「えっ、コメントできないの?」――そんな声がSNSで飛び交っています。
4月1日から配信スタート予定の、宮内庁公式YouTubeチャンネル。しかし、配信前から話題になっているのが“コメント欄が封鎖される”という運用方針なんです。
この記事では、その理由や背景を分かりやすく解説しつつ、SNSで起きやすい「荒れ」の実態や、他の公的機関との違いにも触れていきます。
宮内庁の公式YouTubeチャンネルがスタート!
皇室の活動が動画で見られる時代へ。宮内庁が4月1日からYouTubeでの情報発信を始めます。
公式チャンネルの内容と目的は?
まず簡単に、どんなチャンネルになるのかを紹介しておきましょう。
宮内庁のYouTubeチャンネルでは、天皇皇后両陛下のご活動や、皇居の自然に関する動画を配信予定と発表されています。
Instagramですでに行っていた発信を、より幅広い世代に届けるための新たな試み。特に、動画の尺制限などでインスタでは出せなかった長尺映像もYouTubeで公開されるとのことです。
ただし、現時点(3月28日)ではチャンネル名や動画の詳細はまだ明かされておらず、開設は4月1日午前10時予定です。
なぜコメント欄が封鎖されたの?
発表直後から話題となっているのが「コメント不可」の設定。なぜそんな決断がされたのでしょうか?
公式発表にコメント不可の設定と明記
宮内庁は、今回のチャンネル運営にあたって「コメント欄は設けない方針」と明言しています。
その理由はシンプル。「個人的な誹謗中傷が公開の場で行われることを防ぐため」と説明しています(※朝日新聞報道より)。
公式発表の時点で封鎖を前提にしているあたり、かなり慎重な姿勢がうかがえますよね。
ネット上の意見「これは妥当」「荒れる前提での判断か」
SNSではこの方針についてさまざまな声が飛び交っています。
たとえば、
といった意見があり、どちらにも一理あるという感じ。
実際、YouTubeのコメント欄は“荒れやすい場所”として知られており、それを見越しての対策だと考えれば、理解はしやすいですね。
コメント欄を開くとどうなる?SNS“荒れ”問題をわかりやすく
そもそも、なぜコメント欄が“厄介な場所”になってしまうのか。その背景を少し掘り下げてみましょう。
過去に炎上した有名人や公式アカウントの例
たとえば芸能人や政治家、自治体の公式チャンネルでも、コメント欄を開放したことで以下のような事例がありました。
- 批判的なコメントが集中し「炎上」状態に
- 誹謗中傷・悪意ある煽りが放置されてイメージ悪化
- 対応が遅れたことで、さらに問題が拡大
YouTubeのコメント欄は匿名性が高く、モデレーション(管理)にも手間がかかるため、炎上リスクが常につきまといます。
なぜ皇室系アカウントはコメント欄を開けにくいのか
皇室関連のSNS発信は、もともと「神聖性」や「象徴的立場」に配慮する必要があります。
宮内庁のInstagramアカウントでも、もともとコメント欄は閉鎖済みでした。
皇室の活動には好意的な声だけでなく、センシティブな批判や陰謀論的な投稿も寄せられやすい傾向があります。
そうした背景から、コメント欄を開けることで炎上リスクが高まるのは避けたい…という判断は納得できますよね。
実際にコメント封鎖をしている他のYouTubeチャンネルって?
宮内庁だけが特別にコメント欄を閉じているわけではありません。他にも同様の対策をとっているチャンネルは多数あります。
官公庁・政治家・報道系アカウントの対応事例
たとえば、総務省・文科省・厚労省といった官公庁のYouTubeアカウントも、基本的にコメント欄は閉鎖されています。
これは、特定の政策や対応について感情的な反発コメントが殺到するのを防ぐためです。
また、一部の政治家アカウントでも、選挙時期などは一時的にコメント封鎖するケースも見られます。
コメント欄を開けたことで炎上した例とその学び
企業や芸能人のYouTubeチャンネルでコメント欄を開けていたことで、以下のようなリスクが現実になった例もあります。
その結果、後からコメント欄を閉じたり、コメントモデレーターを雇ったりするなどの“後追い対応”に追われるケースも…。
宮内庁としては、最初から「封鎖」でスタートすることで、そうした手間や炎上の芽を事前に摘んでおきたい、という狙いもありそうです。
コメント封鎖に対するみんなの声
宮内庁の「コメント封鎖方針」について、SNSではさまざまな意見が飛び交っています。中には感情的な声もありますが、全体としてはある程度納得感のある空気もあるようです。
ポジティブな意見
まず目立ったのは、「これは妥当」「荒れる前提で判断したのは賢い」といった肯定的な声。
たとえばこんな意見がありました。
特に最近では、著名人や公的アカウントが理不尽な中傷にさらされるケースも多く、「最初から封鎖しておいた方が安全」という考え方に共感する人が多いようです。
ネガティブな意見とそれに対する反論
一方で、「コメント欄を閉じるのはもったいない」「国民との距離がさらに広がる」といった声も根強くあります。
確かに、双方向性がSNSの魅力でもある中で、「発信のみ」の形式には寂しさを感じる人もいるのは事実です。
ただ、それに対しては「コメント欄を開く=対話」ではなく、「炎上の火種になる可能性がある場所は最初から閉じておいた方が良い」という反論も見られます。
とくに皇室という、あくまで政治的に中立かつ象徴的な存在に対しては、「議論の場にさらすべきではない」という意見も一定の説得力を持っているといえるでしょう。
まとめ
宮内庁のYouTubeチャンネル開設は、皇室の情報発信が大きく一歩踏み出したという点で、非常に注目度の高い動きです。
ただ、その運用方針には慎重さも見え隠れします。コメント欄の封鎖は一見すると「閉じてる」「硬い」印象を与えるかもしれませんが、過去のSNS事情や誹謗中傷リスクを考えれば、妥当な判断とも言えます。
SNSは便利な反面、“使い方次第で毒にもなる”ツールです。
特に皇室という繊細な存在を扱う上では、安全策を優先するのも一つの方法なのかもしれません。
今後、視聴者の反応や広報室の運用がどう変わっていくのか――私たちも温かく見守っていきたいですね。
📌 近藤 健太郎|元新聞記者 / フリーライター
政治・経済・時事ネタを中心に、硬すぎないやわらかな語り口でわかりやすく解説するのが得意。
元新聞社で記者として10年以上活動後、現在はWebメディアで幅広く執筆中。