全国高校駅伝で5度の優勝を誇る名門・大牟田高校駅伝部の選手たちが、9割以上の割合で鳥取城北高校へ転校することが決定しました。
これは高校駅伝界において極めて異例の出来事であり、駅伝ファンや関係者の間で大きな話題となっています。
なぜ、これほどの大規模な転校が起こったのか？
背景には「監督交代問題」があり、選手や保護者の間で「信頼する指導者について行く」という強い意志があったとされています。
本記事では、転校の経緯や背景、過去の類似事例との比較、そして今後の駅伝界への影響について詳しく解説します。
大牟田高校駅伝部の集団転校が話題に！
全国高校駅伝で5度の優勝を誇る名門・大牟田高校の駅伝部が、前代未聞の集団転校を決断しました。
選手の9割が鳥取城北高校へ転校するという異例の事態に、駅伝界は大きく揺れています。
一体何が起こったのか？ そして、転校の背景にはどのような事情があったのか？
詳しく解説していきます。
ニュースの概要と注目ポイント
大牟田高駅伝部、選手の９割が集団転校…全国高校男子駅伝５度優勝の名門https://t.co/EpEzZO2QS9
— スポーツ報知 (@SportsHochi) March 4, 2025
▶ 全国高校駅伝の強豪・大牟田高校の選手19名中9割が転校を決断
▶ 転校先は鳥取城北高校（駅伝では全国的な実績はまだ少ないが強化中）
▶ 転校の理由は「監督交代」によるものとされている
▶ 赤池健ヘッドコーチの降格に選手・保護者が反発
▶ 過去にも仙台育英高校→豊川高校の転校事例があった
大牟田高校駅伝部は、これまで全国大会でも常に上位に食い込む実力を誇っていました。
しかし、監督の交代を巡り、選手たちは大きな決断を下しました。
転校の背景にある「監督交代問題」とは？
監督交代の流れ
- 赤池健ヘッドコーチ（52歳）が、2025年4月から監督の座を外され、サポート役に降格
- 代わりに、大牟田高校OBの磯松大輔氏（51歳）が新監督に就任
- 赤池氏は鳥取城北高校の監督に転職することを決定
- 赤池氏を支持する選手の大半が、彼を追って鳥取城北に転校
なぜ赤池監督は降格となったのか？
- 過去の体罰問題が原因で2023年3月に一度退職
- その後、「二度と体罰を行わない」と誓約書を提出し復帰
- 指導スタイルを自主性重視に切り替え、2023年の全国高校駅伝で準優勝という好成績を残した
- しかし、学校側は磯松氏を新監督に据え、赤池氏の降格を決定
選手・保護者の反発
- 「赤池監督のもとでこそ強くなれた」という声が選手や保護者の間で広がる
- 新監督就任に納得がいかず、選手の9割が転校を決断
- 「学校の方針ではなく、自分たちが信じる指導者を選ぶ」という意志が強かった
この決断により、大牟田高校は主力選手のほぼ全員を失い、駅伝部の存続自体が危ぶまれる状況になりました。
なぜ選手の9割が転校を選んだのか？
大牟田高校駅伝部の選手たちは、なぜここまで大規模な転校を決断したのでしょうか？
そこには、「信頼する指導者について行く」という強い意志がありました。
赤池健監督の指導スタイルと選手・保護者の支持
赤池健監督の指導は、厳しさと選手の自主性をバランスよく取り入れたスタイルが特徴でした。
▶ 過去の指導スタイル
- かつてはスパルタ的な指導があったが、体罰問題を受けて方針を転換
- 丸刈りの強制を廃止し、選手の自主性を尊重するスタイルにシフト
- 結果として、全国高校駅伝準優勝という好成績を残す
▶ 選手・保護者の支持
- 「赤池監督の指導で成績が向上した」
- 「新監督では方針が変わり、自分たちの成長が見込めない」
- 「赤池監督について行くことがベスト」
このような意識が、今回の転校につながりました。
学校側の決定に対する反発と影響
一方で、学校側の意向はどうだったのか？
大牟田高校は、OBであり実業団でも指導経験のある磯松大輔氏を新監督に選びました。
▶ 磯松氏の経歴
- 1991年、全国高校駅伝優勝メンバー（1区担当）
- 実業団チーム（コニカミノルタ）での指導経験
- OBとして学校の伝統を復活させる役割
しかし、選手や保護者の間では「なぜ今、監督を変えるのか？」という疑問の声が相次ぎました。
影響
- 大牟田高校駅伝部はほぼ壊滅的な状況
- 転校した選手たちは鳥取城北高校で新たなスタート
- 全国高校駅伝の勢力図が変わる可能性
この決定は、単なる学校の人事異動ではなく、高校駅伝界全体に大きな影響を及ぼす出来事となりました。
過去の類似事例と比較！駅伝界で起きた「集団転校」
大牟田高校駅伝部の集団転校は、異例の出来事ですが、過去にも似たような事例がありました。
特に2012年の仙台育英高校→豊川高校への転校は、今回のケースと共通点が多いとされています。
2012年 仙台育英高校→豊川高校の転校ケース
2012年、宮城県の仙台育英高校の駅伝部員10人（男子7人・女子3人）が愛知県の豊川高校に転校しました。
この出来事は、駅伝界に大きな影響を与えました。
▶ 転校の背景
- 当時の監督交代により、選手と保護者が反発
- 震災後の混乱も影響し、選手がより安定した環境を求めた
▶ 転校の影響
- 転校生が中心となり、豊川高校が全国高校駅伝初優勝を達成
- 仙台育英高校は戦力を大幅に失い、一時的に低迷
今回の大牟田高校のケースと共通するのは、「監督交代」「選手の信頼する指導者の不在」「強豪校からの集団転校」という3点です。
高校スポーツにおける「指導者交代」と転校の関係性
駅伝に限らず、高校スポーツでは指導者交代がチームに大きな影響を与えることがよくあります。
▶ 指導者交代が転校につながる理由
- 選手が自分の成長を最優先し、環境を選ぶ
- 「指導者の方針」が練習や試合のスタイルに大きく関わる
- 高校3年間という限られた時間で最善の選択をする必要がある
▶ 指導者交代の影響を受けた他の事例
- バスケットボールや野球など、指導者が交代することでチームの実力が変動する例は多い
- 有力選手が転校し、新天地で活躍することも珍しくない
今回の大牟田高校のケースは、こうした「高校スポーツにおける転校」の流れの一例とも言えます。
今後の駅伝界への影響と注目ポイント
大牟田高校駅伝部の集団転校は、今後の駅伝界にどのような影響を及ぼすのでしょうか？
特に、大牟田高校と鳥取城北高校、それぞれの今後の展開が注目されています。
大牟田高校の駅伝部はどうなる？
大牟田高校は、全国高校駅伝で5度の優勝を誇る名門校ですが、今回の転校により戦力が大幅に低下しました。
▶ 主力選手のほぼ全員が転校し、チームの再建が急務
▶ 新監督の磯松大輔氏はチーム再建に取り組む必要がある
▶ 今後の補強次第では、数年かけて強豪校として復活する可能性も
大牟田高校に入学予定だった中学生の一部も鳥取城北に進路変更したとの情報もあり、今後の新入生の確保が課題となるでしょう。
鳥取城北は全国レベルに躍進するのか？
一方、選手の9割が転校した鳥取城北高校は、駅伝界でどのような立ち位置に変化するのでしょうか？
▶ 全国レベルの選手が多数加入し、一気に戦力アップ
▶ 昨年の全国高校駅伝では鳥取県2位 → 今年は優勝候補に？
▶ 赤池健監督の指導のもと、全国大会での上位進出が期待される
鳥取城北高校は、これまで全国高校駅伝での実績は少ないものの、今回の転校によって一気に勢力図が変わる可能性があります。
まとめ｜大牟田高校駅伝部の転校問題から見えること
今回の大牟田高校駅伝部の集団転校は、単なる高校の人事問題ではなく、高校駅伝界全体に影響を及ぼす大きな出来事となりました。
選手たちは「自分たちの競技人生をより良い環境で続けたい」という思いで転校を決断しましたが、一方で学校の方針や指導体制の影響がどれほど大きいかを改めて示す出来事でもあります。
今回のポイントまとめ
▶ 指導者交代が選手の進路に大きく影響する
▶ 過去にも類似の転校ケースがあり、競技環境の選択は珍しくない
▶ 大牟田高校は再建が急務、鳥取城北は新たな強豪校となる可能性
▶ 今後の全国高校駅伝の勢力図が大きく変わる可能性
この転校によって、鳥取城北が全国大会でどこまで実力を発揮するのか、大牟田高校がどのように復活を遂げるのか、今後の展開に注目が集まります。
📌 書いた人：近藤 健太郎｜事件・経済・スポーツニュースライター
