「イオンカードのシステムにエラーがあったってNHKが報道したけど、イオン側は『そんな事実はない』って反論してる…。一体どっちの言い分が本当なの?」と、ニュースを見てモヤモヤしている方も多いのではないでしょうか。
過去には不正利用で大きな損失も出ているだけに、イオンカードユーザーとしては「自分のカードは本当に大丈夫?」と不安になりますよね。この記事では、両者の主張の食い違いから、なぜこんな問題が起きるのか、そして私たち利用者が今すぐできる自衛策まで、元プログラマーの視点も交えつつ、分かりやすく解説していきます。
イオンとNHK、なぜここまで主張が食い違うのか?
今回の騒動、発端はNHKの報道とそれに対するイオンフィナンシャルサービスの反論でした。一体、それぞれの主張の核心は何だったのか、そしてなぜこんなにも意見が食い違ってしまったのか、まずはそこから見ていきましょう。
NHK報道が指摘した「イオンカードのシステムエラー」とは?

NHK「ニュース7」が2025年5月15日に報じた内容は、大きく分けて二つあります。一つは、ベトナム国籍の詐欺グループらが逮捕されたというニュース。
そしてもう一つが、この事件に関連して、2024年9月頃から「オフライン取引」が悪用され、イオンカードの利用者がカード停止後も「身に覚えのない決済が行われている」と訴えが続出していたこと、さらに専門家のコメントとして「イオンカードのシステムにエラーが発生していた可能性もある」と伝えた点です。これが今回の大きな論点になっているんですね。
イオン側の反論「システムトラブルの事実はない」その根拠と背景
このNHKの報道に対し、イオンフィナンシャルサービスは翌16日に「あたかも弊社システムにトラブル・エラーがあるかのような報道がなされた」とし、「そのような事実は一切ございません」と強く反論する声明を発表しました。
その根拠として挙げているのが、第三者検証機関によるシステムのチェックです。この検証の結果、「システム上の脆弱性や情報漏洩等の事象は一切確認されておらず、問題がないことを確認しております」と説明しています。また、2024年7月から警察の捜査に協力してきたことや、不正利用犯罪の抑制のために根本的な対策を講じてきたことも強調しています。
食い違いの核心は「システムエラー」の解釈?専門家の見方も交えて解説
では、なぜNHKとイオン側でこんなにも主張が食い違うのでしょうか。一つ考えられるのが、「システムエラー」という言葉の解釈の違いです。
IT分野で「システムエラー」というと、一般的にはハードウェアやソフトウェア、通信回線などに何らかの不具合が発生し、システムが正常に動かない状態を指します。金融システムの場合、これに加えて「決済データが間違って処理される」「オンラインでの与信照会がうまくいかない」といった事象も含まれることがあります。
NHKが報じた専門家のコメントは、利用者がカードを停止した後も不正利用が続いたという状況から、「何らかのシステム上の不備があったのではないか」という可能性を示唆したものと考えられます。一方、イオン側は第三者機関による検証で「システムそのものに欠陥や情報漏洩はなかった」という点を強調しているわけです。
「身に覚えのない請求」はなぜ?イオンカード不正利用の手口と構造的問題
「カードを止めたはずなのに、なんで請求が来るの?」というのは、利用者にとって本当に不可解で、不安な状況ですよね。この背景には、クレジットカードの「オフライン取引」という仕組みが深く関わっています。ここでは、その仕組みと、なぜ不正利用の温床になりやすいのか、そしてイオンカードで過去に起きた問題点について見ていきましょう。
専門家も警鐘「オフライン取引」とは?その仕組みと危険性を徹底図解
「オフライン取引」って、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。簡単に言うと、お店の端末がクレジットカード会社のサーバーと通信せずに決済を完了させる方法のことです。
じゃあ、どうやって決済しているかというと、カード会社があらかじめ設定した一定の金額(閾値といいます)以下であれば、端末が「たぶん大丈夫だろう」と判断して決済を通してしまうんですね。承認番号が「000000」や空白になることが多いのも特徴です。
このオフライン取引、メリットとしては、地下や電波の悪い場所でもスムーズに決済できることや、レジの混雑緩和につながることが挙げられます。
しかし、デメリットも大きいんです。一番の問題は、カード会社に利用停止を申し出ても、その情報がオフライン取引中の端末には即座に反映されないこと。つまり、不正に入手したカード情報を使って、電波を遮断した特殊な端末などでオフライン取引を繰り返されると、利用停止後もしばらく不正利用が続いてしまうリスクがあるんです。決済情報がカード会社に届くのも数時間から数日かかるため、不正の発見も遅れがちになります。
オフライン取引はその利便性の裏側で、犯罪者にとっては悪用しやすい隙がある仕組みとも言えるんです。
「カード止めても請求が…」利用者の悲痛な声とイオンの過去の対応
実際にSNSなどでは、イオンカードの不正利用に関して、「カード会社に利用停止を依頼したのに、その後も数ヶ月にわたって数十万円引き落とされ続けた」「返金審査に半年以上かかると言われた」「問い合わせても進捗の説明が全くない」といった、利用者の悲痛な声が多数見受けられました。
特に、Apple Payにイオンカードを登録した際に初期のSMS認証がなかったために高額な被害に遭い、カード停止後も請求が続いたというケースも報告されています。こうした状況は、利用者にとって計り知れない不安とストレスになりますよね。
イオンフィナンシャルサービスは、2025年2月期決算で、こうしたクレジットカード不正利用の被害への返金引当金やシステム改修費用などとして、99億円もの特別損失を計上しています。この金額の大きさからも、問題の深刻さがうかがえます。同社は決算発表の際に、不正検知システムの強化や顧客対応体制の増強といった再発防止策を表明していました。
イオンだけじゃない?クレジットカード業界全体の不正利用対策の現状
実は、クレジットカードの不正利用はイオンカードに限った話ではなく、業界全体が頭を悩ませている問題なんです。日本クレジット協会の調査によると、年間の不正利用被害額は数百億円規模で推移しており、その手口もフィッシング詐詐欺やスキミング、ECサイトからの情報漏洩、そしてオフライン取引の悪用など、多様化・巧妙化しています。
業界全体としても、3Dセキュア2.0(オンライン決済時の本人認証強化策)の導入を進めたり、AIや機械学習を活用した不正検知システムを強化したりと、対策に力を入れています。しかし、いたちごっこの側面もあり、完全に不正利用を防ぐのは難しいのが現状のようです。
あなたのイオンカードは大丈夫?今すぐできる自衛策とセキュリティチェック
ここまで読んで、「じゃあ、私たちはどうすればいいの?」と不安に思われたかもしれません。でも、悲観的になる必要はありません。私たち利用者ができる自衛策もたくさんあるんです。ここでは、最新の不正利用手口と、イオンカードで今すぐできるセキュリティ対策、そして専門家の視点も取り入れた独自のチェックリストをご紹介します。
最新の不正利用手口を知る!フィッシング、スキミング、ネット通販詐欺…
まずは敵の手口を知ることから。代表的な不正利用の手口には、以下のようなものがあります。
- フィッシング詐欺:金融機関や大手通販サイトなどを装った偽のメールやSMSを送りつけ、偽サイトに誘導してクレジットカード情報やID・パスワードを盗み取る手口。
- スキミング:ATMやお店の決済端末に不正な読み取り装置を取り付け、カードの磁気情報を盗み取って偽造カードを作る手口。
- ネット通販詐欺(ECサイト情報漏洩):セキュリティの甘いオンラインショップなどがサイバー攻撃を受け、登録されているクレジットカード情報がまとめて盗まれてしまうケース。
- アカウント乗っ取り:他のサービスから流出したID・パスワードを使ってオンラインサービスに不正ログインし、登録されているクレジットカード情報を悪用する手口。
これらの手口は日々巧妙になっているので、常に最新の情報をキャッチアップしておくことが大切です。
イオンカード公式も推奨!自分でできるセキュリティ設定と見直しポイント
イオンカードでも、不正利用のリスクを減らすために利用者が自分でできるセキュリティ設定がいくつか用意されています。
- ご利用可能額の変更:必要以上に大きな利用可能額になっていないか確認し、適切な金額に設定し直しましょう。
- 海外での利用停止:海外に行く予定がない場合は、海外でのカード利用を停止しておくのも有効です。
- カードご利用通知サービス:カードを利用するたびにメールなどで通知が来るように設定しておけば、万が一の不正利用にも早く気づけます。
- 本人認証サービス(3Dセキュア):オンラインショッピングの際に、パスワード入力などで追加の本人確認を行うサービスです。必ず登録しておきましょう。
これらの設定は、イオンカードの会員サイト「暮らしのマネーサイト」やアプリから簡単に確認・変更できます。定期的に見直す習慣をつけたいですね。
【ブログ独自】専門家が教える!不正利用リスクを最小限に抑える7つの鉄則
さらに、元プログラマーでありITトレンドウォッチャーでもある私、村上から、不正利用リスクをグッと減らすための「7つの鉄則」を提案します。
1. 利用明細は「毎月」ではなく「毎週」チェック!:不正利用は早期発見が命。紙の明細を待つのではなく、Web明細をこまめに確認しましょう。特に給料日後などは念入りに。
2. 使わないカードは思い切って解約!:たくさんのカードを持っていると管理が煩雑になり、不正利用の発見も遅れがち。メインカードを絞り込むのがおすすめです。
3. 公共Wi-Fiでのカード利用は避ける!:セキュリティの甘い公共Wi-Fi経由でカード情報を入力すると、盗み見されるリスクがあります。
4. パスワードは使い回さない!定期的に変更する!:基本中の基本ですが、これができていない人が意外と多いんです。パスワード管理ツールなどを活用しましょう。
5. 不審なメールやSMSのリンクは絶対にクリックしない!:巧妙なフィッシング詐欺が増えています。「怪しいな」と思ったら、まず公式サイトで確認を。
6. スマホやPCのOS・アプリは常に最新の状態に!:セキュリティの脆弱性を放置しないことが大切です。
7. クレジットカード情報は安全な場所に保管!:カード本体はもちろん、カード番号や有効期限などをメモした紙なども含め、管理を徹底しましょう。
これらの鉄則を意識するだけでも、不正利用の被害に遭う確率はかなり下げられるはずです。
もし不正利用されたら…?慌てないための対処ステップと相談先
どんなに気をつけていても、不正利用の被害に遭ってしまう可能性はゼロではありません。万が一、「身に覚えのない請求」を見つけたら、どうすればいいのでしょうか?ここでは、慌てず冷静に対処するためのステップと、頼りになる相談先についてお伝えします。
発見したら即行動!カード会社への連絡と警察への届け出
不正利用に気づいたら、とにかくすぐにカード会社に連絡することが最も重要です。イオンカードの場合、「イオンカードコールセンター」に電話しましょう。伝えるべきことは、「いつ、どこで、いくら不正利用された疑いがあるか」といった具体的な情報です。カード会社が調査を行い、不正利用と認められれば、カードの利用停止と再発行の手続きが進められます。
併せて、最寄りの警察署にも被害届を提出しましょう。被害届の受理番号は、カード会社に補償を求める際に必要になる場合があります。
イオンカードの補償制度はどうなってる?知っておきたい条件と注意点
イオンカードには、不正利用の被害に遭った場合に損害を補償してくれる制度があります。会員本人に故意や重大な過失がなければ、原則として被害額は全額補償され、自己負担はありません。
ただし、注意点もいくつかあります。まず、被害の届出には期限があるということ。一般的には「被害発生日から60日以内」などと定められていることが多いので、気づいたらすぐに連絡することが肝心です。また、カードの暗証番号を他人に教えたり、カードの管理が著しく杜撰だったりした場合は、「重大な過失」とみなされて補償の対象外となることもあります。詳しくは、イオンカードの会員規約をよく確認しておきましょう。
一人で悩まないで!頼りになる公的相談窓口と専門家
カード会社とのやり取りで困ったり、補償について納得がいかなかったりした場合は、一人で抱え込まずに公的な相談窓口を利用しましょう。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:全国どこからでも、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してくれます。
- 警察の相談専用電話「#9110」:被害届の出し方や、その後の対応について相談できます。
場合によっては、弁護士などの専門家に相談することも有効です。
【まとめ】
今回は、イオンカードの不正利用問題とNHK報道との食い違い、そしてオフライン取引の仕組みや私たち利用者ができる対策について掘り下げてきました。
イオン側の「システムエラーではない」という主張と、NHKが報じた専門家の指摘。どちらが絶対的に正しいと断じるのは難しいかもしれませんが、この一件から私たちが学ぶべきことは多いように感じます。特に、「オフライン取引」という仕組みが、利便性の裏側で不正利用のリスクを抱えていること、そして、企業が発表する情報を鵜呑みにせず、多角的に情報を集めて自分なりに判断するリテラシーの重要性です。
今回の情報が、皆さんがより安心してクレジットカードを利用するための一助となれば幸いです。こうした背景を知っておくと、ニュースの見方も変わってきますし、いざという時の判断材料の一つになりますね。