、負担を少しでも抑えることができます。
📌 執筆者:近藤 健太郎
(政治・経済・事件などの時事問題を鋭く分析するジャーナリスト)
経済・社会問題を専門に、国内外のニュースを解説するライター。
最新トレンドを的確に分析し、読者に分かりやすく伝える記事を心がけています。