「えっ、タカさんのあの発言、今になってそんなに問題になってるの…?」
最近、とんねるずの石橋貴明さんの過去の言動がニュースになり、ネットでも賛否両論、いろんな声が飛び交っていますよね。
もしかしたら、あなたも昔『うたばん』や『みなさんのおかげでした』を見て、お腹を抱えて笑った経験があるかもしれません。でも、今の時代の目で見ると、「あれって、ちょっと…いや、かなりマズかったんじゃ…?」なんて、なんだかモヤモヤした気持ちになっていませんか?
「昔はあんなに面白かったのに、なんで今は素直に笑えないんだろう…」「もしかして、当時笑ってた私も悪かったのかな…?」そんな風に感じている方も、きっと少なくないはず。
この記事では、そんなあなたの心のモヤモヤに、心理学の視点も交えながら優しく寄り添っていきます。なぜ過去の「笑い」が今になって違って見えるのか、そして、その罪悪感みたいな気持ちとどう向き合っていけばいいのか、一緒に考えてみませんか?読み終わる頃には、きっと心が少し軽くなっているはずですよ。
はじめに:石橋貴明さんのニュース、あなたはどう感じましたか?
石橋貴明さんといえば、テレビで見ない日はないほど大活躍された、まさに一時代を築いたコメディアンですよね。特に『うたばん』での歯に衣着せぬトークや、『みなさんのおかげでした』での破天荒なコントに、夢中になった方も多いのではないでしょうか。
でも、最近になって、フジテレビの女性社員への過去の行為疑惑や、『うたばん』でのアイドルMIZUHOさんへの発言などが次々と報じられ、世間を騒がせています。
このニュースに触れて、「懐かしいな」と思う一方で、「そういえば、あの頃のテレビって結構過激だったかも…」「今考えると、あれはセクハラだったんじゃ…?」なんて、心の中に小さなトゲが刺さったような、複雑な気持ちになった方もいるかもしれませんね。当時、お茶の間で家族と一緒に笑っていた光景を思い出すと、なんだか今のこの状況が不思議に感じられたり…。
このザワザワする感じ、一体どこから来るんでしょうか?
「あの頃」はなぜ石橋貴明さんの芸風で笑えたのか?
今振り返るとドキッとするような言動も、なぜ「あの頃」は、あんなにも多くの人に受け入れられ、お茶の間の人気者になれたのでしょうか?そこには、当時のテレビを取り巻く独特の「空気感」があったのかもしれません。
視聴率至上主義が生んだ「過激な笑い」のリアル
まず考えられるのは、当時のテレビ業界が今以上に「視聴率」を重視していたこと。とにかく面白いもの、話題になるものを作ろう!という熱気が、制作現場にはあったんですね。
そのため、少し過激な演出や、今でいうコンプライアンス的にギリギリな表現も、「笑い」のためなら…と許容される風潮があったのかもしれません。たとえば、『みなさんのおかげでした』のコントで、松嶋菜々子さんに向けられたセリフや演出も、当時は「コントだから」という理由で放送されていたわけです。(もちろん、今の感覚で見ると、ヒヤッとしますよね…!)
[独自視点] 実は当時も…? 見過ごされてきた「不快感」のサイン
ただ、「みんなが笑っていた」かというと、実はそうとも言い切れない部分もありそうです。
今回のニュースに対するSNSの反応を見ると、「当時からタカさんのああいうノリは苦手だった」「見ていて不快だった」という声も、実は少なくないんです。また、2002年の『とくばん』でのMIZUHOさんへの発言は、放送直後から視聴者の抗議があり、TBSが謝罪する事態にもなっています。
つまり、当時は今ほど「ハラスメント」という言葉が一般的でなかったり、声を上げにくい雰囲気だったりしたために、一部の人が感じていた不快感や疑問の声が、大きなうねりにはなりにくかった…という可能性も考えられますね。みんなが笑っているように見えても、心の中では「え…?」と思っていた人も、いたのかもしれません。
時代は変わった…今、過去の「笑い」にモヤモヤする理由
では、なぜ今になって、私たちは過去の「笑い」に対して、こんなにも複雑な気持ちを抱くようになったのでしょうか?それは、この20年ほどの間に、私たちの社会や価値観が大きく変化したことと無関係ではありません。
コンプライアンスという「ものさし」の変化
一番大きな変化は、やはり「コンプライアンス」や「ハラスメント」に対する意識の高まりでしょう。
昔は「冗談」「いじり」で済まされていたようなことも、今では「セクハラ」「パワハラ」として、はっきりと「NO」と言える社会になってきました。これは、人権意識の高まりとともに、BPO(放送倫理・番組向上機構)のような第三者機関の目が厳しくなったり、テレビ局自身が自主規制を強化したりしてきた結果でもあります。
私たちは、知らず知らずのうちに、新しい時代の「ものさし」で物事を見るようになっているんですね。だから、昔の番組を今の感覚で見ると、「あれ?」と違和感を覚えてしまうのは、ある意味、自然なことなのかもしれません。
SNSで可視化された「多様な意見」の影響
もう一つ大きいのが、SNSの普及です。昔はテレビを見て何かを感じても、それを誰かと共有する場は限られていましたよね。
でも今は、X(旧Twitter)などで、誰でも気軽に自分の意見を発信できます。石橋さんのニュースに対しても、「昔のことだ」「いや、今もダメだ」「他の芸人は?」など、本当に色々な意見が飛び交っています。
こうした多様な意見に触れることで、「自分はこう感じていたけど、違う見方もあるんだな」「もしかしたら、自分が楽しんでいたものは、誰かを傷つけていたのかもしれない…」と、自分の考えが揺さぶられる機会が増えたことも、モヤモヤの一因かもしれませんね。
「昔笑ってた自分はダメ?」罪悪感や自己嫌悪の正体とは
「でも、昔は純粋に面白いと思って笑ってたんだよなぁ…」「今の価値観で過去を全否定するみたいで、なんだか辛い…」そんな風に、過去の自分を責めてしまうような気持ちになる方もいるかもしれません。その罪悪感みたいな感情の正体って、一体何なのでしょうか?
[深掘り解説] 専門家が語る「認知的不協和」ってなに?
もしかしたら、そのモヤモヤは「認知的不協和」という心の働きと関係があるかもしれません。難しそうな言葉ですが、簡単に言うと、「自分の心の中に矛盾する気持ちや考えがあると、なんだか居心地が悪くなって、それを解消しようとする」心理のことです。
たとえば、「昔は石橋さんの番組が好きで笑っていた(過去の行動・感情)」と「でも、今の感覚で見ると、あの内容は問題がある(現在の知識・価値観)」という、二つの相反する気持ちが心の中にある状態。これが、まさに認知的不協和です。
この不快感を解消するために、「いや、昔は時代が違ったんだから仕方ない」と考えたり、「やっぱり、あの番組は良くなかったんだ」と考えを改めたり…人は無意識に、心の中の矛盾をなくそうとするんですね。だから、過去の自分に対して罪悪感を覚えたり、逆に「昔は良かった」と強く思ったりするのかもしれません。
「自分だけじゃなかった…」コメント欄から見る視聴者の本音
今回のニュースに関するコメント欄を見ていると、「昔は笑ってたけど、今は見方が変わった」「同じように感じている人がいてホッとした」といった声が、本当にたくさん見られます。
そう、あなただけじゃないんです。多くの人が、時代の変化の中で、過去の楽しかった記憶と現在の価値観との間で揺れ動いているんですね。その戸惑いや罪悪感は、決してあなた一人が抱えている特別な感情ではないんですよ。
[独自考察] 過去の自分を否定しない!「昔の笑い」との向き合い方ヒント
では、このモヤモヤした気持ちと、私たちはどう向き合っていけばいいのでしょうか?過去に楽しんだことを、すべて「間違いだった」と否定してしまうのは、なんだか悲しいですよね。ここでは、少しだけ心が軽くなるかもしれない、3つのヒントを提案させてください。
①「時代」と「個人」を切り分けて考える
まず大切なのは、「時代背景」と「個人の価値観」を少し分けて考えてみることかもしれません。
あの頃のテレビ番組は、確かに今の基準では問題のある表現を含んでいたかもしれません。でも、それは当時の社会全体の空気感や、テレビ業界の構造が生み出したものでもあります。だからといって、当時それを見て楽しんでいた「あなた」という個人の感性まで、すべてが否定されるわけではないと思うんです。
「あの時代のあの番組は、そういうものだったんだな」と客観的に捉えつつ、「でも、今の私はこう感じる」という自分の気持ちも大切にする。そんな風に、少し距離を置いてみるのはどうでしょうか。
② 感情の変化は「成長」の証と捉える
昔は面白いと思っていたのに、今は違う見方ができるようになった。それって、見方を変えれば、あなたの価値観がアップデートされた、いわば「成長」の証とも言えるのではないでしょうか?
社会の変化に合わせて、自分の感じ方や考え方が変わっていくのは、とても自然なことです。むしろ、様々な情報に触れ、多様な価値観を学んできたからこそ、過去の出来事に対しても新しい視点を持つことができるようになったのかもしれません。罪悪感ではなく、「自分も変わったんだな」と、その変化をポジティブに捉えてみるのも一つです。
③ この経験を「未来への学び」に繋げる視点
このモヤモヤした経験は、これからのエンタメとの向き合い方や、私たち自身のコミュニケーションについて考える、良いきっかけになるかもしれません。
「面白い」と感じるツボは人それぞれ違うこと。誰かの「面白い」が、誰かを傷つけてしまう可能性があること。そして、時代とともに「面白さ」の基準も変わっていくこと…。
今回の出来事を通して感じたことを、たとえば、身近な人との会話や、SNSでの発言、あるいは子どもたちに伝えていくことなど、未来への学びに繋げていくことができたら、過去の経験も決して無駄にはならないはずです。
【まとめ】変化を受け入れ、これからの「エンタメ」と向き合うために
今回は、石橋貴明さんの過去の言動をきっかけに、多くの人が感じているであろう「昔は笑ってたのに…」という複雑な気持ちについて、一緒に考えてきました。
あの頃、テレビの前で笑っていたあなたも、今、時代の変化に戸惑いを感じているあなたも、どちらも間違いではありません。むしろ、その感情の揺らぎこそが、私たちが変化の時代を生きている証拠なのかもしれませんね。
大切なのは、過去を全否定したり、自分を責めたりするのではなく、なぜそう感じるのかを理解し、その変化を受け入れること。そして、この経験を糧にして、これからのエンターテインメントや社会と、より良い形で向き合っていくことではないでしょうか。
あなたはこのニュース、どう感じましたか? 昔好きだった番組、今見返すとどう思いますか? よかったら、コメント欄であなたの気持ちも聞かせてくださいね。
📌 水野 恵理|心理学専攻 / フリーライター 大学で心理学を学び、人の心や感情の動きに関心を持つ。エンタメや映画を通して、日常に潜む心理を読み解き、読者の心に寄り添う記事を執筆。